第236話 妖華戦2

妖華の本体には、まだ咲いてない花が1つ。あれには、咲いて欲しくないですね。とっ、いう訳で…。


ルイスは、敢えて無防備になり妖華の意識を引っ張る。すると、トキヤとグレンとルーカスが蕾を切り落とした。怒りに、ルイスを襲うがカリオストロがルイスを庇う様に前に出て錬成壁。ルイスも、合わせて錬成壁を使う。ランコルが、防御力のバフをかけたおかげで錬成壁は砕けたが、無傷で妖華の根っこの攻撃を乗り切れたのだった。


怒り狂った妖華は、大暴れする毒花粉をばら撒き、葉を飛ばして遠距離攻撃をしてくる。


ルイスは、聖結界を張って素早く味方を守る。


その間に、抗毒を飲む。ルイスも、抗毒を飲み全員を回復する。流石に、長期戦は厳しい。


体力ではなく、精神的にである。


ルイスは、小さく息を吐き出す。実は、1番精神的に疲れているのはルイスである。回復をメインにする、つまりはメンバーの命綱なのだ。


それに、今回は住民達も居るので更に負担となる。


簡単に、蘇生が出来ない以上は最悪の場合は…


ルイスは、そんな思考を振り払い深呼吸する。その最悪を、しない為の命綱なのだ。ルイスは、全員が戦闘体制になったのを確認して聖結界を解く。


「さあ、討伐っす!」


ルーカスは、ニヤリと笑うと飛び出る様に走る。


「俺とバロンで、敵の牽制をする!」


キリアは、そう言うと素早くナイフを投げる。合わせる様に、バロンもナイフを投擲している。


「あ、こら!合わせろ、ルーカス!」


グレンは、驚き慌てた様に走り出す。


「お前ら、各自それぞれ出来る事をよろしく。それと、ルイス…すまんが、この指示しか出せない。」


トキヤは、ルイスの負担が増えたのを感じ言う。ルイスは、無言で頷いて真剣に全員の行動を見る。


「最悪は、俺達が肉壁になる…。」


そこで、ルイスが暗い表情になる。


「判断は、自分達でするから蘇生はよろしく。」


トキヤは、真剣にルイスに言う。


「出来れば、取りたくない手段ですがやむを得ないですね。その時は、僕も覚悟を決めましょう。」


ルイスは、本当に嫌そうな雰囲気で言う。


「すまん、すまん。そんな、不機嫌になるなよ。」


トキヤは、苦笑してから妖華に向かって走り出したのだった。ガリレフが、毒を投げるが毒耐性が強いのか大したダメージが入らない。ガリレフは、メスを取り出すと投擲した。広がる呪詛に、驚く妖華。


ガリレフのジョブは、医師そして呪術師だ。ただ、呪術は見聞が悪い。なので、ずっと使えなかった。


ローアンは、いつもの大剣をしまい大弓を構える。大剣使いと弓師がローアンのジョブだ。狩人とは違い、火力よりコントロールを重視したジョブ。


妖華は、悲鳴をあげて暴れ出す。


吹き飛ばされ、壁に体を打ち付けるグレン。


「グレン、下がって!回復します!」


ルイスは、大きな声で言うと頷いて下がるグレン。


「すまん、回避が間に合わなかった。聖なる障壁と錬成壁を使っても、半分ちょい削られるのは痛い過ぎるな。防御の構えで、打ち消せると思うか?」


「無理。多少は、ダメージは減るとは思うが、反撃までに時間がかかる。当然だが、三分の一は削られるぞ。間違いなくな。ルイス、俺にも回復くれ。」


トキヤは、回避したが土石の流れ弾に当たった。


「了解です。ランコルさん、デバフメインでお願いします。バフと回復は、僕に任せてください。」


「はい、了解致しました。」


ランコルは、杖を構え直し詠唱する。ちなみに、ランコルのジョブは教皇と学者である。


学者は、まだ登場してないジョブだ。


バロンは、素早く罠を設置する。細工師と暗殺者の相性は良く、細工師スキルで器用さをあげて高確率で当たる罠を作り出せるのである。


カリオストロは、バフを付与しつつも錬成壁などを使いサポートしている。ドラコフは、ジョブを魔術師に変えて遠距離攻撃している。どうやら、ゴリゴリの火力(ゴリラ)魔術師の様だ。


キリアは、攻撃を回避しながら投擲をしている。ちなみに、もう一つのジョブはバトラーにした様だ。


ルイスは、驚いて自分のやりたい事をとお願いしたのだが。キリアのやりたい事が、バトラーだった。体術の攻撃力が、上昇し素早さも火力に比例して速くなる。ジョブ効果が、アップデートで同時に使えるようになったので、戦いやすくはなっている。


だが、同時に…強敵が待ち構えていると言う事。


そして、キリアがついに大ダメージを受ける。追撃する妖華にキリアは死を直感した。


「させるかよ!」


グレンは、ギリギリ妖華とキリアの間に割り込み、攻撃を受け止めるが…光となって消えた。


キリアは、グレンが死んだのだと理解する。


「キリア、止まらないで!」


ルイスの言葉に、キリアは正気に戻り逃げる。トキヤは、ついに始まったと唇を噛む。


「蘇生します、苦肉の策である肉壁を使いますが、直ぐに蘇生するので住民達は戦闘に集中してください。君達に、死なれては困りますから。」


「ですが、デスペナルティーが!」


キリアは、焦る様に言う。


「死んで、直ぐ蘇生すれば仮死状態とみなされて、デスペナルティーやアイテムロストを完全回避できます。そのかわりに、バフやスキルによる上昇効果は全て消えます。なので、バフを盛り直しです。」


ルイスの言葉に、トキヤとルーカスは頷く。


「ただいま、キリアは大丈夫だったな。」


グレンは、ホッとした様に剣を構える。


「本当に、すまない…」


キリアは、本当に申し訳ない雰囲気である。


「気にすんな。さあ、もうちょいで倒せそうだしコンボ稼いで行こうぜ!頼りにしてるぜ、キリア。」


グレンは、明るく笑い飛ばす。キリアは、真剣に頷いてから激戦となる。勿論、ルイス含めてプレイヤー4人は死に肉壁にを数回する事となる。


そして、残り少しというところで妖華に異変が。


「あれって、精霊なのか?」


妖華は、人型になると恐ろしいオーラを放つ。


すると、精霊の灯火が強く光だす。


精霊の灯火から、女性の精霊が出て来て妖華を抱きしめる。すると、妖華の精霊が涙を流して、ルイス達に手を伸ばすそして言葉にならない声で…


『お願い、助けて…』


そう、告げるのだった。


『この子は、妖華の精霊…私の可愛い息子。お願いよ、永遠地獄の苦しみから、解放してあげて。』


大地の母精霊は、悲痛の声で妖華の精霊から離れてしまった。いや、正確には離されてしまった。精霊には、彼の毒は猛毒だ。そう、つまり彼女にも。


ルイス達は、動かなくなった妖華の精霊を見る。


「ゲレティー様、力をお貸しください。」


祈ると、ゲレティーが現れてそっと妖華の精霊に触れる。引き剥がされた、暴走の原因は林檎の形をしていた。しかし、目がパチっと開いた。


それを、ルイスが短刀で突き刺して終わった。


足音がするが、ルイス達はその場に座り込み動けない。ゲレティーは、ルイス達をみて優しく微笑むと姿を消した。キリア達は、警戒するが…。


「良かった、全員生存してるね。」


リケが、ノーム達を連れてやって来たのだ。暫く休憩して、宿屋に戻りログアウトするのだった。

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