第13話部活動をする少女6

「お姉さま、この服はどうですか?」

「全体的に明るい色でまとめていて別にいいと思うわよ。ただ、暗い色も取り入れてみたら?服の色合いにもバランスがいると思うの。すべて明るい色で統一してしまうと、それぞれの良さがなくなってしまうわ。」

「そうですか。……それでしたら…」


試着室にまた入り、違う服を着る。

今は、私とお姉さまのお出かけという事で普段着用の服を選んでいた。

私は王宮暮らしなので持っている服と言えばドレスと、学校用の制服と体操服、実験室にある白衣だけだった。

そのため、街中に出掛けるにも、着ていく服は制服だけだったので今日まとめて買うことにした。


「お姉さま、こちらはどうでしょうか?お姉さまに言われた通り、暗い色も取り入れてバランスをよくしてみたんですが。」

「‥え、ええ。いいと思うのだけれど、それはやめといておいた方がいいわよ。こっちなら良いんじゃないかしら?」


お姉さまが似合いそうな服をえらんでくれた。

さっきのは似合っていたのだが、初対面の人が見れば『裏社会の女』というイメージが付きそうだとお姉さまに言われたのでなしに。

逆に似合い過ぎていて、リーナのイメージを悪くしてはいけないと思い、お姉さまはここでストップを押してくれたらしい。


「お姉さまが選んでくれたものなら絶対何でもにあいますよ!!すぐに着替えてきますね!!」


試着室に入っていく。そして、着替え終わると出て、


「どう、ですかね?少し露出が多い気がするんですが。」

「腕や膝下が出る服なんて今どき普通なのよ?リーナは、ドレスぐらいしか着ないから違和感があるだけよ。それにしても、うん。似合ってるわ。」

「そ、そうですか?それなら今日はこれを買います。」

「どうする?もう1セット買うことにする?1セットだけだと、少ないと思うわよ?」

「それなら…」


と、少しもじもじとさせながら、


「お姉さまが選んでください。私は、ファッションにも疎いですし、今どきの服というものが分かりませんので。」

「それぐらいいいわよ。それでどんな服がいいの?どこを重視するかによって、色々案があるから。」

「それでしたら、着心地がいい物と、少し涼しいものがいいですね。最近は暖かくなってきましたし。」

「それなら、上着の下にタンクトップというのもアリね。…他には、ワンピースに沿って選ぶのもいいけど‥‥」


真剣に考えてくれているようだった。

期待に応えたいという気持ちと、私に恥をかかせたくないというとてもありがたい気持ちから、さらに、ガーディナーとして磨き上げかれた目を持つものとして火が付いたようだった。


そして、数分して答えが出たようだった。


「やっぱり、リーナにはワンピースが似合うと思ったの。清楚なイメージが引き立つし、ちょうどいい色があったの。」


選んだ服を持ってきてくれた。

持ってきてくれたのは言葉の通り、ワンピースだった。

明度が高く再度が低めのピンク色で可愛らしいワンピースだった。


「ありがとうございます。私、この服絶対買いますね!!」

「まだ着てみないとだめよ。イメージだけで選んでも実際とは違ったりすることもあるんだから。」

「分かりました。それでは、着替えてきますね。」


そして、何度目かの試着をする。


「どうでしょうか?似合ってますか?」


全身を見せるように、くるっと回転してみた。


「うん、いいと思うわよ。ちゃんと似合っているわ。」

「そうですか!では、これもちゃんと買いますね。」


と、計2セット買うことにした。

それから、街をぶらぶらと歩きながら、観光気分を味わっていた。


「お姉さま、あそこの屋台でクレープが売っています。一緒に買いませんか?」

「ちょうどいいわね。休憩がてら食べましょうか。」


列に並び、わたしはイチゴとカスタードのクレープを、お姉さまはブルーベリーとラズベリーのクレープをそれぞれ買うことにした。


「う~~ん。甘くておいしいです。」

「こういう時に甘いものを食べると、気持ちが落ち着くわね。」

「はい、そうですね。」

「そういえば、リーナはイチゴとカスタードだったわよね?おいしそうだから一口だけちょうだい?ちゃんと私の方もあげるから?」

「え、えーっと、私はいいですが、そ、その、お姉さまは気にしないんですか?人の食べかけを、食べると言うことは、か、かん、かんせつ、キス、になるということですから。」

「女の子同士なんだから気にしないわよ。しかもリーナの食べかけだから。他の女の子だったら、言わないかもしれないけれど・・。」

「わ、私、だから‥。分かりました!!食べてください!!」


お姉さまの方にクレープを向けた。そして、そっとお姉さまが顔を近づけ一口。


「こっちもおいしいわね。…?どうしたの?顔が赤いわよ?もしかして、やっぱり嫌だった?」

「そ、そんなことありません。むしろ、うれしい、と言いますか、なんといいますか…。」

「それならよかったわ。それじゃあ、はい。」


と、と今度はお姉さまがクレープをこちらに近づけた。


「お姉さま、これは一体?」

「私のも一口上げるって言ったでしょ?私ばっかり取るのはよくないと思うし。」

「い、いいんですか!?私なんかがお姉さまの食べかけを貰っても!?」

「あなたがくれたんだからお礼をするのは当たり前でしょ?」

「そ、それなら‥。」


今度は、リーナが顔を近づける。顔が近づくにつれ、どんどんと鼓動が早くなっていく。そして、一口。はっきし言って、味までもう理解できなかった。気持ちが爆発する寸前でそれを止めるために深呼吸をする。


「リーナ、ちょっとこっちを向いて?」

「え?」


そう言われたので、お姉さまの方を向く。すると、手を伸ばしてきて、頬っぺたの方で人差し指を軽く動かす。


「ホイップクリームを頬っぺたにつけるなんて、まるで子供みたいね。」


そして、取ったホイップクリームを食べた。


「////~~~~~~~////]

「どうしたの?もしかして子供っぽいって言ったのに怒っちゃった?ごめんなさい。そう言うつもりで言ったわけではないの。」


どうやら勘違いされてしまったが、恥ずかしすぎて言葉が出ない。きっと今は顔が真っ赤だと自覚しながらもあふれ出した気持ちを抑えることはできなかった。」



―――――――――――

―――――――

――――

――



「それで今日はどうだったかしら?」

「はい。とても楽しかったでえすよ?あの子猫ちゃんには躾をっと思いましたが、他はとてもいい経験になりました。」

「それならよかったわ。」


寮までの残り道を歩きながら話していた。


「今日はお姉さまとお出かけができてとてもうれしかったです。」

「そう言ってもらえたのなら何よりだわ。そう言えば、学校の方はどうなの?」

「レオナちゃんもいますし、何も問題ありませんよ。それに、勉強は王宮で暇な時間に終わらしてきましたので。」

「本当なら、学校で受ける授業を予習なんてできないんだけどね?まあ、今のとこらは大丈夫そうね。でも、困った時にはちゃんというのよ?」

「はい。分かってます。」

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