第7話 仕置(はじめての共同作業)
★★★(瓶子法久)
俺は施設の職員向けの酒場でイラついていた。
計画が破綻したからだ。
まさか死ぬなんて。
どんだけ最近のガキは脆いのよ。
売ればいいだろがよ。
どうせすぐ忘れるんだろ?
お前らガキの友情なんてそんなもんだろ。
……あぁ、大好きなはずの泡盛がちっとも美味くない。
俺は、少女が大好物だった。
特に好きなのは、女子高生だが。
下の下限は中二くらいかな。
大学一年がギリ上限。
二十歳を過ぎたらもう、守備範囲外。
UGNに居た頃は、報酬で散々女子高生を買った。
最初はね。
俺はUGN戦闘部隊でも飛び切り優秀だったから、段々少人数編成。
やがて、俺一人で出撃するようになった。
……まぁ、ホントのところは、連携ってのが苦手でね。
一人でやる方が効率がいいって気づいて、自ら望んでそうしたんだが。
一人は良かった。
報酬も評価も独り占めだし。
数人分の報酬を一人で受け取り、ウハウハだったよ。
で、その金を女子高生を買うことに注ぎ込んでいたんだが。
あるときさ、気づいてしまったのだよ。
あるFHセル、そのときは麻薬の販売を任務にするFHセルを潰したときだったか。
そのセルに、構成員で、FHチルドレンのガキが居たんだな。
女子高生だったよ。
高校に薬物を撒くための要員で、所属してて。
かなり可愛かった。
で、気づいちまった。
他の構成員、一人で全員ブっ倒して。
もはや勝てないとビビりまくってるそいつを前にして。
倒した奴らさ、全員じゃないけど、死んでたやつらも居たわけよ。
で、当然だけどさ、殺したからと言ってペナルティあるわけがないよな。
だって、俺の任務、このセルのメンバーを倒してセルを潰すことだもん。
だったらさ。
このガキ、犯してから殺しても、お咎め無いよな?
殺してしまえば訴え出ることもできないし、問題ない。
レイプの痕跡が出ないように、用が済んだら遺体をズタズタにすればいいだけ。
これに気づいたとき、俺は興奮してしまった。
女子高生、もう買わなくていいじゃん、って。
だって、最終的に殺すんだから、どんなプレイでもやり放題。
最高だ!
首絞めもできるし、乳首を嚙み切ったっていい。
だって、相手最終的に殺すんだし。
FH最高!
手始めに俺は、その最初の獲物を、膣と肛門が壊れるまで犯しぬき、その後セルメンバー全員を皆殺しにした。
あのときのガキの悲鳴は最高だった。麻薬撒いてたクソガキが、俺に泣いて謝って「許して」「もうやめてください」「助けて」って言ってんの。
メチャクチャ興奮した。
こんなの、女子高生買ってる場合じゃねえ!
それから、俺はFHセルで守備範囲の少女を見るたび、同様のことを繰り返すようになった。
俺にとって、FHセルは風俗より素晴らしいものになっていった。
でも、それがバレちまって。
あまりにもFHセルの構成員皆殺しの戦績が続くので、上が不審に思ったんだな。
で、オルクスの能力者が、俺の現場を覗いてやがった。
で、発覚。
相手がFHだったから、処刑や拘束といった処分だけは免れたけど、もうこいつを前線に出すのは人道上良くないと言われ。
俺は天職を奪われた。
そのときの俺の落ち込みったら、無かったわ。
代わりに与えられたのが、UGNチルドレンの指導育成。
人格に問題あっても、実力は折り紙付きだから、育成ならできるだろと。
上はそう判断したらしい。
悔しかったけど、仕事しないと給料もらえないから、やったよ。
で、仕事しているうちに。
あ、そうか。
生徒の弱みを握って、奴隷にしたらまた、かなり近い興奮味わえるんじゃ?
それに気づいた。
俺はその時には、もはや同意で少女を抱くのに興奮しなくなってて。
相手が嫌がってないと、満足できない身体になってたんだ。
で、やった。
特に生徒で、綺麗どころの女子高生チルドレンを数人、脅して関係を持った。
オーソドックスに飲み物に薬を混ぜて、寝込み襲って、写真をとって脅迫したり。
お前の友人ジャームの疑いがある。俺が報告したら処分されるだろうなと嘘を言って、友達救いたさで身体を差し出させたり。
彼氏に推薦を出してやる見返りに、ってのもやったな。あのときの少女の表情は、メチャメチャそそったわ。その後、彼氏にバラすぞって言って奴隷化。
そしたら、その中の一人が妊娠して、どうしようとか言って来たんで「好きにしろ。産むも堕ろすのも自由。身体が回復したらまたやらせてもらうから、決断は早くな」って言ったら。
自殺しやがった。遺書付きで。
……勘弁してくれ。何故そのくらいで死ぬんだよ?
