第5話 「 FileMaker 購入」
購入品の検討が完了し、すでに補助金の申請も通過していますので、早速発注を行います。
FileMakerは、すでに評価版がダウンロード済の為、サイトから支払い手続きを行い、正規アカウントへ変更になりました。 それと共にFileMaker Server のダウンロード用アドレスもメールで送付されてきました。
プリンタはネットで購入し、Apple製品(iPad/mac-mini /Apple Pencil)はAppleのサイトからすべて購入可能なので、必要数を発注しました。
それから数日後に iPadが5台到着しました。 まだFileMakerで販売管理システムを作っていないので普通のiPadですが、初期設定を済ませて先に全員へ配布を済ませる事にしました。 なぜかというと、機器類に慣れていない社員やApple製品を使った事がない社員にも先に慣れておいてもらう為です。 地図を見たり、メールで社内連絡をしたり、IT機器に少しでも慣れてもらう必要があった為、iPadでFileMakerを使用するのは、まだ先になりますが、個人用iPadとして持ち帰りも許可しました。
作成予定の販売管理システムは、社内ネットワークに接続しないと見る事はできませんし、iPadなら指紋認証や遠隔ロック等も行えるので、紛失による情報漏洩の心配はないと判断した事と、情報端末機器を身近に所有する事で、スマートフォン感覚で気軽に業務利用できる環境を目指したかったからです。
まあ、iPadに表示される販売管理画面のスクリーンショットを保存していれば、データを持ち帰る事もできるだろうからセキュリティは万全ではないという意見も出るかもしれません。ただ、そのようなセキュリティを破る方法は他にいくらでもあるように、ある程度のセキュリティ対策を行っていても人間の悪意ある行動に対しては防ぎきれるものではないと私は考えます。 悪意のある行動=モラルハザードが発生する原因は待遇や環境面に対する不満から起こるものであり、それらに対応できる社内環境を整える方が重要であると思います。
個人情報を扱う企業や不特定多数の社員・派遣スタッフが出入りするような企業の場合は端末の持ち込み制限まで行うレベルのセキュリティーが必要だと思いますが、BtoB営業が中心でさらに(小声で)零細企業である当社では情報端末の持ち込み・持ち帰りに制限をつける必要は無いと判断しています。
また、販売管理システムが完成した場合、iPadを専用機として設定し、FileMaker以外は使用できないようにする事も可能ですが、iPadに付属するアプリも、様々な業務に有効ですので、FileMaker専用機とはせず、通常アプリも使用可能な状態にする事にしました。
iPadは自身でも以前から使用していたので、使い勝手をすでに理解していた為、導入に問題はありませんでしたが、次に届いたMac-mini には少し手古摺りました。
Windowsパソコンしか使った事のない私には、動作全てが理解しづらくて苦労しました。以前からiPhone・iPadを使っていたので、そんなに難しくないだろうとタカをくくっていたのですが、Windowsで普通にできていた作業のすべてにおいて、やり方がわからず混乱するのです。 2台のMacでファイルの移動を行ったときに、ファイルの管理者権限が変更されてしまったりして、ファイルの上書きができなくなったりと、セキュリティが高い為なのか、慣れるまで苦労しました。
ただ、FileMaker Server のインストールは特に苦労する事もなく、設定が完了し無事2台のサーバーが完成しました。
プライマリサーバーが、システムの稼働用で、セカンダリサーバーが、システム開発用として使用します。 間違えるといけないので、デスクトップの背景色を変えて文字も入れる事により、起動時にすぐにわかるようにしました。
これで、ようやくFileMakerで販売管理システム作成に取り掛かれる状態になりました。
しばらくの日々が過ぎ、各自の使用状況も個人により違っていきました。 想像した通り、最年少(?)社員であるB氏は、iPadを自宅に持ち帰り、HuluやYoutubeで動画を楽しんだりゲームを入れたりしているようで、iPadを所有するうえでの普通かつ有意義に使用しているようでした。
会社からの支給品をそのような使い方をするなんて!とは考えず、社員全員のIT化への意識改革を目指すには、情報端末が常に身近なものであり、手元から放したくない物であるというように変わってもらいたいと思っている私から見れば、模範的な利用状況にあると考えました。
パソコンはそもそもパーソナルコンピュータして、個人の端末である上に、現在では様々なアカウント(google・Microsoft等)が個人の情報と連動しており、一人一台が必須であります。iPadのような端末なら価格も安い為、全員に配布し、業務中の社内移動時も常に手元にある状態を目指したいと思っています。
逆に会社のロッカーに大事にしまって置いて帰えられるのは、意に反した残念なものでありました。 ただ、業務中はメールでの連絡や会議資料の観覧にも使用されてきており、個人端末としての利用が定着しつつあると感じてはいました。
FileMakerでの販売管理システム制作は、この時点で模索と勉強中ではありましたが、デザイン的な作成部は問題なかった為、メニュー画面のレイアウトが出来上がってきました。
「販売管理」を中心に行うメニュー画面と、「アセンブリ業務」を行う為のメニュー画面を作り、切り替えられるようにしました。
また、FileMakerは、アクセスする端末や、端末に登録されている使用者名を判断する機能もありましたので、セキュリティ面での強化として、プログラム内で登録した端末からでしかメニュー画面に移動できないようにしました。 これで社内ネットワークに他人の機器がアクセスしても販売管理システムにはアクセスできないようになりました。 また、各部署の端末が一番よく利用する画面が最初に開くように設定しました。 アセンブリスタッフの使用するiPadからは「アセンブリ業務メニュー」が初めに表示されるようになります。
雰囲気だけはiPadで販売管理画面が開ける「IT化された企業」的な自己満足に浸っている状態です。 そう、最初にクラウド上のサーバーではなく、自社にサーバーを設置した理由の一つも「自社のサーバーに」とかいうセリフを言ってみたかったという個人的理由がある事は認めます。
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