第253話 四季BOSS冬将軍

素早く走り、配置につくルイス達。ジョブは、以下の通りである。冬将軍は、ゆっくりと刀を抜く。そして、上段の構えで摺り足でゆっくり動き出す。


ルイス…祈祷師

グレン…剣士

トキヤ…狩人

フレド…重剣士

ブレイブ…守護騎士

ロゼ…魔術師


「この瞬間が、一番嫌い!」


グレンは、真剣な雰囲気で言う。フレドとブレイブは、理解していないのか首を傾げる。トキヤは、同意する様に無言で頷く。ロゼは、警戒度を上げる。


冬将軍は、ロゼに視線を向け刀を向ける。しかし、ルイスはずっと無言で観察していた。


「トキヤさん!」


素早く走り、トキヤに刀を振る冬将軍。


「視線のフェイント…。」


トキヤは、弓を放ちながらバックステップ。割り込む様に、ブレイブが大盾でトキヤを庇う。その瞬間、グレンとフレドが物理攻撃。ロゼは、魔術を放つ。ルイスは、バフをかけながらも観察する。


「引いてください、物理スキル来ます!」


5人は、素早く冬将軍から離れる。ブレイブは、トキヤを庇う。グレンとフレドは、防御の構え。ロゼは、魔法で防御壁を作り出す。しかし、駄目だ。


冬将軍の物理スキルは、地面に影響する。足が地面に着いている限り、絶対的に有効なのである。


そして、タンク殺しのこのスキルではトキヤを庇えない。ルイスは、聖結界で全員を囲む。結界は地面にも影響する為、敵の地面の影響を受けないのだ。


しかし、特殊エリアのBOSS。やはり、余波を受けてHPが削られる。ルイスは、素早く回復する。


「早い、だけじゃない…」


ブレイブは、唸る様に呟く。


「冬将軍は、スピードアタッカーです。文字通り、かなり素早く力も強いです。しかし、防御力はそれ程に高くは有りません。動きを封じ、スキルをどう相殺させるかが勝負の鍵となります。」


ルイスは、冷静な雰囲気で真剣に答える。


「簡単に言ってくれるな…」


フレドは、乾いた笑いで言う。


「無理だろ!?」


素早く、ツッコミを入れるブレイブ。


「そうでした、言ってませんでしたよね。breezeメンバー、6人で既に攻略済みなのですよ。住民2人が、参戦して勝てたのですけど。アメリカの最強コンビは、強敵相手に自信がないと?」


ルイスは、敢えて挑発的な不敵な微笑みである。


「言ってくれるな、流石は黒龍人様だ。」


フレドは、小さく笑うと構える。


「はぁー?違うぞ、寧ろ燃えてきたぜ!寧ろ、お前の方が、ずっと後ろでびびってんじゃねーの?」


少しだけ、怒った様なツンデレな様な態度のブレイブ。ルイスは、反応せずに冬将軍から目を離さず。


「僕ですか…」


そう、呟く。驚き、ブレイブは走るが間に合わない距離。鎧のせいで、素早く動けないブレイブ。


「やばい!やばい!」


しかし、トキヤとグレンは鼻で笑う。ロゼは、キョトンとしている。試験管が、割れる音…


ルイスの姿は、見えない。


「冬将軍より、ルイスの方が速いっての…」


グレンは、そう言うと剣を構えて詠唱。


「ウチのリーダーを捕まえるのは、言っちゃなんだがかなり骨だぜ?俺達でも、無理なんだからな。」


そう言うと、トキヤも詠唱を始める。それを見て、ロゼも詠唱を開始する。2人も、慌てて詠唱。


ルイスは、冬将軍の刀を軽くステップを踏む事で回避。腕に飛び乗り、肩に向かい走る。振り払う仕草を、予想して予備動作を確認。素早く空歩を発動して、後ろにわざと放り投げられる。空中で、軽やかに着地する。一瞬、トキヤ達を素早く目視。


そして、冬将軍を聖結界に閉じ込めた。


ルイスは、神託の御旗を取り出し聖域を作り出す事で、聖結界を更に強化していく。いつもの、ゲレティー様とインフィニティ様のエフェクト。


ルイスは、ロザリオを取り出し祈りを捧げる。


聖結界は、更に更に強化されていく。これならば、全員の詠唱が終わるまで、確実に動きやスキルを封じられるだろう。MPは、ゴリゴリと削られるが。


ルイスは、祈りを解きMPポーションを飲む。


「ルイス!」


グレンの声に、ルイスは聖結界を解除する。全員の全力技で3ゲージ吹き飛ぶ。残り、2ゲージ。


「魔法が来ます!レジストを!」


ルイスは、真剣に言う。


「環境魔法かよ!」


ブレイブは、悲鳴を上げる。猛吹雪で、火力ダウンである。雨雪で、鈍足。環境ダメージで、HPは常に削られているので辛い。早く動けば、環境ダメージを受けないからだ。しかし、鈍足を受ければ…


「くっ…、回避が間に合わない!」


「環境ダメージが、地味に痛いんだけど…」


ルイスは、考える。2人は、動揺している。動きも悪く、環境ダメージを受けている。


「仕方ないですが、僕が前に出ましょう。」


「動きは?」


トキヤは、回復薬を飲みながら言う。


「トキヤさん、デバフ。ロゼさん、バフ。申し訳ないですが、グレンは暗殺者で罠を異常を。フレドさんは、サブアタッカー。ブレイブさん、牽制。臨機応変に、スキルや対応をよろしくお願いします。」


そう言うと、ルイスは指輪を外した。


「さあ、速さ比べしましょうか?」


トキヤ達は、詠唱。グレンは、異常をかけるべく姿と音を消す。烏丸から、教わった。実は最近の話、忍術が暗殺者やシーフ等の斥候職業は習得出来ると分かったのだ。グレン、嬉しそうに烏丸から習得。


烏丸も、無言ながら嬉しそうであった。


ちなみに、逆も然り。グレンは、罠で冬将軍の機動力を奪う。トキヤは、デバフの矢を放つ。ロゼは、ルイスとブレイブとフレドに全力バフ。


ブレイブは、引き付けとカウンターでヘイトを奪いターゲットになる。継続で、タンカーを始める。


ルイスは、短刀を持つと素早く右の腕に助走を着けて飛び乗る。フレドも、ルイスに合わせる。振り払おうとした左手を、格闘術で蹴り飛ばして弾く。そして、鎧の隙間に短刀を突き刺した。フレドと、同時に突き刺したのでかなり削れている。


ルイスは、ヒラリと着地した瞬間にバックステップをする。刀が、目の前を通過して行く。


異常で動きが鈍り、弱ったところで全員で攻撃を開始する。途中、範囲攻撃などしてくる。そして、雪獣が襲って来たりもしている。しかし、何とか勝利する。ここで、ロゼとトキヤとはお別れである。


ルイスは、深呼吸して指輪をつけるのだった。


「さて、次は何処に行きます?希望は?」


「取り敢えず、少し休ませてくれ。」


ブレイブの言葉に、ルイスは頷くのだった。

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