奇水雑話(雑談)
奇水
糖尿病は洒落にならない
はい。いきなり洒落にならない話ですね。
奇水です。世間ではライトノベル作家ということになっています。とはいえ、ここ二年ほど刊行していないので、その肩書はそろそろ外した方がいいのではないかという気もしますが、まあ別にあってもなくても困らないですし、ライトノベルを刊行したことがあるし、今も書くつもりで企画書いたりしているので、まだまだライトノベル作家を名乗っていてもいい――はず。
多分。
でまあ、二年ほど刊行できていないのは、私の人気があんまないからというのは関係はなくて、単純に企画が通らない&通っても書けないので中断しているだけです。
世間では企画通すだけでも大変だとツイートされている作家の方は多いのですが、私は割と担当編集様には企画を通すだけはしていただけます。通すだけは。
なんだかんだと二十年以上ワナビしてて、三十年くらい小説書いてたりすると、企画を通すだけなら問題ないくらいの蓄積はあるものです。
――――というのは、ただの自惚れでしたね。
結局はそういうの、蓄積ではなくてどれだけ日常的に物語を作ろうと考えているか、そこにリソースをかけられるかの問題で、蓄積とか、全くとは言わないまでもあんまり関係なかったです。私が蓄積と思っていたものは「手癖」とか「ワンパターン」とか担当様には切り捨てられてしまう程度のものでした。
そこらは仕方ないとして。
どれだけ創作に集中できるかが重要であるとするのなら、なんだかんだと、二年くらい前までは企画を通せるくらいにはリソースをかけることができたのが、今はできなくなっている……ということです。
ではそのできなくなっていることに理由があるかというと、ありまして。
まあつまり、タイトルにある糖尿病ですね。
他にも理由はあるんですが、糖尿病は本当に洒落になんないですし、今回はそこに焦点を絞って語りますと、私は長らく糖尿病を患っていました。
いつ頃に糖尿病になったのかというのはよく解らないのですが、恐らくは会社を辞めた後、ほとんど運動しなくなったのに、食事量そのものはほとんど変わらなくなっていた21世紀に入ったあたりだろうというあたりはつけています。
糖尿病というのはネットでぐぐれば解るのですが、それ自体がすぐさま体を悪くするという病気ではないです。厳密にいえば違うのでしょうが、長らく放置することによって生じる合併症が危険なのですね。
だから世の中には、若い頃に糖尿病であることが判明した後、節制をすることによって八十、九十まで生きて寿命をまっとうされた方もままおられるわけです。
しかし若い頃の私は、そこらがよく解ってませんでした。というか、三十くらいで糖尿病と判明した時、気をつけよう、明日から食事を節制しよう、週末には病院行こう……などと思っているうちに、七、八年が過ぎて、取り返しがつかないレベルで悪化してました。
病院に行くのが面倒だったとか、そもそもお金がなかったとか色々と事情はないでもないのですが、気づいたらあっという間のことで、足の感覚が麻痺して歩くのがしんどくなり、運動が億劫になり、自転車を購入しても乗りこなすのも辛くなり、また出歩かなくなり――という悪循環に陥っていたのでした。
その後で作家としてデビューしたりなど色々と私事に追われたというのもあるのですが、悪化を自覚してなお病院を後回しにしてしまったのは言い訳しようもなく愚かでした。
正直いうのなら、あの頃の自分は半ばヤケになっていたと思います。
それから小説を適当に年一冊ペースで刊行していたのですが、2017年の年末、ついに感染症を起こし、危うく死にかけました。
不幸中の幸い、右足の爪先を切断する程度で済んだのですが、半年近くの入院生活によって、すっかり体力が衰えてしまいました。
そうなると、小説を書くのがしんどくなってしまいましたね。というか、小説を書くのはまず体力ありきであり、体力が衰えると必然と書くのがしんどくなるというのは、理の必然です。以前から一応解ってはいたことですが、それをはっきりと自覚しました。
入院生活の間は、それでも環境がとてもよいということもあり、どうにかこうにか初の雑誌連載もできました。何せ気温は一定に保たれ、栄養管理もされた食事、ほどよいリハビリ生活など……思い返せば、理想的な環境と言えたかもです。ネット環境が悪いとか、大部屋だったのでプライバシーになんとなく苦慮していたとかありますが、それでもなんとか原稿は書き上げられました。
それが現在最後の著書である『この世界がゲームであると判明して100年が過ぎた』ですが――。
生憎と、続きは出すことはできませんでした。
売上的な困難もあるのですが、体力の回復が遅々として進まない上に、色々と家族とのいざこざがあり、精神的にも最悪のコンディションが続いたりして――色々と言い訳は言えるのですが、半ば自分の自己管理の及ばなさのせいです。
もう半分は母親のせいですが、まあそれはここではおいとくとして。
現在は企画を出してはダメ出しされ、通っては書ききれなかったり、プロットが通らずに破棄したりを繰り返し……というところです。
なんだか近況方向みたいな話に終始しましたが、今回はこんな感じに挨拶程度で。
次回からはもちっとエッセイっぽいものを投下したいと思っています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます