第54話 序章

「え??」


93階層も洞窟だと思っていたが93階層は全く違っていた。


「どうやら93階層は火山地帯のようですね」


93階層では周りにマグマなどが流れていた。全大耐性があるおかげで普通に暑い程度で済んでいる。逆に言うと全大耐性を持ってしても暑いのだから相当暑いのだろう。



「っ!!?」


93階層を10分ほど進むと絶対感知があちこちで反応した。


「とりあえず鑑定結果を見して」


そう言って感知したモンスターの鑑定をしてもらった。



【名前】 

【種族】  火竜

【年齢】  0

【レベル】 10

【ランク】 SS


【HP】   14000/14000

【MP】   12000/12000


【攻撃】  1450

【防御】  1350

【魔攻】  1430

【魔防】  1320

【敏捷】  1620

【運】   18


【スキル】

・ひっかくLv.MAX・火炎魔法Lv.MAX

・暴風魔法Lv.3・暗黒魔法Lv.3・雷電魔法Lv.3

・黒炎魔法Lv.3・雷炎魔法Lv.3・高速飛行Lv.8

・詠唱省略Lv.MAX・無詠唱Lv.8・統率Lv.3

・連携Lv.8


【ユニークスキル】

・竜魔法Lv.6・覇気Lv.4・再生Lv.8・全耐性Lv.6

・合体魔法Lv.5


【称号】

・竜



こんな奴らが視界に入る範囲でも10体現れた。

火竜でさえ今の俺なら1体だけならあまり苦労しなくても倒せるだろう。


「この階層に火竜は何体いるの?」


「3桁はいますね)


それを聞くとこの階層は戦わないでそのまま走って突っ切った方がいいのではないかと思い始めた。


「付け加えますと、数えた限りの火竜は全てマスターを敵と判断しております」


「一体俺が何をした……」


俺はお前らに悪い事をした覚えはないぞ……

あれ?もしかして新種を生み出したのが悪かったのか?


「恐らく原因は幼竜を倒したことですね」


そんな初見殺しの罠は無理だろ……攻撃してこようとしてきたら倒しちゃうじゃん…


「悔やむのは後にしましょう」


「そうだね…」


ナービとの会話中にもうだいぶ近くまで来ているので相手をしていくとしよう。



「「「「「グアァァァァー!!!!」」」」」


「結界竜!」


射程距離に入った瞬間に竜魔法を放ってきた。最近の竜は最初に竜魔法を放つのがブームなのだろうか。


今回は時間差で来るので結界魔法の竜魔法で防いだ。


「遅せぇ!!」


部分魔族化で蝙蝠のような羽を作って神速飛行で火竜より上に飛び、カグロをハンマーにして今、飛んで来ている分は全て地面にたたき落とした。これで迂闊に他の火竜は竜魔法を放ってこないだろう。



「20!!」


下に落としたやつを確実に倒して行き、20体を倒し終わった。


「マスター!上!」


ナービに言われて上を見てみると50体ほどの火竜が集まって巨大な炎の玉を作っていた。下に飛んで来るやつも何体もいたので、上で何かを準備しているとは考えてなかった。急いで壊そうと上に向かおうとすると下にいる火竜が邪魔をして上に飛んでいけない。

ちらちら上を見ると炎の玉はだんだん小さくなっていく。



「あれはやばい!!」


「「「「「ガアァァァ!!!」」」」」


魔法はビー玉くらいのサイズになってこちらに放ってきた。ビー玉くらいに圧縮したのは魔法に方向性と威力をつけるためだったのだろう。下の俺や火竜諸共殺す気で放ってきた。なので急いで範囲外に転移した。


「「「「「ガアァ!!」」」」」


「嘘だろっ!!」


下の火竜は打ち合わせ通りなのかそのままその炎光線を俺の方に自分の竜魔法をぶつけて受け流した。

急いでどうするかを考える。神速多重思考のおかげで考える余裕は結構あった。まず転移か透過で避けるかのを考えたが周りに火竜がいい位置に配置しているので、また避けてもこちらに飛ばしてくるだろう。次はカグロで暴食しようかと考えたがどう考えても1回に喰える量ではない。


「結晶竜&氷嵐竜+瘴気と高速崩壊を添えて!」


良さそうなのが魔法で迎え撃つということしか無かった。魔法で精一杯のせいで、その間は防御ができず、後ろから竜魔法を放たれている。早く魔法をどうにかしないといくら超高速再生があるとはいえ大ダメージを負ってしまう。






「だあぁぁぁ!!! 隠密!転移!」


何とか押し切って急いで隠密や透明化を使って転移した。ただ匂いなどは完璧に消せないのですぐバレてしまうだろう。それができたら魔法を迎え撃たずに転移で避けれた。


「あはは……4524…」


ステータスを確認してみるとHPは4524しか残ってしなかった。現時点でも超高速再生で回復し続けているので大丈夫だが。



〈覇王になったので油断してましたか?〉


場所がバレるわけにはいかないので、ナービが声を出さずに話しかけてきた。


〈そうだね…〉


確かに覇王になったてから苦戦する場面もなくステータスも大幅に上がって調子に乗っていたのだろう。そして今回も相手のステータスは俺よりも低いから大丈夫と心のどこかで思っていたのだろう。



「「「グアァァー!!!」」」


〈場所がバレたようですね〉


〈そうみたいだね〉


だがHPもほぼ全回復した。今度は絶対に1人の俺に対する当て付けのような合体魔法なんかは使わせない。



「竜星爆群!!」


先手必勝ばかりに広範囲に触れたら大爆裂する竜の魔法をを空から落とした。


「おぉぉぉぉ!!!」


そしてその魔法が当たって落ちてくる火竜と当たらずに飛んでいる火竜の殲滅に向かった。






「これで最後だ!!」


「グギャァァァ……」


ドスンッ!


「はぁはぁはぁ……」


「お疲れ様です」


左腕が無くなっていて、全身もぼろぼろになっているが何とか勝つことができた。

そして最後の火竜が倒れた音がした後は久しぶりに静かになった。だが、この静かな空間は10秒と続かなかった。そして10秒後にこの火竜達はまだ序章に過ぎなかったと気付くことになる。






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