あーさとしょーた

野内ラス

あーさとしょーた

今日、6月1日、相川翔太は告白された。

校舎の屋上、夕焼けが2人を照らし赤に体も心も染め上げる。

告白してきた葵田あさがおは羞恥で顔を染める、しかし、顔はそらさずしっかりとこちらを見つめる。

「いやなら、『いや』って言ってくれていいからね。」

少し悲しげな表情を見せたが直ぐにそれを引っ込める。

「いや、そんなことは無いよ。」

「じゃあ!」

あさがおが期待に目を見開く。

「はい、こちらこそよろしくお願いします。」

まさに、朝綺麗に咲く朝顔のようにぱっと笑顔を咲かせた彼女に目を奪われ、目を離せないなった翔太にギュッと抱きつくあさがお。

初めての女子とのハグに戸惑いつつも翔太はあさがおの背中に手を回した。

シャンプーのいい匂いと彼女の体の柔らかさはいつになっても忘れないだろうと心の中で思った。

「いい匂い。」

翔太の胸に顔を埋めたあさがおが呟く。

その熱い吐息はシャツを通り越し直接肌に届く。

「あさがおさんもね。」

と返しす。

「あーさって呼んで。私もしょーたって呼ぶから。」

顔を上げ少し不満げにぷーと頬を膨らませる。

あーさとは彼女のあだ名で、しょーたとは自分のあだ名である。

「わかった。」

「じゃあ、呼んで。」

「え、えぇ。」

「いいから。」

「あ、あーさ。」

あだ名を呼ぶだけでのぼせそうになる。

「んふふ。」

にやけ顔を見られたくないのか再び顔を埋める彼女を見て、こんな可愛い子を自分が彼女にしていいのか、と思ったがそれは直ぐに考えるのをやめた。

そして、きっと彼女の動作ひとつひとつにこれから目を奪われていくのだろうと思っい、もう一度確かめるようにギュッとさっきより強く手を回した。

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