第14話授業を楽しむ少女
「今日から、また実践授業が再開しますね。」
「はい。この前のことで一時中止になってましたが、競技場がすっかり元通りになったそうですね。」
「リーナ、次からは気を付けるのよ?」
「分かってます。次は力を1%に押さえます。」
まだ記憶に新しい、ナーヤさんとの決闘。
圧倒的な力の差だったけど、競技場が脆かったのかそれとも私の力が強かったのか。
どちらにしろ、競技場のバリアが壊れ、1週間修理しなければならないほどになってしまい、勝敗は出なかった。
「それにしても、あれから魔法の方の授業に出るよう勧誘が来てましたが、結局断ったんですか?」
「そんな話があったの?それなら移ったらいいじゃない。」
「ですが、うっかりまた壊してもいけませんし、そうなったらお姉さまにも迷惑をかけてしまいます。さらにこれ以上問題を起こせば、お父様の耳に届くかもしれません。そうなったら、家に戻されるかもしれません。せっかく、レオナちゃんとお友達になりましたし、お姉さまとこうして学校に行けることができなくなってしまいます。」
「リーナちゃん。……それでも、どこに居ようと、私たちは友達だよ!」
「レオナちゃん、ありがとうございます。」
嬉しさを心にしまい、今日も学校に向かう。
そして、今日もまた授業を順調に終わらせていき、お昼休みに。
「ついに次の時間が、実践授業ですね。緊張しちゃいます。」
「大丈夫ですよ。自信を持って。」
「たぶんね、リーナちゃんに言われると、みんな逆効果になっちゃんじゃないかな。」
「そ、そうなんですか!?私、悪い事をしてしまっいたのですか!?」
良かれと思っていたことがどうやら裏目に出ていたらしい。
次からは意識しなければ。
「そうじゃないよ。多分、みんなリーナちゃんみたいに魔法はすごくないと思うの。でもね、あのを見た後に自分の魔法を使うと、悲しくなっちゃうんだよ。」
「悲しくなってしまうのですか!?私は皆さんにそんな思いをさせてしまっていたなんて!?……レオナちゃんも……そうなんですか。」
これはもしかしたら、友達を失くしてしまう事をしていたのかもしれない。
それならばそう急に謝らなければと聞いて見る。
「私は違うよ!リーナちゃんはすごいなって尊敬してるよ。今のはただの友達の意見だよ。私は自分の魔法がすごいって思ってないから、どちらかというと、上との差が開きすぎてないか心配だったよ。そう言う意見では、リーナちゃんとの差が開きすぎて困っちゃうけど。それでも、リーナちゃんを超すより、みんなを超す方が簡単そうに見えてきて気持ちが楽になったんだよ。それにね、リーナちゃんみたいになりたいなって言う目標もできたんだよ。」
「それならよかったです。前向きな気持ちになれて‥…。でも、今後はお姉さまを基準にしてはいけませんね。」
「どうして、サナ先輩が出てくるんですか?」
どういうことだろうと、レオナちゃんが聞いてきた。
「私はいつもお姉さまといたので、お姉さまが出す力にあわせた力しか出さないつもりでいたんです。そしたらやらかさないと思ったんですが、どうやらこちらではお姉さまも力をだいぶ抑えてるようで。情報力が欠けてしまっていました。」
「あの時の力もサラ先輩なら出せるってことですか!?それってこの学校で一番強いのってサラ先輩かリーナちゃんってことですか!?」
「いえ、私は子供の時からお姉さまに勝ったことはないので、お姉さまが一番強いと思いますよ。」
お姉さまと昔魔法の練習をしたことがある。
でもその時からお姉さまに勝ったことはない。
「サナ先輩はいつもニコニコしてて優しそうなのに、力では圧倒的なんて!?もしかして、あの笑顔の裏では……あわぁわぁわわ。」
「そんなことないですよ。お姉さまは、そんなことは考えてないですよ。私は子供のころからお姉さまのことを見てきたんです。そんなことを考えていないことぐらい分かります。」
「そうなんですか?」
「はい。お姉さまが学校で見せる笑顔と怒った時や何か企んでいるときの笑顔では、頬の緩み具合と目の角度、その他もろもろで違うんです。だからこそ、あの笑顔は心から笑っていると断言できるんです。」
胸を張って主張する。
私のこれまでのストー…観察の結果からそう言う事が出来る。
「あ、そろそろ時間ですね。」
「ほんとです。話していたら、こんなにこんなに時間が経っていたなんて。」
時計の方を見れば授業まで残り10分もなかった。
急いで次の実践授業の支度をして、それぞれの集合場所に戻った。
「よし、みんな揃ったわね。て、リーナさんは、魔法戦実践授業に行ってないんですね?魔法の才能があるのに本当にこちらでよかったんですか?」
「はい。私は、剣技を習ってみたいと思ってるんです。それに、魔法が使えても接近戦になれば不利になります。」
「よく分かってますね。そうなんですよ。それを今日皆さんに知ってもらおうと思ってたんです。」
全体に向かって、ワカバ先生が話し出した。
「そもそも、剣技を習う必要があるのか。魔法という便利な力があるのになぜか。それは今リーナさんが言ったように、接近戦に近づかれたら魔法は不利になります。そこでまずは、どういった行動をすれば魔法使い相手に勝てるのか。それを今日は実感してもらおうと思います。ここの一年生、立ってください。」
「は、はい!」
「まず聞きますが、どうすれば接近戦に近づけると思いますか?」
「え、えーっと、……分かりません。」
答えれなくてしょんぼりしてしまった。
「別に落ち込まなくてもいいですよ。分からない事があるのは当たり前です。私も最初は分からなかったんです。では、違う質問をします。あなたは魔法を切ることができますか?」
「そんなことはできません。」
「どうして無理なんですか?」
「そんなの考えただけで…」
「では、私が合図をしたら魔法を打ってください。」
「わ、分かりました。」
と言って、先生は腰から剣を抜刀し前に構える。
「それでは打ってきてください。」
と、準備が整ったのか合図を出す。
「ファイアボール!」
そう言って、先生に向かって火球が放たれた。
が、先生はピクリともせず、ギリギリまで引きつけ、と思ったら剣が少し光を放ち・・・、
たった一撃で真っ二つにしてしまった。
「え!?私の魔法が!?」
「今皆さん、ちゃんと見ましたね。このように魔法だって切ることができるんです。」
と、剣を鞘に戻し話を進めた。
「今やったのは、剣に魔力を通し切り裂く、【
「今の技で、当たりそうなら切り落とし、近づきます。」
「正解です。そう、これさえ出来れば最低限は戦えます。と言う事で、今日からはみんながこれを使えるように頑張ってもらいます。ですので、2人組になってください。」
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