ある夏の日

姫亜樹(きあき)

ある夏の日

何処までも広がる青空に飛ぶ鳥はなく

照りつける太陽に吹く風もない

雲は遥か遠くで停止している

誰もいない道に陽炎たちが遊んでいる


世界が変化している事に気付かず

ぐるぐると同じところを廻り

進む気配のないぼくたちに

世界は答える


田の葉を揺らし風が吹き

銀蜻蛉ぎんやんまが駆けていく

ゆらゆら揺れる陽炎が

雲になって青空を埋め尽くす


やがて

バシャバシャと音をたてて

降り出した雨に

大地は削られ

また

悲しみが広がっていく


ぼくたちは背中を押されている

変化を求める世界に

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ある夏の日 姫亜樹(きあき) @Bungo-2432Da

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