緊急問答か

ジュン

第1話

「緊急事態発生。我々の宇宙船は巨大なブラックホールに吸い込まれようとしている」

船長は、船内放送でそう告げた。

「船長、我々はもう、地球に帰還することはできないのですか」

船長は言った。

「残念だが、その可能性が高い」

「地球に残した妻や子にもう会えないのか」

船長は言った。

「君も知ってるとは思うが、ブラックホールに吸い込まれると、脱出することはできないからな」

ほどなく、宇宙船はブラックホールに吸い込まれた。

「船長、宇宙船の燃料が切れそうです」

船長は言った。

「さあ、困ったぞ」

そのときだった。なにやら青くかがやく地球のような星が見えた。

船長は言った。

「いちかばちか、あの星に降りてみることにしよう」

星に降りると、そこは本当に地球そっくりだった。

「船長、ここは地球なのでしょうか」

「そんなはずはない。確かによく似ているが」

「あら、あなたお帰りなさい」

「パパ、お帰りなさい」

「妻と子だ!ここは本当に地球なのか!」

「実はあなた、あなたが地球を出発してから、地球の環境破壊が進んで、地球に住めなくなったのよ。だから、地球によく似た星を探して、地球人が集団移住したの」

「そういうことか」

船長は言った。

「次の地球候補をいまから探しておいた方がいい。この地球も直に住めなくなるだろう、人類がいる限り」


終わり

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緊急問答か ジュン @mizukubo

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