冒険者編

0章-00話 プロローグ兼自己紹介と冒険仲間紹介

 朝は日が照り付けるのが早いこの辺り、中原では深夜はかなり冷えて朝昼はクッソ熱いそんな天候だ。

 このPTパーティーは大型の移動手段があるから、まだましな方であると言える。徒歩で動く連中や、小型の移動手段しか持たない連中もいるからではある。


 中古だがFPt(フローティング・パワー・トレーラー)を入手できたのが、運が良かったのだろう。

[FPt/Pt(パワー・トレーラー):全長三十メートル程度、全幅十二メートル未満、全高七メートル未満、本来は長距離輸送用かMMマジック・マシンを積むために存在する]


 FPtを宿舎代わりに改造して寒暖を凌いでいる。又シュキュレシュア方式の循環水系器を積んでいるので、水は使いたい放題だ。

 本来は異界や専門の空間航法を使う船に、よく積まれているものだ。



 客間も、六人分程度ならスペースは取れている。

 全ての乗り物はマップテックエンジンなので航続距離も、光さえあればほぼ無限大に移動できる。逆に内燃機関のようなものは、既にこの世界では使われていない。


 都市間を移動するのに時間はソコソコ掛かるが遠くへ行くにはM-FPTミドル-フライング・パワー・トランスポートの貨物便で移動すれば良いし、それもそんなに高くはない。人貨兼用だから安いのだ。


 まあ今は地面の上を(荒れ地を)ひたすら浮遊疾走しているわけだがそれでも時速二百五十キロメートルは出ている。


 中古と言えるのはすでにフレームだけで、そのフレームも強化改造しているので中古と呼べるものは無いのかもしれない。


 そして基本飯類だけは十分に積むのが俺の流儀である、これを欠かして飢え死になんて真っ平ごめんだからだ。


 今の予定は今晩までに遺跡へ到着させて、危険がないか調べながらダンジョンアタックを開始する予定である。

 このため俺以外の皆は、今のうちに寝てもらっている。




 俺はアーガイン・夢名倉ムナクラ・アーセリカル、この時代にゃ珍しいが魔導剣士三十ランクと武将ぶしょう三十三ランクと魔導師二十二ランクに異界術師二十一ランクを持っている冒険者だ。

 符術やシキ術も使える。

[二十九歳:ニューレース・ナイツ:男性(年齢は地球基準で言うなら倍が相当)]

(一応共通語コモンをチームの会話の中心に据えている)

 そして、このチームのチームリーダーだ。


 俺は斑鳩いかるが出身の大名の三男坊で、どのみち家を出なければ、叩き出されていた身なのだ。


 グランシスディア・ゼロという古都の中心には巨大な地下構造のダンジョンがあると言われていたがそんな話は眉唾まゆつばだった。


 確かにシティーの周囲にはそれなりにヤバい古代遺跡が眠っているのは確かだが。


(パーティーに隠している事が一つある大名の先代の血を一番濃く受け継いだため俺はニューレース・ナイツなのだ。他の兄たちはニューレース・ノーマルなので異分子としてかなりいじめられた覚えがある)


 一応、侍階位は三ランクの御家人までは持っているのだが、斑鳩いかるが国外では爵位騎士位の方が役に立つ。斑鳩国の方の御家人はここ数年更新して無いから、多分もう帰る場所は無いだろう。


 ナイツの必需品、魔導光剣くらいは持っている。

 あまり使わないが……、家紋もある滅多に見せることはないが。


 主に使う武器は銘入の魔導太刀である。

 魔導の他に異界魔法と魔導剣闘技と符術を覚えている為、ギルドでは異色の武将と言われている。


 ナイツの技、真奥義も十数個は使える。先代に一番可愛がられたせいでもある、流石に深奥奥義というメイジの技は教えて貰ったことが無いから無理だが。


 俺はどちらかというと直感的で堅物な方だと思ってはいるが、昔は人間不信だった。

 触らぬ神にたたりなしとまで言われたことがあるくらい怒るとヤバい奴だったらしい、昔は手加減が下手だったが今はそうではない。


 無欲とまではいわんが、忍耐強い方だと思っている。今はチームリーダなんぞをやってるから、責任感は人一倍強いと思っている。少々強引なところもある。



 悪態をよくつくのは、ゼルベリオス・グローナである。

[二十四歳:コモンレース・ノーマル:男性]