上、もうカンカン。
日本支部長の霧谷にまで話が行って「あなたは許せません。私直々に、あなたの自由意思を奪います。残りの人生、一生廃人として暮らしなさい」って言われてしまった。
……もう、逃げるしかないよね。
で、必死で逃げて、逃げた先でファルスハーツに連絡をとった。
移籍させてくれってな。
優秀な人材なら、無差別で受け入れてくれるファルスハーツ。
移籍して思ったわ。
ああ、本来の俺のホーム、ここだったんじゃね? って。
UGNに居たのが間違いだったのよ。
ここなら任務のおこぼれレイプし放題だし、ここのが絶対いい。
とりあえず、お前は将来戦闘部隊に入れてやるけど、今すぐは無理だから、しばらく基礎訓練の教官やっててといわれた。
FHチルドレン養成所で。
……まーたガキ相手に教官か。
でもま、ここではやめとこうと思った。
少女を犯すのは。
何故って。
後からレイプし放題の環境に行けるのに、我慢しないでファルスハーツとの関係を悪くする行動取るのアホ過ぎるでしょ。
さすがの俺でもそれくらいの分別はあるわ。
……と、思っていた。
とんでもないのが、居たんだわ。
その養成所に。
名前は佛野徹子。
10歳からここに居るって話のFHチルドレンで。
すでにコードネームまで取得しているとびきり優秀な少女。
メチャメチャ可愛かった。
最強の美少女だった。俺の人生で。
目がくりくりしてて大きくて、唇は薄目。
顔ちっさくて、脚長い。
特に胸!
年齢14って話なのに、絶対Dカップはある!
こんなのもう犯すしかないだろ!!
どうやって犯そうかと戦略を練った。
彼氏は居るのか……居るっぽいな。同室の「下村文人」ってのがそれ。すごく仲が良いようだ。
伝え聞く話によると、すでに夫婦状態らしい。
しかし……隙が無さすぎる。こいつもすでにコードネームを取得しており、その優秀さは……
なんでも、取得試験のときに人造ジャームを100体嗾けられて、その全てを一歩も動かず、高速で日本刀を錬成してそれを投擲、のサイクルを繰り返し。わずか10秒で全滅させ。
ついたコードネームが「虐殺の刃(ジェノサイドブレード)」
……彼氏、天才かよ。
どうなってんの? このカップル?
二人とも超優秀。ぶっちゃけ、この養成所のツートップだ。
一般ならお似合いなんだろうな。
いやね、相手がいるのはいいのよ。
その方がさ、犯すとき興奮するし。
でも、隙が無さすぎて、罠にかけられない。
悔しかった。
そんなときだ。
佛野徹子と親しくしている、コードネーム無し組の駆け出しチルドレンが居るって気づいたのは。
利用するしかないよね。
で、脅して、オーヴァードでも6時間は起きない特製の睡眠薬を用意して「飲ませろ」って言ったのに。
自殺しやがった!
クソが!!
寝てる間に拘束して、メチャメチャに犯して、優秀最強美少女を泣かせてやろうと思ってたのに!!
俺に犯されながら、彼氏に詫びる声とか聞きたかったのに! 「そこはあやとしか許してないのに!」とか「あやと、ごめんなさい!!」とかさ!
上手く行かなかった!!
ムカつく!!
そうして、今こうしてヤケ酒を煽っているのだが、美味くねぇわ!
楽しみにしてたからなぁ。
あの子、ケツもきゅっとしてるから、締まりも相当いいはずだし。
ああもう、本当にムカつく!!
そのときだった。
「瓶子教官!!」
この職員向けの酒場に、少女の声。
覚えている声だった。
だって、獲物の声だから。
入り口からこっちに向かって走ってくるのは、佛野徹子。
訓練生の制服の、戦闘服を着ている。
あいかわらず、良い身体の、最強の美少女だ。
彼女は、走ってきて、息も上がらずそのまま言って来た。
さすがエリート候補生。よく鍛えている。
「ちょっとお話が」
「何だ?」
一応、本心は隠して教官らしく返事する。
「……来海仁に関してのことです」
お?
