第二章 大波乱の勇者ラン!
第7話 攻略班、作ります!
<前回までは>
『サラクエⅢ』を購入し、数年ぶりにゲームをすることになったタローは、ゲーム内で不思議な神父さまに出会ったり、変なバグに遭遇したのだった。そんな彼は、現実の世界でも女性と出会い、、、
そんな中、NPC界隈では『サラクエⅢ』の世界にバグによる崩壊の危機が迫っていることが判明。神父さまや店主、村人は、崩壊を防ぐべく、1ヶ月以内のバグ除去を目指すことに、、、
<本編はここから>
≪メールが来ている≫
件名には“お誘い”と書かれていて、差出人はあの神父のようだ。内容は、明日の夜11時に新イベントが開かれる街の広場で会いましょうというものだった。
「明日は金曜だから、参加出来そうだな。さてさて、寝ますか」
一人暮らしの静かなアパートに住むタローは、毎日ゲームを少ししてから寝るのを日課にしている。内心、そろそろ一人暮らしを脱却したいと考えているが、別に候補がいない......と思っていた。
-翌日 お昼休み
「先輩、この前はどうも!」
社食で絶賛ぼっち飯中のタローに話しかけてきたのは、この前ゲーム売り場で遭遇した高橋すみれだった。
「この前はどうも」
「何だかそっけないですね!先輩は何のゲームやってるんですか?」
「えっ......」
タローは思春期の男子のように、目線も合わせずに定食の焼き魚を突っつくばかり。そんな中、すみれはグイグイと寄ってきて
「サラクエとかやってませんか?私、最近買ちゃんですけど、ハマちゃって」
「やってる......」
「じゃあ、明日土曜日ですし家行っていいですか?」
「え!?」
-サラクエ内
「まずは、この新イベントを攻略します」
≪姿を消した勇者を探せ!勇者ラン≫
そう銘打った新イベントが、二日前から始まっている。
「一応、勇者を倒すとボーナスポイントという方式に変えたらしい。とはいえ、その勇者が強すぎるんだと」
ユーザーからの情報を持ってきた店主は、自分の店からイベント特効の武器をかき集めてきた。
「特効武器があっても、使う人が少ないっす」
村人の視線の先にあるのは、たった七人の攻略班であった。神父さまの
「とりあえず、私が少し探してみますね」
そう言って、神父さまはユーザーエリアへ向かった。
-夜10時 タローの自宅
「少し飲みすぎちゃったかも」
「高橋さん、大丈夫ですか?」
すみれを担いだタローは、とりあえずソファーに寝かせた。寝かされた張本人は酔いとは違う笑みを浮かべる。
この夜を境に、静かだった一人暮らしの部屋は騒がしくなるのであった。
-夜11時 サラクエ内
「あれ?今日は忙しかったのでしょうか」
その頃の神父さまは、行き交うユーザーを眺めるばかりであった......
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