1月4日

 あーあ、パパがこんなだったらなあ、とテレビドラマのお父さん役の俳優を観ながら、わたしは言った。

 パパもお前が広瀬すずちゃんだったらよかったよ、と隣で新聞を読んでいたパパがぼそっと言った。

 カチンときた。

 はあ? どうやったらパパから広瀬すずが生まれるんだよ、とわたしは言った。

 新聞から目を離し、パパがわたしを見た。

 なんだよ。

 どうすればおまえみたいな子が生まれたんだか。

 なにそれ最低。傷ついた、トラウマになった。あー最悪。ネグレクトだ。毒親決定。もう死んじゃいたい。

 パパももう死んじゃいたい。

 そう言ってパパは新聞をたたんで立ち上がった。

 どこ行くの。

 トイレ。

 帰りにゼリー持ってきて、とわたしは言った。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

「今日はなにー?」

「今日は石の日〜」

つげ義春の「無能の人」がラッキーアイテムにちがいない(確信)。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る