第4話 ローバの休日

目が覚める。

“あぁ、また朝が来た”そう思いつつまた目を閉じてみる。

寒くなってきて、まだ温かい布団の中で寝ていたいと思うのに、起きなければ、と思う。

体が重い。頭で考えてるような動きは出来ない。


あの頃は、あんなにも一人の時間を欲しがったのに、一人になった今は、あの頃の賑やかさが懐かしい。


再びの眠りに就く事を諦め、重い体を起こし、軋む膝を抱えて、漸く立ち上がる。


お弁当を作り、朝ごはんの支度をし、皆を送り出し、掃除をし、洗濯をし、自らも仕事に出る。

帰って来てからも、夕飯の支度をし、子供たちを習い事に送り出し、片付けをし、また洗濯をし、毎日毎日、自分一人の時間が欲しくて、欲しくて欲しくて堪らなかった。


漸くその願いが叶った今は、あの頃のように体は動かない。


カレンダーを見るが、今日が何月何日だろうと、もう関係はない。

曜日すら、気にする必要もない。


私にとっては、毎日が日曜日。毎日一人の日曜日。

あれほど欲しがった一人だけの時間。

誰にも何も言われない。

もう何の音もなく、静かな時間。


自分の為だけに作る、朝ごはん。

起きずにずっと、布団の中で寝て過ごしてもいいはずなのに、またこうして繰り返す。同じ毎日。


あとどの位、続くか分からない。分からないけど続く限り、続けていくしかない。

私一人だけの休日。



 

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