閑話 ゲーデル数の不完全性と概念存在、「サングラス」の概念について
1. ゲーデル数の不完全性について
・以下に述べる点により、ゲーデル数は不完全である。
・ゲーデル数は形式言語のそれぞれの記号や論理式に一意に割り振られる自然数である。
・そのため、ゲーデル数に重複があってはならない。―①
・ここで議論を分かりやすくするため、2進法によって論理を進めていく。(その場合でも10進法と同じように一般性を失わない)
・ゲーデル数においては、
記号 0 f ¬ ∨ ∀ ( )
ゲーデル数 1 3 5 7 9 11 13
のように各論理記号に自然数(素数)による番号が与えられている。
・また、2進法の定義により、0=¬1である。
・ここで議論を分かりやすくするため、「1」に対応するゲーデル数を17と置く。
・上記より、ゲーデル数 2¹=3⁵・5¹⁷となる。
→ゲーデル数に重複が生じる。―②
・②は①に矛盾し、ゲーデル数は不完全である。
《補足》上記重複は10進法でも成立する。なぜなら、
0=¬1∧¬2∧¬3…¬9
=¬(1∨2∨3…9)
ここで便宜上、1∨2∨3…9に対応するゲーデル数をαとおいても一般性は失われない。
その場合
2¹=3⁵・5¹¹・7のα乗・11¹³となり重複が生じる。
2. 概念存在、また事物存在について
・世界には、「概念存在」と「事物存在」が存在する。
・ここで、「事物存在」を概念以外に実際に物質的に存在しているもの、「概念存在」を物質的にではなくあくまで概念として存在しているものと定義する。
・また語の定義上、「概念存在」は「観念」とは異なる。つまりあらゆる人類共通の認識であると言うことができる。
・「概念存在」と「事物存在」は必ずしも一致しない。つまり、「概念存在」にだけ存在し「事物存在」には存在しないものが存在する。
《証明》
・「概念存在」と「事物存在」が完全に一致すると仮定する。その場合、「概念存在」と「事物存在」は1対1対応しなければならない―①
・ここで、ゲーデル数を完全なものと定義する。―②
・①②より、「概念存在」と「事物存在」はゲーデル数により1対1対応する。―③
・ここで「0」の概念を取り上げる。③より0はゲーデル数により「概念存在」と「事物存在」として1対1対応する。つまり一意的に表すことができる。
・論文上記「1.ゲーデル数の不完全性について」より、0はゲーデル数により重複して表されるため、1対2対応し③と矛盾。
・0の定義上、0が概念存在であることは自明である。したがって0は事物存在とは対応しない。つまり事物存在ではない。―④
・つまり「概念存在」にだけ存在し「事物存在」には存在しないものが存在する。
・しかし、論文上記「1.ゲーデル数の不完全性について」と②は矛盾する。そのため新たにゲーデル数「1」に対応するものを、ω0と定義する。
定義に関して、ω0≠(¬1)、0=ω0∧(¬1)と置く。(2進法の場合)
・また、ω0は数学上の定義であることは自明であり、一般的に言う「整数0」(-1と+1の間の整数)の意味合いで用いる。整数0はペアの集合で表すことができ、ペアの集合はゲーデル数で表示可能なのでω0もゲーデル数で表示することが可能である。
・定義に関して、ω0はいわゆる「位取りの0」とは異なる。なぜなら、
「位取りの0」=¬(1∨2∨3…9) (10進法の場合)となり、
(2進法の場合)¬1に対応するからである。
・またω0の性質上、ω0を概念存在としてのみ定義し事物存在と定義しないとしても差し支えない。
・また、空集合 ∅に関して、|∅|=0であるため、|ω∅|=ω0となる空集合「ω∅」を定義する。
《補足》2進法に関して、1は「有」、0は「無」と定義できる。また¬1は1の否定であり、有の否定であるため無である。―①
ここで無と否定が切り離せると仮定する。その場合無は有ではないため¬1となり自己矛盾。したがって0と¬の完全分離は不可能である。それをあえてω0≠(¬1)とするω0を定義しているので、ω0は概念存在であり、事物存在には対応しない。
3.「サングラス」の概念について
(ここからは哲学的な議論である)
・上記より、「概念存在」と「事物存在」は必ずしも一致しない。ここで「サングラスの概念」を提唱する。
・つまり、「概念存在」はサングラスをかけた時に眼前に現れるような形で存在する。そのサングラスを外せば、概念存在は見ることができない。またサングラスは複数存在する。
・つまり相反する複数の概念が同時に存在することは可能である。なぜなら、「概念存在」と「事物存在」は必ずしも1対1対応する必要はないからである。
・ここで、自然数は「概念存在」と「事物存在」の両方に存在する。しかしラッセルのパラドックスで言及されているような
R={x|x ∉x}
は概念存在のみに存在し事物存在には存在しないと仮定できる。
・今後の議論として、「概念存在」と「事物存在」の分離を個々の概念に関して実施していく予定である。
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