彼女、おどおどとした顔でそう言ってくる。
簡単にいうと、こっちの表情を伺っている。
「……教官も、今朝彼の姉が自殺したのはご存じですよね?」
「あぁ」
そりゃね。教官だし、気にしてたからな。ある意味。
彼女は続けた。俺をチラチラ見ながら。
不安そうに。
「彼、今、たった一人の姉を亡くして、メンタルぼろぼろのはずなんです……だから、しばらく評価は大目に見てあげて欲しいんです……」
ようするに、しばらく落第生判定をやめてくれということか。
まぁ、姉と親しかったら、弟とも繋がりがあってもおかしくないよな。
……こりゃタナボタだあ。
カモネギじゃないか!
逃したと思った美少女が、こっちにネギしょって駆け込んできたぜ!
俺の愚息が屹立し、酔いが一気に醒めた。
酔っぱらってる場合じゃないぞ。俺の本能がそう言っている。
「……それは……ここでする話じゃないな」
なるべく落ち着いた声音で言った。
メチャメチャ興奮してたけども。
「ちょっと、場所を移そうか」
そう言って、俺は酒場を出た。
獲物を指導教官室に連れてきた。
ここなら邪魔が入らないし、ベッドもある。
さぁ、お楽しみの時間だ。
「キャッ!」
佛野徹子を、ベッドに突き飛ばした。
悲鳴をあげた。
可愛い声だ。ゾクゾクする。
「教官!? 何をするんですか!?」
不安げな目で俺を見つめてくる。
「オイオイ、分かるだろう? お前、別にはじめてじゃないんだし。それに、普段からヤってんだろ? 男子と」
一応経歴と、普段の様子は聞いてる。
9歳で母親の不倫相手に強姦され、10歳でオーヴァードとして覚醒。
そのときに母親の不倫相手と母親自身を惨殺し、ファルスハーツにスカウトされ。
そこからわずか1年で、コードネームを取得した天才少女。
普段としては、理由は不明だが、他のチルドレンの男子をベッドに誘い、複数人と関係を持ってるという話を聞いている。
ただし避妊はしっかりしているようで、今までそれで問題になったことも無いようだ。
言われて、佛野は俯いた。
「……最近は、してないです。それ」
「おやおや? 彼氏君への操立てかな?」
言ってやる。
反応が良かった。
ギュっと、ベッドのシーツを握るの。
ゾクゾクする。
あぁ、たまらん。
やっぱ、犯すなら彼氏と上手く行ってる少女に限るわ!!
このまま襲い掛かって裸にひん剥いても良かったんだけど、そこはそれ。
自分から脱がせた方が面白い。
「ま、どうでもいいや。脱いで。自分から。俺に抱かれるために」
言ってやった。
佛野の肩が震える。
「やりたくないか? ……来海さんの姉弟も可哀想になぁ。二人とも、未来が無いのかなぁ?」
「わかり……ました」
悔しそうにキュッと唇を噛み、震える手で、佛野が戦闘服のボタンを外し始めた。
おお……
ボタンが外れるたび、白いスポーツブラに包まれた佛野の胸が見えた。
白い肌。そして大きく膨らんだ乳房。
見立て通り、Dは確実にある大きさだ。
14歳でこれってことは、将来こいつ、どうなるんだ?
末恐ろしいな。
上着を脱いで、上半身ブラ姿になる。
身体を動かすと、見事な胸が揺れる。
続いて、ズボンも脱ぎはじめた。
下半身も見事だった。
すらりと長い脚で、肉付きも最高。
色も白く、パンツの色はブラと同じ白だった。
黒い靴下も脱いだ。
そして、そこでベッドに腰かけた姿勢で、停止した。
「おい、まだだろ?」
ふんぎりつかないか?
でもな、お前に拒否権は無いんだよ!
「脱ぐんだよ!! 全部!!」
「弟も死なせたいか!?」
佛野はすごく辛そうな表情を浮かべて。
ブラを取ろうと……
俺の鼻息が強まった。
そのときだった。
ギリギリ、気づいた。
横跳びに飛んだ。
一瞬前に居た場所を、俺の首があった場所を、横薙ぎの斬撃が通り過ぎる。
「……失敗か」
いつの間にか、俺の背後に目つきの鋭い男のガキが居た。
戦闘服姿。
それが、右手に日本刀を握って立っている。
横薙ぎの斬撃の姿勢のままで。
……知ってるぞ。
このガキ。
下村文人。
この、佛野徹子のルームメイトで、彼氏君だ。
危なかった。
こいつの僅かな殺気に気づかなかったら、エロい表情を浮かべたまま、俺は生首になっていただろう。
それぐらい、見事な不意打ちだったんだ。
……しかし、一体、どこから……?
