11月18日

 背後からけたたましい笑い声が聞こえてくる。

 新幹線の車内である。まさに紅葉の季節、旅行客のおかげで座席を取るのに一苦労、そして満員だ。

 旅行で弾んだ人々の大騒ぎはいまのわたしにとってきついものだった。

 むかついて振り返ったらまさかの車両のうしろは修学旅行集団が占拠していた!

 トランプするわ菓子を分け合うのしっちゃかめっちゃかぶりだ。

 今の私は遠距離恋愛のかたをつけるために関西に向かっていたところだった。

 気が重い。

 笑い声を聞きながら、まるでそれが子守唄のようにならないか、と思ったが、無理だった。空で天使が人間を笑っているようには聞こえる、かもしれない。

「あいつなにくよくよししてんだよ」

「うっぜ」

 とかな。

 それはそれでむかつく。

 あまりにうるさいので教師が怒ったらしい。

「は〜い」

 と従うつもりもない陽気な声が響いた。

 お前らもじきわかるぞ。お前らがどれだけウザかったか、と。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

「今日はなにー?」

「今日はもりとふるさとの日〜」


故郷は東京でいまも東京なのですが、故郷がある人をうらやましく思います。

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