第77話『決着』
…………血……ひやりとした、床の感触。
……私は……負けたのか。
使用した
『
『
『
まず、『
因果逆転。光速を超える斬撃であっても先手は確定。
次に、『
瞬時に触れた対象は『
最後に、『
これで、……勝利できるはずだった。
・・・・・・・・・・。
これは、自信のある……必勝戦法。
だったんだけどなぁ。はは……。
シンという、召喚した使い魔。
ヤツは復活と復活時超強化のスキルを有する。
『
つまり、殺せば殺すほど強くなる。
長期戦は圧倒的に不利。
だから初手で本に封じ奈落に落とし無力化。
……つもり、だったんだけどなぁ。
傭兵王の鉄の曲刀――
…………完全なる決着。私の敗北。
この流血の量。……もって、あと18分程度。
13分後には血液不足で意識の混濁が始まる。
自分の正確な死期がわかる。
ふふ……やはり、勉強しておいて良かった。
最後に語り合う時間をくれたということか。
ありがたい。私の自慢の友だ。
「……ベオウルフ。君の勝利だ。そして、私の、敗北だ」
「……十分にシンを
「お世辞はいい……、――――いや……やっぱり、お世辞でもいいから、君からの称賛の言葉は……聞きたいなぁ……私はね、ギルドマスターと居た冒険者時代……そして、王になったあとも、……本当の意味で……私を、認めてくれてる奴はいなかったよ……どこか、みんな、心の底で……馬鹿にしてるみたいでさ……そりゃまぁ……私だって……目を見りゃ、相手がどういう風に思っているかくらい、わかるよ……はぁ……まぁ、正直……それなりに、……そういうの、こたえたよね……ははっ」
「あんたの周りはクソ野郎ばかりだぜ。キザったらしいギルドマスター、あんたを侮り罵倒した冒険者時代の仲間、影でせせら笑っていた臣下、みんな、クソ野郎だ」
「はは……仕方ないさ、私は元平民……それに、実績、出せなかったからなぁ……」
「……俺が、あんたに勝った理由はただ一つ。それは、世界で一番、あんたに関心を持ち、興味を持ち、誰よりあんたに詳しい、採掘王殺しの、
「君も、変わり者だな……私に関心を持ってくれたのは、世界で二人。……妻と、君……他の者が、私の名を出す時は、……はぁ……まぁ、もう、そんなこと……どうでも、いいか。……それは光栄だ……つまらない、人間だっただろ……
「あんたの遺物を使った連携技。完璧だった。俺に
「……その手品のタネを聞かせてくれないか」
「単純な
「似た者同士か。嬉しいよ……最高の褒め言葉だ。まぁ、……違うのは、私は……君と違って、勇敢じゃない。……だから、シンに対して確実な勝機がなければ……最初から、私は頭を下げ、君にお願いしていた……でも、君はきっと……完全な勝機がなくても……闘うのだろうね」
「……――俺は、自分の罪を自らの手で消し去ろうとしていた、あんたの心意気、決意を無にした。すまない。……だから、あんたを殺した俺は、あんたの代わりに、――――いや、それ以上に、完璧にアイツを、肉体だけでなく、心まで破壊し尽くし、討ち滅ぼしてみせよう。それが、……傭兵王流の筋の通し方ってもんだ」
「……ベオウルフ、私の罪の後始末を、……すまない。そして、ありがとう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます