第64話 航海最終日……軍隊戦!

さて、暇です。作戦会議からも、外されました。うーむ、暇です。取り敢えず、モフモフしつつベッドにゴロンぬ。バロンは、椅子に座って警戒する。


「暇ですね…。」


ルイスは、ベッドに座りバロンに言う。すると、本心から呆れたようにルイスを見て冷たく言う。


「寧ろ、働き過ぎだろ。」


昨日の一件から、距離は近くなったものの……。困りました、近過ぎて僕が対応できないです。


「うーん、基本は忙しかったので……何か、ソワソワするんですよね。何か、する事が有りますか?」


ルイスは、困ったようにベッドから椅子に座りアイテム確認する。そして、苦笑して机に突っ伏す。


「スキル、使えないのでポーションも作れません。となると、料理ですか。リアルスキルで、何処までの完成度か試してみますかね?でも、失敗したら素材が勿体ないですしね。うーん、暇です。」


ルイスは、本を取り出して読む。


途中、リルとソルの遊んで攻撃に撃沈されながら。すると、あのスカイグリフォンが無言で見てくる。


ピコン!


名前をつけてください。


うーん、可愛い名前は駄目ですよね。何せ、男の子ですし。グリフォン、グリ?いやいや、かなり安直過ぎますし。フィン?うん、フィンにしましょう。


「フィン、よろしくお願いしますね。」


フィンは、頷くとその場に座る。ルイスは、苦笑して立ち上がる。次の瞬間、船が大きく揺れる。


「うわっ!」


「たっく、危ないな……」


バロンは、ため息を吐き出して言う。


「現状、何とか倒せてるようですね。さて、ボスは姿を現しませんね。やはり、餌が見えてないと来ませんか。そうですか、そうですか。仕方ない。」


ルイスは、そう言うと部屋を出る。バロンは、慌てて追いかける。マッキーは、ルイスを見て驚く。


「ルイス?」


「さーて、餌は此処です!出てきなさい!」


すると、海中から海竜が現れる。マッキーは、思わず苦笑しながら冗談っぽい雰囲気で言う。


「うっそーん!出てきた!?」


「憎き、龍人は此処ですよ!」


それを、聞いて納得したメンバー達。海竜は、ルイスを見て咆哮。ルイスは、呻いて柱に手を着く。


ステータス減少のエフェクト。


バロンは、慌てて庇うように立って怒鳴る。


「この、馬鹿マスター!」


「ふふふっ、でも……助けてくれるでしょ?」


すると、複雑な表情で目を逸らす。


バロンさんは、キリアさんを殺すように命令されています。同時に、僕を殺す事も……。流石に、プレイヤーなので死なないですが。やはり、デスペナルティー狙いですかね。作戦ギリギリ、そのタイミングでの暗殺を命令されていました。手紙で……。


「くっ!俺じゃ、防ぎきれない……。」


バロンは、呟く。


それを、無視して装備変更……。


この装備、懐かしいですね。β時代、僕が愛用していた錬金術師の装備。お久しぶりです、最初から激戦ですが昔みたいに一緒に暴れましょう!


ルイスは、爆弾を流れ弾に当てる。


バロンは、驚いて振り向く。ルイスは、試験管を出してゆっくり歩きながら無表情に呟く。


「これは、呼び潮…。身近に、輝くマナの煌めき。灯せ灯せ、生命の灯。我は、素を巡らせる起源の錬金術師…。我が、言葉は自然の理なり…。いざ、呼び起こせ元素の輝き。満ちれ、満ちれ…。」


すると、少しだけルイスのローブが揺れて、髪がフワリと靡く。ルイスは、ゆっくり立ち止まり試験管を構える。足元には、錬成陣が広がる。右手は、腰の短剣をいつでも抜けるように手を掛ける。


すると、マッキーとトキヤは驚く。


ルイスは、無言で試験管を床に叩きつける。もう、敵は水面に居るので地形把握は必要ない。


「さて、ここからは錬金王ルイス参ります。」


ステータス全上昇、HP増加、MP回復のエフェクト


「グレン、ルイスが全力を出す!見とけ!」


「了解…。」


ルイスは、試験管を投擲して敵の攻撃を相殺。素早く、試験管を取り出して周囲を確認。また試験管を床に叩きつける。そして、必要最低限の説明。


「速度加速、火力上昇、MP自動回復。MPは、3秒で10回復します。加速は、約180秒継続。火力上昇値は、コンボ+戦闘員全員の人数をプラスした数値からスタート。後衛コンボも、加算されます。加速は、約360秒の継続。いきなり、切れるのは負担なので残り10秒切りしだい重ねがけします。」


「えっと、飲まないの?」


グレンは、キョトンとして聞く。周りも、聞き耳を立てている。すると、ルイスは苦笑して言う。


「錬金ポーションって、本当は飲まない物なんですよ。薬師や医師、そっちが作るのが生産ポーションは、飲むしか使えないポーションです。錬金ポーションは、飲む必要がなくMPも必要ない、そして何より生産ポーションよりも効果が高いのが特徴。」


「でも、俺達は飲んでたよな?」


すると、ルイスは含みを込めてから言う。


「はい、最高位の錬金術師では無いですからね。飲まずに、ポーションの効果を出せるのは最高位の錬金術師だけ。他のプレイヤーはポーションを浴びるか飲む必要があります。ただし、最高位の錬金術師が味方にポーションを使う場合は別です。味方は、飲まずに浴びる事なくその効果を受けられます。言わば、最高位錬金術師の特権です。」


「なるほど!でも、ルイスも飲んでたよな?」


グレンは、頷いてからルイスを見る。


「それを使うと、理不尽の化身だと言われるので。MPは、消費しない。HPは、削っても回復される。火力と速度は、長期戦になればなるほど上昇。ましてや、忘れてませんか……僕は、錬金王ですよ?」


「……うん、封印せざるを得なかったんだな。」


グレンは、苦々しく頷く。


「うん、無敵要塞って感じだな。」


マッキーも、真剣に頷く。


「さて、だいぶ減りましたね。」


「コンボを稼げ!稼げ!」


全員が、全力で回復する。


「回復します。」


回復ポーションを、床に叩きつけると3分の2回復。


「やはり、回復量は本職(※祈祷師)には負けますよね。でも、ジョブチェンジしてる時間が、ロスタイムなのでこれで我慢してください。」


ルイスは、ポーションを構える。


「さてさて、最後の追い討ちをしようぜ!」


『おう!』


全員が、全力で倒して行った。こうして、無事にドレイクの護衛をやり切ってみせたのだった。


「また、何か有れば声をかけな!またね!」


ルイス達は、結果発表の後に解散した。




ルイスは、工房の自室の椅子に座りため息。


帰ったとたん、手紙を受け取ったのだ。送り主は、ガリレフ。キリアとバロン、2人の師匠であり育ての親だ。そして、もう一つは、ローアン。暗殺ギルドのギルドマスターである男だ。ルイスは、ため息。


「ガリレフは、お茶のお誘い。ローアンは、呼び出しですか。良いでしょう、どうせ暫くは自由ですからね。今度の、大規模拡張アップデートでプレイヤーが増えますし。今しか、会えないでしょうし。」


ルイスは、考えるように呟くのだった。他のメンバーは、イベント終了時点でログアウトした。


ルイスは、ため息をもう1度吐き出すと、ホームから待ち合わせ場所に向かうのだった。

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