第49話 最強クラン ジェネシス

さて、イベントが終わり平和なぁ~………日常は何処に行ったんででしょうかね。本当に………。


「あー、くそ!先越された、ジェネシスの奴らに!しかも、あいつら5回もアタックしてやがる。」


マッキーは、落ち込んだ雰囲気で言う。トキヤも、苦笑してから暢気に考えてる。グレンも、クッキーを食べてから暢気に頷く。他のメンバーも、落ち込んでいるようです。でも、おかしいですね。


「ワールドアナウンスが、聞こえないって事はレイドは失敗……それも、全滅した事になりますが。」


ルイスは、紅茶を飲みながら暢気に言う。


「まだ、戦闘途中とか?」


グレンは、苦笑してルイスに言う。


いや、それは無いです。


戦闘クランで、最強を誇る彼らがたった2部屋しかないフィールドで、ここまで長く戦う必要は無い。無理なら、早期に諦めて神殿送りで帰還。出来そうなら、最小被害で最短時間での討伐をするはず。


つまり、不死鳥はとても強いって事になります。


ふむ、戦闘クラン1位がこれですからね。3位のマッキーさん達が、クラン単独討伐しに行っても無謀でしかありません。まずは、対策を………ん?


「ルイス君、お邪魔するよ。ポーションを、売って欲しくってね。出来れば、なるべく多目に。」


「セロンさんでも、そこまで苦戦しますか……。」


ルイスは、ボロボロの装備を見て険しい表情。


「うん、そうだね。ここまで、ボロクソに殺られたのは久しぶりだよ。でも、楽しいね。本当に、僕達には貴重な歯ごたえのある敵だし。愉快だ……。」


そーですね♪取り敢えず、そのギラギラした表情を引っ込めてください。いつしかの、記憶が蘇り……


「そうだ、β時代に君に沈められて以来かな?」


思い出さないで!しかも、あの戦いは完全に僕が有利な戦いでした。そして、セロンさんもそこまで強くなかった時代ですよね?やめてください、そんな期待したような目で僕を見ないでください。


「あれは、僕が有利な戦いだったので無効です。」


「ふーん。じゃあ、いつかリベンジさせて貰うね。ルイス君、勝ち逃げなんて許さないから。」


やーめーれー!僕は、生産職!戦闘苦手なんです!


「では、※白旗でも準備しておきますかね。」


※さらっと言ってるが、神託の御旗の事。決して、降参を意味する白旗ではありません。


「まったく、つれないなぁー。」


セロンは、暢気に笑いながらルイスを見る。ルイスは、誤魔化すように紅茶を飲むとソーサーにティーカップを置く。そして、疲れたように席を立つ。


「それで、ポーション名・本数を教えてください。倉庫に行って、在庫を確認してくるので。」


「ルイス君、相談があるから逃げないで。ポーションなら、キリア君に注文書を渡してあるし、彼らが準備してくれるさ。だから、ね?お願い。」


セロンは、お願いと手を合わせて首を傾げる。ルイスは、嫌そうに無言で座る。


「でっ、ルイスに何を相談するんだ?」


マッキーは、真剣な表情をしている。


「まず、その前にだ。君達の同盟に、僕達も参加させてくれないかな?ずっと、言いたかったけどルイス君、僕を見ると全力で逃げるからさ。」


「そりゃあ、逃げるだろ。」


マッキーは、呆れたように言う。


「周りに、キラースマイル振り撒いて。男なのに、何故か女性から嫉妬の視線を向けられるんだが?」


ついでに、僕は例外らしいです。


「でも、ルイス君をクランに勧誘時に、壁ドンしたけど黄色い声しか聞こえなかったけど?勿論、事故だから。そんな、殺気を振り撒かないで。」


「お前は、何してんだよ!」


すると、シャルムはクッキーを食べながら言う。


「うん。あれは、腐女子にはおいしいシチュエーションだったわ。本当に、ご馳走さま!」


すると、過保護組が凄い形相でセロンを見る。


「いやいや、弁解させてくれないかな?呼び止めようとして、走ったら転けて壁に手をついただけ。そこに、偶然にもルイス君が立って居ただけだし。」


「ルイス、何もされてないか?」


グレンは、真顔でルイスに言う。


「グレン、大丈夫ですよ。まぁ、驚きましたが。」


とまあ、カリスマ性もあってモデルなみの美形なのですが。セロンさんは、ドジな所もあるのですよ。


ちなみに、フランス人と日本人のハーフです。


それより、本題に入りたいですね。


ルイスは、パンパンと手を叩き注意を引く。


「話題が、それているので戻します。戦闘クラン、ジェネシスの同盟参加の件です。皆さんは、どう思いますか?偏見の無い意見をお願いします。」


「………そうだな。戦力としては、ありだと思う。」


マッキーは、真剣な表情で言う。キリアは、椅子を持ってきてセロンに座るように言う。


「どうぞ。」


「ありがとう。」


シャルムも、考えてから暢気に言う。トンガも、暢気にルイスを見てから発言している。


「そうね、これから素材集めの為、レイドに挑むなら心強いわね。あたしも、賛成かなぁ。」


「じゃな。それで、どうする同盟主殿?」


全員が、ルイスを見ている。


「ふむ……。思うのですが、何故です?もっと、有名で強い同盟もあるというのに。何故、僕達の同盟に入りたいんですか?余り、得ではありませんよ。」


「うーん、そうだね。本音、君を引き抜こうと思ってたけどガードが固くてね。だから、同盟仲間としてでも仲良くしときたいと思ったのさ。」


は?


いや、クランリーダーを引き抜くつもりだったと?いやまあ、セロンさんなら出来るかもですが。


何て、恐ろしい事を考えて……って、ん?ガード?


「ガード?」


ルイスは、キョトンとすれば……


視線を逸らすトキヤ

プルプルと笑いを堪え俯くマッキー

笑顔でセロンを威圧するグレン

口笛を吹くシャルム

爆笑するトンガ 

他のメンバーも、目を合わせない。


いったい、何をしたんですかね?


「そう、久しぶりに精神的に死ぬと思ったよ。」


いや、待ってください。いったい、何をしたんですか?セロンさん、げっそりシテマスガ?


「まっ、まあ……その話は置いといてだ。」


トキヤは、強引に話をそらす。


「そうそう、同盟に入れるかどうかだ。」


マッキーも、素早くトキヤに合わせる。


「参加は賛成です。それで、何をしたんです?」


「それじゃあ、決まったし相談ってなに?」


シャルムは、ルイス言葉を遮って言う。


「あー、うん……。先ずは、皆……落ち着こう?言わないから、黙っとくから。そんな、睨まないで。」


本当に、何をしたんですか?まあ、良いです。どうせ、誰も話してくれませんしね。では、相談です。


すると、セロンは苦々しく呟くように言った。


ルイス達は、聞いて青ざめる事になるのだった。

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