エッセイ まいにち一歩クン

鷹香 一歩

episode 1 ポチとお散歩

 「パパ。ボク、ポチとおはなしがしたいなぁ」

一歩いっぷ、ポチはね、ひとのコトバをしゃべることができないんだよ」

「うそっ。だって絵本えほんやテレビのいぬはしゃべっているよ」

「それはね、ひとも、いぬ言葉ことばからないからだよ。もしもいぬ人間にんげんだったら、っていうことで、おはなしすすむんだ」

「でもねパパ、ボクのポチは『ワン!』って英語えいごだってしゃべるんだから」

「じゃぁ一歩いっぷ、ポチは『ツー!』って言うかい?」

「うーん、言わな~い」

「でもね、一歩いっぷ。ポチは、おはなしはできないけれども、一歩いっぷ言葉ことばかっているよ、きっと」

「どうしてかるの? パパ」

「だって、一歩いっぷが『ごはんだよ』ってえば、どこにいてもポチはやってるよね」

「ウン!」

一歩いっぷが『お散歩さんぽこ』ってえば、ポチは『ワン!』ってんでるだろ」

「ウン! とりじゃないからんではないけどね」

「そっか、とりじゃないもんな。で、そんなとき、ポチはどうしてる?」

「どうって?」

「何か気がつかないか、一歩いっぷ

「あのね、ポチ、尻尾しっぽってるかも」

「それだよ、一歩いっぷ。ポチはうれしいと、尻尾しっぽるんだよ」

「ふ~ん。そうなんだ」

「よーし、一歩いっぷ。お散歩さんぽこうか。ポチをんでおいで」

「ウン! パパ」

一歩いっぷ、『ウン!』もいいけど、ママには『ハイ!』の方がいいかもな」

「ウン!」

「やっぱり『ウン!』かぁ」

「ポチ~、『お散歩さんぽくよ~』


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る