(優秀な軽戦士でランクは十九と銃士が二十一との前後衛系だが、事あるごとに悪態をつく、時間については口うるさい、疲れて来ると眠いを連発する)


 余り手癖が良くなく盗賊族の真似事もできるため重宝されていたが。実務はこなせない、もっぱら遺跡での仕事の許可だけ取っている。一番安い許可で盗賊ギルドに年十シルズ払えばいいという遺跡以外で仕事はできない許可証である、まあ盗賊で無いから当然だ。


 感情的で口うるさくても付いてくる。それは他のパーティーと組んでいた時に口うるさく言っていた所為せいでうっとおしがられ、挙句置いてきぼりにされた。という苦い経験からである。



 そして甚九郎ジンクロウ堂賀ドウガだ。

[二十八歳:コモンレース・ノーマル:男性]

(堂賀 甚九郎、九人兄弟の末っ子らしい東国扶桑ふそうの出身、この時代にゃ珍しく扶桑国の共通語の地方訛りが混じっていて酷い。

 更に、主君に使えることに燃えている。人を見る目はそこそこあるようであるが、俺を主君と仰いでいる。

 前衛耐久性はピカ一の侍である)


 ジンクロウは侍ではあるがまだ二十ランクと若い。

 又、賢者として見識を備えている優秀な人材だ。

 賢者のランクの方が二十五と高い。変わり者であるのは確かだ。

 普通なら一番後陣にいて、パーティー指揮をする役を引き受けるのが普通だからだ。


 性格は理性的だが若干異性を苦手とするところが見受けられる。



 甘未が好きなのは、ナーシャ・スルセイユ・マーリカで魔導と白魔法、黒魔法の使い手である。

[百九歳:ハーフエルフ・メイジ:女性]


 冒険暦は一番長いが癖なのか食料について読みが甘いところがあり、良く食料を切らす。彼女と出会ったのも俺が二十歳の頃の話で駆け出しは終わって、帰投する最中だった。

 冒険中でその時組んでいた、パーティーから置いて行かれた上に、食料が尽き欠けていたところだったので、甘味で釣ったらあっさりとそのパーティーから抜けて付いて来た変わり者である。


 ~ね、という語尾は口癖である。


 歳の話は彼女の前では禁句である。

 食料の計算はよく間違うが、料理がうまく家庭的でもある。

 ついでに酒には弱く笑い上戸である。



 そして、リズ・イルヤンカシュ。

 蜥蜴人リザードの精霊魔法使いで、リザード・メイジである珍しいイキモノではあるのだが主に使うのは異界魔法師二十ランクと精霊魔法使い二十一ランクである。


 精霊の召喚は、主に行わない。理由は自身とリンクさせると痛いからだそうで、自らの特徴を使いたがらない変わり者である。

[二十五歳:リザード・メイジ:男性]

(語尾に『デシュ』がつくのは共通語の『です』の発音がし難いかららしい)


 意外と照れ屋でロマンチストであるが、今のところ浪漫に巡り合えたことは無いらしい。



 マリ・カラニア・アスネウス、元伯爵令嬢で司祭三十一ランクのお言葉が老女臭い女性である。

[三十三歳:コモンレース・ノーマル:女性]


 そのまま家に居たら結婚させられそうだったので、神官として身を立て純潔を神殿に預けるとともに結婚話を破談にして冒険に出て来たという変わり者である。


 自ら見識があると豪語しているが、見ている限りでは余り見識は無いほうだと思う。司祭として人を見る目はあるのだがそれ以外は無いといい切れる。


 自分勝手でついでに方向音痴であり、探索者サーチャーのアイネとよく意見が合わず張り合っているが、最終的にアイネに負けていることが多い。


 よくそんなんでサリーネ神の司祭が勤まるなと言いたくなるところがあるが、神は見捨てていないようである。



 最後に、アイネ・ロマリウス・エレオシンである。

 二十六ランクの探索者・二十六ランクの遊撃戦士で、別のパーティーに入っていた時に囮にされて置いて行かれたところを助けて以降くっ付いて来ている。

[二十五歳:ニューレース・ノーマル:女性]


 時間には余りうるさくない、俺のことを大将と言い男口調で付いてくる。

 探索者なのでパーティーの中で、鍵開けや罠周辺調査等の盗賊シーフ系技術については彼女の右に出る者はいない。


 彼女はあまり過去の事は語りたがらないので放置してあるが、どこかの王族の御落胤ごらくいんらしい。




この七人が今の俺の居場所なのだ。



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