メビウスリング
最近よく首を撫でられる。人体の急所に触れられているのに、嫌悪や恐怖は沸かない。仔猫を可愛がるような傷つけない触り方だから。大きな掌、節くれだった太い指で擽られるように触れられて、気紛れに自分から触れて解る事だが、荒々しく見える逞しい手の爪は常に短く整えられ、長さがあるので木彫りの彫刻品のような端正さがある。
最期はこの手で首を絞めてほしいなと願うドロップは当然知らない。自身の脊髄辺りにチップが埋め込まれている事なんて。
本来は動物の生息域を測るためのGPSと高性能の盗聴器。体内の微弱に発せられる静電気で逐一充電が行われ、通信は衛星を使っているのでドロップが地球上ならどこにいても感知できる状態だ。何を望んでも構わない、ただ離れて行かないでほしいという願いがこめられた、ガマズミなりの愛の証だった。
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