下村に注意を払いつつ、周囲をチェックする。
……あ!?
床に……穴が……!?
こいつ、床下に隠れてたのか!?
ひょっとして、俺がここに来る前から!?
ということは……
「……あーあ。色仕掛け作戦、失敗かぁ」
ベッドの上の佛野が、さっきまでの悲壮感はどこへやら。
普通に、スポブラとパンツだけの姿で立ち上がった。
「結構、上手くいってると思ったんだけどなぁ。……演技はわりと得意だし。ゴメンネあやと」
「仕方ない。プランBで」
よっと、と感じで身を屈め。
次の瞬間、刀を正眼に構えた下村の隣に、佛野が並ぶ。
その両手を輝かせて。
「……本来だったら、好意を持ってくれてる人には礼を尽くしたいんだけどね。アタシ」
ブオン、という音が鳴った。
佛野が手を振るうと。
「アンタだけはゴメンだわ。……よくも後輩を死なせてくれたわね。その腐った命で償わせてやる。エロオヤジ」
目は全く笑わずに、口に嘲りの笑みを浮かべて。
顔立ちが整っている分、余計俺の気に障った。
俺の玩具の分際で、よくもまぁ、ハメてくれたな!?
……思い知らせてやるよ!!
お前らヒヨッコと、俺らプロの違いを!!
俺は自分のスイッチを入れる。
俺の肉体が、即座に反応した。
筋肉が膨れ上がり、衣服がはじけ飛び、背中に無数の針が生える。
一瞬で、変異が完了する。
俺の戦闘形態。完全獣化。
ヤマアラシに似た、青い獣人の姿に。
「後悔させてやるよ!! 俺に喧嘩を売るべきじゃ無かったってなぁ!!!」
俺はハヌマーン/キュマイラのクロスブリードのオーヴァード。
完全獣化を完了させれば、俺の動きは音の速度を超える。
だから俺のコードネームは「ソニックビースト」
本来なら、一瞬でカタがつくはずだった。
これまではそうだったから。
なのに……
何で、俺は今、苦戦してるんだ!?
奴らの戦い方は、シンプルだった。
下村が、錬成で作った投擲武器を、俺に向かって投擲し。
それを回避している隙を、佛野が叩く。
通常なら、一笑に付す戦略。
まず第一に、俺に投擲武器を投げても余裕で躱せる。
牽制にすらならない。
そして隙が出来ない以上、叩くのも不可能。
そのはずなのに。
……こいつ、おかしい。
この下村文人とかいうガキ。
何で、超音速で動いてる俺を、目で追えてるんだ!?
そうとしか思えない。
超音速で移動終了した瞬間、その場所に奴が投擲した日本刀が飛んでくる!
それもひとつじゃない。数本まとめて来るんだ!
ヤツは、棒手裏剣を投げ、それを空中で日本刀に再錬成し、俺を攻撃するという頭のおかしい技術を見せ、それに、全くの淀みがない。
脳みその強化だけで、未来予測と肉体操作の神経系の強化だけで、このおかしい攻撃を実現しているのか……!?
笑えて来る。おかしすぎて。
俺は確信した。
こいつ、このまま育ったら、将来必ずマスタークラスになる。
14歳でこれだぞ!? このまま成長したら、どうなってしまうんだ!?
そしてこいつの彼女の佛野徹子もおかしい。
俺の速度に、ついてきてる。
こいつも音速超えてるのか!?
14歳のガキなのに!?
幸い、まだ俺の方が若干速く、致命傷を受けるほどの被害は受けていないが、さっきから体の棘を、レーザーナイフ化した手刀で何十本も切断されている。
……あと数年遅く対戦していたら、一方的に殺されてるのは俺だった。
それを、確信させられた。
なんなんだこいつら。ありえないだろ!!
「なんなんだよ……なんなんだよお前ら……!!?」
俺は、全く攻められず、防戦に追いやられている自分を認められなかった。
一対一なら、勝てる! 勝てるのに……!
「思い知りなさい……」
佛野徹子が輝く手をクロスさせて腰を落とした。
「アンタの力なんて、この程度なのよ!! ……14歳の子供に、いいようにされる程度のね!」
いうと同時に、音速を超えた佛野徹子の姿が掻き消える。
そんなわけあるかよ!!!
……
………
だが。
神は俺を見放していなかった。
防戦一方に追い込まれながら。
俺は気づいてしまった。
佛野の体力がもう限界に近付いていることを。
そうか。
……残念だったなぁ?
スタミナ、足りてなかったんだなぁ?
