1月7日

 別に無理してまで食べる必要もない。そう思っているのに七草粥を作ってみた。七草粥のセットをスーパーで購入したのだ。

 せりなずなごぎょうはこべらほとけのざ、すずしろ……

 あれ、何か足りない。

 こういうときネットは便利だ。

 すずな、か。

 といってもなんの思い入れもない。

「この葉は××か〜」だなんていちいち思ったりもしない。

 べつに美味しいわけでもないな、と思いながら後片付けをしていたら、男友達から電話がかかってきた。

「なに食ったの?」

「七草粥だよ」

「へーっ、渋いね」

 渋いかどうかはともかく、わたしは得意げになってしまった。

「せりなずな、ごぎょうはこべら、ほとけのざ、あとすずしろに……」

「すずなだろ」

「すごいね、知ってるんだ」

「昔ばあちゃんが作ってくれたからなあ」

 電話を切ってから、いつだってわすれてしまうすずなよ、すまん、ともうすでにお腹の中のすずなを思った。

 来年になっても、また忘れてしまうかもしれない。

 なんなら七草粥なんて作らないかもしれない。

 そう思うと、ちょっとだけしゅんとした。

『来年作ろうかな』

 と男友達からラインが入った。

 来年も、きっと七草粥の話をするにちがいない、と思った。

 いつだって、忘れて、思い出すの繰り返しなのだ。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

「今日はなにー?」

「今日は七草粥〜」

スーパーでセットが売ってるからべんりですよね。

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