第8話 初めての会話

翌日


休日、気になって仕方の無い風歌ちゃんに逢いに出掛ける事にした


もちろん、冴多ちゃんに断りを入れて


心紀「…分かった。画面越しで良い?」


って。本音を言えば直に逢いたい


けど我慢だよね。このご時世だもの


-みんなの部屋-というプレートが付けられた扉の前に佇み呼吸を整えて


病院に付くと、冴多ちゃんというより、主治医の先生がOKしたとの事で


マスクを着ける


等の幾つかの決まりを守るならの条件でさ、逢わせて貰える事になったんだ


弾む心を抑えて


オイラは、ピアノの部屋の扉を軽くノック。返事はなかったけど開けると


♪ ポロン


今日も、ピアノを弾いていた風歌ちゃん


気配を感じたのか、風歌ちゃんがこっちを見たんだ



英士「この前は『初めまして。凄く寂しい曲だね』って言ってゴメンね」


そういうと、オイラは部屋の中に入りきちんと距離を取って、ソファーセットの椅子に気が付いたら座っていたんだ


風歌(…)


首をコテっと、オイラから見て右側に傾げて風歌ちゃん、何か考えてるみたい


風歌「絵は得意ですか?」


英士「まぁ、好きかな」


風歌「犬の絵を描いてみて下さいませんか?」


そんな事言う風歌ちゃん


持っていたノートから一枚切り取ると、立ち上がりオイラの方に風歌ちゃんが


テーブルの上に紙を置くと


風歌「あ、描くもの…」


だから


英士「大丈夫。オイラ持っているから」


絵を描くのが趣味なオイラ。良かった。ペンとかいつも持ち歩いていて


サラサラと、軽いタッチでワンちゃんの絵を描いて、ピアノの所に戻っていた風歌ちゃんに、今度はオイラが絵をもって近付いて


英士「はい。描けたよ。ワンちゃん」


風歌「上手ね」


話ししながら、笑顔は無かったんだ。けど、微かに微笑んだんだ


風歌ちゃん…







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