佛野が超音速で動くたび。
明らかに、動きから鋭さが減っていく。
もうすぐだ。
このガキがグロッキーになれば、もうこっちのもんだ!!
「……あやと……」
何度目かの超音速移動を終え、下村の傍に出現した佛野は。
よろり、とよろめいて。
下村の腕の中に、倒れ込んだ。
……!!!
やった! これで俺の勝ちだ!!!
女を抱き止め、下村は一瞬固まり。
次の瞬間、何かを投げ放つ!!
その瞬間、その場は煙幕に包まれる。
……煙玉か!!!?
逃げる気だな!? させっか!!!
俺は背中の棘をおっ立てて。
全方位に、毛針攻撃を繰り出した。
煙に乗じて逃げるつもりだろうが、そうはさせねぇ!!!
煙が晴れていく。
そこには。
片膝をつき、腕を突き出して、もはや体力の限界で動けなくなった佛野を片腕で抱いて庇いながら、透明な壁で毛針をなんとか防いだ下村が居た。
下村は、厳しい表情で俺を見る。
もはや、勝ち目がなくなったと、気づいたからか?
……手古摺らせてくれやがって!!
この落とし前は、つけさせてやるからな。
お前は確かにすげえかもしれないが、今の俺に届くほどじゃねぇ。
佛野と組んで、ようやくとんとんか、ちょっと上程度だ。
どうしてくれようか……
やっぱ、目の前で彼女を蹂躙してやっかな。
男相手には、これが一番効くからよ。
俺も興奮できるし。
きっと、メチャクチャ射精できる。
これで佛野が孕んだら、大笑いだな?
俺は責任取らねえぞ? お前らのガキとして育てるか、堕ろすかするんだな。
まぁ、すぐにまた俺の子を孕ませてやっけどよ。
……佛野は何回目で妊娠不能になるのかなぁ?
勝利を確信した俺は、ゆっくりと下村に近づいた。
もはや、高速移動は必要ない。
負ける要素が無いからだ。
「なぁ、どんな気持ちだ……?」
ムカつかされた分、念入りに、勝ち誇ってやる。
勝者の特権だ。
「これから彼女を慰み者にされる気持ちってどんな気持ちだ? ええ?」
ぞむっ
……え?
背中に、違和感。
振り返る。
……そこには。
肩のあたりで切りそろえた髪。
大きな目。薄い唇。
白い肌。発育した胸。細い腰。肉付きのいい尻と長い脚。
何故か。
そこにも佛野徹子が居た。
微笑みながら。
そして、俺の背中に輝く右手を突き刺している。
……え? え? え?
前を見る。
下村は、確かに佛野を抱いている。
しかし。
ヤツは、それを投げ出した。
さっきまで抱かれていた佛野の顔を見た。
……生気が無かった。
明らかに、死体だ。
……ここで気づいた。
下村は、あの煙玉を投げた直後。
佛野の新鮮な死体を、錬成したんだ。
今の佛野そっくりの姿をした、新鮮な、死にたてホヤホヤの死体を。
そして、それを身代わりにして、入れ替わった。
……モルフェウスの錬成では、生物は、錬成できない。
だけど。
食べ物を錬成することは出来ると聞いている。
食べ物ってなんだ?
……それは、生物の死体のなれの果てじゃないか。
だったら、できんじゃね?
死体を錬成することも。
だとしても。
……頭が、おかしすぎる。
彼女の死体を錬成するって、どういう神経だ?
普通の発想じゃねぇ……!!
下村が、立ち上がり、立ち上がるときに、佛野の錬成死体を、一振りの日本刀に再錬成した。
それを握って、立ち上がる。
まずい。
やられる!
逃げなければ!!!
音速移動を開始しようとしたとき。
背骨に、耐えがたい痛みが走った。
!!!!
動けない!!
今、無理に動けば、背骨が外れる!!
何でだ……!?
あ……?
佛野に、俺、背骨を握られてる……!! 恐ろしい力で。
振り返った。
佛野は微笑んでいた。
口は、普通に口角をあげるだけ。
目は……愉悦に歪んでいた。
人間の目ではなかった。
化け物の目だった。
「ひっ……」
震えあがる俺。
下村が、踏み込んでくる。
佛野が、腕に力を込めた。
俺は動けず。
ざんっ!
ごきぃっ!
下村の一刀が俺の首を刎ね。
佛野が、俺の背骨を引き抜いた。
俺が、俺が、俺が……!!
何かの、間違いだ……!
こんなガキどもに、殺られるなんて……!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます