3月21日

 まさか自分が勤めている店の最後を看取ることになるとは。最終日のシャッターをおろす役目を果たすことになるなんて、入った当初は思いもつかなかった。そもそもわたしが勤務し出した時は、めんどくさい先輩がたくさんいて、荒れてて、いつやめようかと思っていた。まさか自分が一番の古株になるなんて思わなかった。

 やめようやめようと願っていたら、店自体がなくなるとは、不思議なものだった。

 最後のお客さんは態度が悪くて、それもこの店らしくて笑った。

 ひどい店、さようなら、ありがとう。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

「今日はなにー?」

「今日は催眠術の日〜」


でも催眠術にかかっていない人間なんているのかしら? みんななにかを信じてしまっているもの。

……文学的なことを言ってみた。

ミスターマリックを思い出したけど、あれは超能力、ハンドパワーだった。

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