　おちもないすべらないわけでもない、なんともいえない話。

　中学の近所にエロ本の自販機があった。そんなの今時だったら大問題だろう。のどかな時代だったのですね。

「誰があんなとこで買うんだよ」と生徒たちは馬鹿笑いをしていた。興味はあれど、ひとりで立ち止まったら大変な騒ぎになる。集団でキャッキャいってるのも見かけたけど、買いはしない。あるいは買ったかもしれないが、ノリで、みたいにすまそうとしたりしたんだろう。中坊はこざかしい。

　塾の帰り、自転車に乗って自販機前を通った時だ。だれかが買っている。まじか、どこのどいつだ、と思って自転車のスピードを緩めて顔を見てみると、

　いつだって自販機を馬鹿にしていたクラスメートだった。

　翌日、クラスメートはいつものように馬鹿騒ぎをしていた。

　わたしはなにも言わなかった。

　中学生ってしょうもない、と思うたび、そのことが頭に浮かぶ。

　いまごろいい大人になっているのだろう。

✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

「今日はなにー？」

「今日はワープロの日〜」

家にありましたありました……。今にして思えば、集中できるかも。ネット環境ないし。いまでいうポメラですかね。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい