第421話 ご希望に添えず申し訳ありませんが
「さあ、これで大白熱の一回戦が終了いたしました! 二日間で十六試合もあったというのに、あっという間に感じられましたね!」
八千人の中から勝ち上がってきただけあって、どれも好試合ばかり。
闘技場外の広場にはチケットのない人たちがどんどん増え続け、最後の試合では四十万人もの観戦者が集まったという。
そんな厳しい一回戦を勝ち抜き、二回戦に駒を進めた村人は、次の九名である。
セレン
フィリア
セリウス
ノエル
ゴリティアナ
アレク
マリベル
チェリュウ
チョレギュ
村人同士の潰し合いもあったけれど、半分以上が残っている形だ。
そして三日目。
二回戦は、アレクさんとマリベル女王が激突した第一試合から、非常に白熱した戦いになった。
どちらも一歩も譲らない互角の戦いをみせたものの、最後はやはりベテランのアレクさんが押し勝つ結果に。
続く第二試合ではチョレギュさんとマリンさんの女性同士の対決。
「何で男じゃねぇんだよおおおおっ!」
「ご希望に添えず申し訳ありませんが、勝たせていただきます」
接近戦を得意とするチョレギュさんに対し、槍の間合いを取りたいマリンさんの見ごたえある駆け引きもありつつ、最後は宣言通りマリンさんが勝利。
「女じゃ意味ねぇんだよおおおおおっ!」
残念ながらチョレギュさんは、この大会でも理想の相手を見つけることができなかった。
いや、婚活イベントじゃないから……。
第三試合ではゴリちゃんとノエルくんが激突。
『拳聖技』と『盾聖技』の強力なギフト持ち同士の戦いとあって、実はこの二回戦で僕が一番注目している試合だ。
前回の大会では、惜しくもセレンに準決勝で負けたものの、ベスト4入りしたノエルくん。
「だーりいいいいいいいんっ、がんばってえええええええええええっ♡」
チェリュウさんの声援を受けながら、前回王者のゴリちゃんに挑むノエルくん。
番狂わせの可能性もゼロじゃない――
「ああっと、ノエル氏……っ! 善戦しましたが、ゴリティアナ氏に敗れてここで敗退ですっ!」
「だーりいいいいいいんっ!?」
――って、あっさり負けちゃった。
「さすがに……相性が悪すぎた……確かにノエルは……防御一辺倒ではなく……攻撃もできる……ただし、決して攻撃力が高いとは言い難い……ゴリティアナのような……耐久力も圧倒的な相手には……通じない……」
ディルさんの解説の通りだった。
ノエルくんのカウンターがゴリちゃんにはまったく効かないので、防戦一方のまま終わってしまったのだ。
第四試合にはセリウスくんが登場。
相手はラウルの鍛えた王国軍の兵士だったけど、ここはセリウスくんが順当に勝利。
そして第五試合はフィリアさんとチェリュウさんの、またも女性対決に。
ノエルくんの仇を取るため、決勝まで進むと意気込むチェリュウさんだったものの、フィリアさんが近づくことすら許さずに完封勝ちしてみせた。
「……今の試合も……相性の良し悪しが大きく影響した……」
次の第六試合には、ラウルが登場した。
ドリアルを倒した戦士が相手だったけれど、ラウルがまだ本気を出した様子もなく完勝した。
その後、第七試合ではセレンが、第八試合ではララさんが勝ち上がり、こうしてベスト8が決定したのだった。
「ついに三回戦となりましたっ! ここまで勝ち残ってきたのは、いずれ劣らぬ猛者たちですっ! 果たしてどのような戦いを見せてくれるのかっ!?」
武闘会本戦の四日目。
朝からすでに闘技場外の広場に五十万人を超える観客が集まる中、準々決勝となる三回戦が始まった。
「解説のディルさん、ここまでの戦いを見て、ずばり、誰が優勝すると思われますかっ?」
「……大本命は……やはり、ゴリティアナだ……」
「その心は!?」
「彼女は……ただ、強いだけではない……戦闘経験も豊富……そこが……ラウルやセレンとは違うところ……」
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