第10話部活動をする少女3
「サナちゃん、会議終わったわよ。…あら?リーナちゃんと、レオナちゃんじゃない。」
お姉様に案内をしてもらい終わり、エーテル館の一階に戻って来るとマリア会長の姿があった。
「会議お疲れ様です。」
「マリア会長、お疲れ様です。」
「お、お疲れ様です!」
「しっかりと頑張ってきたわ。と、もしかして、見学に来てくれたの!今すぐ案内するわね!」
そう言って張り切っているところ申し訳ないけれど、ちょうどいま案内してもらったばっかりなのでお姉さまが説明することに。
「会長、もう案内はしましたよ?」
「そうなの!?それで、この部活はどうだったかしら?入部したいと思った?」
勢いというより圧を感じるぐらい迫ってきた。
それほど部員が増えてほしいという事が伝わってきた。
「はい、ぜひ入部させてください。」
「わ、私もお願いします。」
「本当!!これで、この部活も来年も存続できるわね!!」
「マリア会長、今それを言うときでは…。」
「そうよね!?つい、口が滑ってしまって。」
部員が少ないとは聞いていたものの、そこまでひどい状態だったとは聞いていない。
「お姉さま、今のはどういうことですか?」
「もしかして、私たちが入部しなかったらなくなってしまうんですか?」
マリア会長が滑らせたことでしょうがないという表情で説明してくれた。
「そうね。会長が行ってしまった以上しょうがないわね。」
「ごめんなさい、サナちゃん。」
「会長大丈夫ですよ。…それで部活動はね、部員が三人いないと廃部になってしまうの。だから、もし、あなたたちが入部しなかったら、来年はこの部活は廃部になってたの。」
「そんな!?こんなにいい場所がなくなるなんて。」
「そうね、私も無くなってほしくないわ。」
「もし廃部になってしまったら、ここに居る動物たちや、植物などはどうなるんですか?」
「一応他に引き取ってもらったり、森に返したりするわ。でも、動物によっては悲しい状況になることは絶対だわ。」
「そんなのって、あんまりでは…。」
「だからね、私も、部活を残せるように頑張っているのよ。…でもね、あなたたちが入ってくれるおかげでね、来年まで延ばせることはできたわ。本当にありがとう。」
今にも泣きだしそうな顔をしながら、お礼を言ってくれた。
お姉様も部活動は続けたい思いは一緒なのだと分かる。
私の力でどうにかしてあげたいけど、ここは学園側の問題なので手出しが出来ない。
だからこそ、私のできる最大限の手助けはしたい。
「大丈夫です。私たちが卒業しても、ここは残させますよ。私たちだって、入ってすぐに他の部に行けだなんて嫌ですもん。」
「わ、私もです。サナ先輩から、マリア会長がここの動物たちに飼育を担当していると聞きました。私、マリア会長が、ここの部活が大切だということは、ここを見ればすぐにわかりました。私も、動物たちが大好きです。だから、今後もここがなくならないようにしたいです。」
いつもはそこまで主張しないレオナちゃんが、ここまで主張したのも無理はない。それほど会長がここを大事にしているのを私も感じ取っていた。
そして、その気持ちは私にとってとても敏感な気持ちだから。
「サナちゃん、今日は寮でお祝いをしなくちゃね。こんなにもここを大切だと思ってくれる後輩ができて私、とてもうれしいわ。」
「そうですね。今日は、お祝いですね。ちゃんと、ヒマリも呼んで。」
「そうだったわ。ヒマリちゃんがね、またここに新しい子を呼んでくるそうよ。それに、お花や植物もいっぱい。」
「そうなんですか?ヒマリも今回張り切っているのね。」
「そうね。でも、二人も入部してくれるだけで私は、サナちゃんが1年の時から育てた花たちを最後までお世話させて上げられることができてうれしいわ。」
「お姉さま!私も、お姉さまが、最後までこの部活に居られる手伝いができてうれしいです。」
「サナ先輩、私もです。」
「みんな。そうね、今回は大いに喜ばないとね。それじゃあ、今日の活動が終わった後、みんなで買い物ですね。」
「ええ。お金は生徒会が出すから、豪華にしましょう。」
「本当ですか!」
「あの、サナ先輩、マリア会長があんなこと言ってるんですが、あれって…」
「レオナさん、今のは何も聞かなかった。いいわね。私も聞かなかったことにするから。」
喜んでいる二人と、縦に大きく首を振る一人と今後の部活は果たして大丈夫なのかと思う1人がいた。
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「いやー、今日は帰ったらいきなりお祝いだったからびっくりしたよ。それじゃあ、改めまして自己紹介をするよ。私は、二年生のヒマリ・ナータリック。気軽にヒマリ先輩って呼んでよ。私はこう見えて、色々なところに情報網やらツテやらがあるから、聞きたいことやら頼み事は何でも聞いてよ。」
と、堅苦しくない笑顔で自己紹介をしてくれた。
