日々これ口実
亭無
第1話としをとるって
気がつけば還暦も過ぎてしまった 昔なら死んでしまっても不思議ではない年
なのに地位もない、名誉もない、ましてや金など有るはずも無くただただ
馬齢を重ねて今日だ 馬齢って馬にも失礼なくらいかもしれないが
私も若い時には老人は何故あんなに○○なんだろうと不思議に思うことは沢山あった。 然るに老人初心者の今の私にはその全てにお答えできる自信がある。
即ち年を取ると言うことは老人の気持ちがわかってくると言うことなのだ
例えば、同じ事を同じ人に何度も話す それもとびっきりのしたり顔で
お次は、あれ それ と固有名詞がなかなか出てこない
なのに頭を過ぎった駄洒落はスラスラと飛び出す
終いには腰が痛い 首が重い 血圧が高い 尿酸値も気にかかる 話は体の事ばかり
そう 理由はあるのだ。それはつまり気力 キーワードはキリョクなのだ
齢を重ねるとまず気力が減り出す 気力の減退は体調を変えていく
体の不調は気力を弱らせる。負の連鎖の始まりなのだ 全ての根源は気力にあり
その結果とにかく面倒臭くなる 向上心や好奇心とも無縁となる 今までの経験値だけの変化を好まない日々を送りたがると言う訳なのである。
やがて脳味噌が退化する ただの味噌になる
書いていて自分でも嫌になってきた 絶望的だ オーマイガー!
Oh! my GOD なんてこったい!アメリカアニメ「ポパイ」で初めてそう訳されたらしいが 「なんてこったい」って言っている人を私は妻以外に知らない
台所で突然「あ〜 なんてこったい!」と声が響く、多分「なんてこったい」が起こったのでだろう しかし良い訳だ アメリカに住む日本人の友人がアメリカ人に対抗してオー・マイ・ブッダと言っていたのを思い出す。ナイスな奴だ
さて話を戻し 年を取る事の良きことはと考えてみる 昔、老人力なる言葉が流行った時期があった なんだ老人力って なにやら物忘れを武器として嫌なことも忘れ、前向きに生きよう的なものであった気がするが、穿った見方をすれば
後ろ向きなポジティブ思考と言うことであろう。
しかしながら最近私もちょっとそれに乗かっている 十年も前で有れば職場の若者に「いいですよ、やっておきますから」等と言われると妙に年寄り扱いをされた気分なり悶々としていたが 還暦も過ぎると、ありがとーと素直に言えるのだ これぞ老人力 前向きだろうが後ろ向きであろうが気分が楽ちんなのだ
そして何より大事な事は世代間のスムーズな人間関係である 彼らに対して若ぶる事も競い合う必要も全くないのである。たぶん・・
と言うことで甘んじて今はおんぶにだっことさせて頂いている。
無論 それに伴い自分も周りに気を遣わなくてはならない それが好好爺
十八番の話も必ず 「以前も話したと思うけど」の枕詞を添えるようにしている
ああ聞きましたよと言われれば、だよね〜と流し 何でしたっけと言われれば
こってりとお話しをすると言う次第である。
まじめな会話時の四文字熟語の使い方にも気を付ける ちょっと使うのは話の重みを増す良い調味料となるが、これ見よがしにガンガン使うのは相手の心が遠退き、ただただ普通のお小言となっていく諸刃の剣である 臥薪嘗胆 切磋琢磨
明鏡止水 等は要注意
九州出身、自称豚骨ラーメン命の友人がどんな店の豚骨もニンニクたっぷり入れりゃ皆同じ味になちゃうんだよ〜と言いながらドバッとニンニクを入れていたのを思い出した きっと旨くない豚骨ラーメンだったんだろう 渾然一体
ここまで書くと何もそこまで若いやつにとお思いの貴兄もいらっしゃろうが
年を取り己が姿を見つめ直すのは全て自分の為なので有る
例えば自動車にしても新車の時にはどんな車もピカピカしていて格好良いものであるが時がたてば塗装も日焼けし、サビも出てくる エンジン音も大きくなり
振動も激しく燃費も悪く やがてオーナーはそろそろ乗り換え時かなとなる
しかしながら其れが己自身とすれば乗り換える等と言うことも当然出来る訳も無く雨風の中ただ朽ちてい行くだけなのである。 合掌
然るに若者という車検でチェックを受けていれば格好いいクラシックカーになれるやも知れぬと言う寸法である 綺麗なクラシックカーは現行の新車よりも魅力的だとカーマガジンに載っていた記憶があるが誠にその通りだと思う
だから今日も自分磨きのワックスでコミュニケーション滑らかに・・って
めんどくせな〜 日々これ口実 也
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