第2話 捜査開始

 翌朝の早い時間から山口の捜査は始まった。前日のうちに内田の職場は調べられていて山口はそこに向かうのである。

 内田の職場というのは科学系の企業でこの業界では大手企業である。内田は企画を担当しているようで社内ではエリートとされているらしい。

 山口は内田の上司坂下、同僚山上に話を聞いた。

「彼は大学卒業後弊社に入社し、新たな切り口から企画を作っていって優秀な社員でした。亡くなったなんて彼のために私がまだ何かできたことがあったと思うと後悔しても悔やみきれないです。」

「入社後から仲良くしてて彼とは角利スミトシ景汰エイタと名前で呼び合う仲で2ヶ月に一度程度は二人で飲みに行ってました。友人として彼の死の真相を最後まで調べてください。」

 二人の話では内田の家族からの話にもあったように誰にも殺されるような理由が思い付かないということで新たに捜査線上に上がってくる人物もいなかった。

 山口は現場周辺で何かを目撃している人がいる可能性への期待から現場周辺の聞き込み調査をすることにした。

 現場のほぼ目の前に立地するマンションの住人なら何かを見ているかもしれないと山口は管理人に話をして中に入れてもらい、各部屋を訪問しては話を聞いた。

 多くの人からは有力な情報が得られなかったが、一部の人からはサイレンが鳴る一時間ほど前に二人の人物が現場周辺にいたという話が得られた。

 その二人の人物のうちの一人が内田であるという根拠はどこにもないため確実なことは分からないが、他殺の可能性が高くなった。

 ここまで情報を掴んだところで山口の携帯電話がなった。

「新しく分かったことがいくつか出てきたので緊急で捜査会議をするので戻ってきてください。」

ちょうど山口の方にも分かったことがあったのでいいタイミングでの捜査会議である。

「分かった。俺の方でも新しく分かったことがあるからそれも伝えさせてくれ。」

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