「それでは私から、リーナ・アインベルトです。私は、栽培とガーデニングを担当したいと思っています。それなので、ヒマリ先輩にはお世話になると思います。」
「そうなの。それじゃあ、楽しみにしているよ。」
「そ、それでは次は私が。私は、レオナ・クライアットです。私は、飼育を担当したいと思っています。ですから、マリア会長ご教授お願いします。」
「ええ、飼育の事なら任せて。何でも教えてあげるわ。」
と、みんなのあいさつが終わる。
「それじゃあ、そろそろ乾杯としましょうか。会長、合図を。」
「それでは皆さん、乾杯!!」
「「「「乾杯!!!」」」」
そうしてみんなが一口飲む。
「それよりも、私がいない間に入部してくれる人が来ていたなんてびっくりしたよ。来年もこの部活が続けられてうれしいよ。」
「ええ、本当に。」
「私たちはただ、先輩たちの活動に興味があっただけだす。そこまでのことをしていません。」
「リーナちゃんは、サナに似てるな。いやー、いい子が入ってくれたよ。」
「ほ、本当ですか!?私、お姉さまに似ていますかね!?」
「リーナ、そこではしゃいだら今のが台無しよ。」
つい、お姉さまに似ていると言われて胸が高鳴ってしまった。
お姉さまの言う通りここではしゃいでしまっては台無しである。
「まあまあ。それにね、レオナちゃんもいい子よ。私と同じことを考えてくれて。これはもう、しっかりとレオナちゃんに教えて上げれるよう一から勉強しないと。」
「マリア会長、そう言うことはうれしいですが、体だけは大事にしてください。」
「本当に二人ともいい子ね。私も今後、もっと情報網とツテを広げないと。」
「それ以上広げなくてもいいと思うけど、私もできることをしないとね。」
それぞれがしっかりと今後さらに努力しようと意気込んだ。
「それで、今後の活動について聞いてもいいですか?」
「そうね、5月からイベントを開始していく予定だから、それまでは、自分たちの担当をしっかり覚えていく期間という形かしら。」
「そういえば、私たちも、主にどんな活動を聞いていませんね。会長、ここで話してもらってもいいですか?」
「ええ、ちゃんと話すわよ。まだ日にちは調整中なんだけど、今回は、桜の木の植林活動をしようと思うの。ある程度成長した桜の苗をヒマリちゃんのおかげで入手できたの。それを、地域のイベントとして活動したいと思っているの。」
「桜の植林ですか。面白そうですね。」
「はい。桜はきれいですし。そういえば、お姉さまは、よく家の桜を見に来ていましてよね?」
お姉さまはお花が好きでさらに実家に植えられている桜をよく眺めていた。
「ええ。あそこのは本当に手入れも良くされていて綺麗だったわね。こっちでも、そんな桜が見れるようにしたいわね。」
「でも、桜って、育つのに時間が多く要りますよね?確か五年ぐらいだったはずですよ?」
「それは大丈夫よ。育つのは環境によって、期間は変わってくるもの。ここだと早く育ってくれるはずよ。それに今回の品種は最近作られたばかりの新種でね、育つのに1年のかからないと言われているの。」
「そうなんですか?そんなのがあったなんて。」
「…もしかしてその品種、『グローリア』というものではないでしょうか?」
ここでふと、マリア会長の説明と一致する桜の名前が出てきた。
この桜は私も良く馴染みがあるものだった。
「ええ。でもどうしてわかったの?かなり新しい情報だったはずなのだけど……。」
「それはですね、私もその研究に携わっていたんですよ。といいますか、そもそも私個人が始めたことでして、それを、協力したいと言われて共同開発をしたんですよ。」
「あなた、そんなことまでしていたの?でも、よくお父様とアイナ様が許してくれたわね。」
「実は、両親には何も言ってないんです。ですから、商品開発の欄に私の名前も載ってないんですよ。」
これに関しては、私が趣味としてやっていただけなので両親に話す必要もないかなと考えていた。
だから、私のしたことは多分知らないはずだし、私も知られないように足跡を残さないように徹底していた。
「リ、リーナちゃん大丈夫なの?。」
「大丈夫ですよ。みんなが黙ってくださっていれば。」
みんなが話さなければ両親には伝わらないので大丈夫なはず。
そう、大丈夫なはずです。
「リーナ、あなたとは一度話し合いが必要なようね。どれだけ隠し事をしているか聞かなくてはいけないわ。」
「そこまで隠し事をしてませんよ。」
「それで今回はどうしてこんなことを?」
「お姉さまが桜が好きなので、綺麗な桜が咲く研究をしていたんですが、他にもいろいろなのが作ってみたいと探求心をくすぐられまして……。」
「そうなの…ありがとうね。でも、今度からちゃんとアイナ様に許可を取るのよ?」
「はい。」
「それよりも、すごいな。この年でここまでの成果を出すなんて。」
「本当にいい人材が入ってくれたわ。これで、桜の木の植林のイベントをいい方法に進めていけそうだわ。」
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