指先で
苛々したときは頭のなかで小さな人間を潰すことにしている。
親指と人差し指で潰していく。
潰れた瞬間の感触と潰されたあとの人間のなんとも言えない悲壮感漂う顔が僕の苛々を拭い去ってくれる。
でも気を付けないといけない。
小さな人間の中には、たまに激しく抵抗をする奴がいる。
潰されまいと指に噛みついたりしてくるのだ。
そうなると僕も痛くて思わず力が抜け、小さな人間が逃げ出してしまう。
一度逃げ出したら最後、そいつを見つけることはできない。
だから別の奴を補充するのだけれど、代わりの奴を潰してもその逃げ出した奴がどこに行ったか気になって苛々が綺麗に拭い去れない。
さらに困ったことに、最近抵抗して逃げ出す奴が増えてきている。
一体逃げ出したやつはどこに行くのか。
検討もつかないが、もし見つけることができたのならまとめて手のひらで潰してあげよう。
ぶちぶちと。
ぶちゅぶちゅと。
溜まり続ける苛々が爆発してしまう前に。
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