第2話 イヤン。不気味な生物。

「ヤバいヤバいヤバいヤバい!!何だよこいつら!」



ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!


奇声を上げながら不気味な生物が追いかけて来る。

逃げ切れない速さではないが、理由も分からず追ってくる恐怖と、竹を避けながら不慣れな足場を走るのはとても体力を消耗する。



何が“不気味”か。

見た事の無い生物がワケも分からず追いかけて来る。

この状況が不気味と感じさせる最たる理由だが、その生物、見た目が歪いびつなのだ。

頭があり、胴があり、胴から手脚が生えている。パッと見の構造は人間の身体と変わらない。


だが、胴や手脚は異常なまでに痩せており、骨と皮しかないような細さである。

皮膚は真っ白。人間に対して使う色白とかそんなレベルではなく、本当に白色なのだ。


顔にはギョロっとした目。鋭い牙を持った口。鼻は無いが、角が生えている。

歪いびつと表現した一番の理由が顔だ。

目と角の大きさ、配置、数がバラバラなのである。

複数体から追われているが、それぞれが別の大きさ、配置、数が違う。

根源的な不気味さを感じる。



「怖えええええ!気持ちわりいいいいいい!」


冷静に姿を見る事なんて出来ないので、直感的に“ヤバい何か”という認識だけでとにかく逃げていた。





「ハァ…ハァッ…ヤ…ヤベェ……」

(流石に疲れてきた…なんなんだよ…こいつら……)



どれくらいの距離、時間を全力で走っただろうか。

息切れが激しくなってきた。

その生物は全く疲れておらず、本能的に追い掛けてきている。

このままでは、本当に追い付かれる。




「ハァ…ハァ…マジで……どうすりゃ……」




ビリッ‼︎

「クッ…!」



右腕に電気のような衝撃が走った。


(くっ…コイツは出したくねぇけど…)




ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!



奇声が近い。そこまで来ている。


右腕の衝撃は知っているものだ。

この状況を打破できるかもしれない。


迫ってくる不気味な生物に向けて右腕を突き出した。




すると次の瞬間、後ろからーーー




「どいてなさい!」

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