トリアムとゲートが繋がったにゃ

 トリアムではそれぞれがプレゼントを貰い嬉しそうにしていた。特にクリス王女は始めての生き物に興味津津で、タイガが書いた説明書をロマーノ王子と読みながら餌のやり方や掃除のやり方を覚え、鍵のかかる部屋へ戻ってからカゴから出して優しく撫でてあげた。


「クリス、このモルモットの名前はモルちゃんというらしぞ、タイガ殿が直々に名前を付けられたらしい。餌が入っているから責任もって3日間世話をするんだぞ」


「あい、らいじょうぶです」


「ロマーノ様、私も付いていますので大丈夫です。この3日間しっかりお世話させていただきます」


「リリアーヌが付いていれば安心だな、くれぐれもよろしく頼む」


「かしこまりました」


 リリアーヌが返事をしてクリス王女を連れて、モルモットが逃げないように窓の少ない部屋へ向かった。


 クリスとリリアーヌはそれから3日間モルモットと一緒に過ごしモルモットの可愛さを堪能したようで、3日後の返還日にはずっとグスグスして泣いていた。今回のトリアムからの配送はもちろんモルモットの移送がメインでそれ以外には聖女カテリーナが撮影したクリスとリリアーヌがモルモットを可愛がる様子や、女王様のメイク風景などの動画が入ったビデオカメラや、魔石などの地球では手にはいりそうにない物も数多く入れられていた。鉱石もミスリルのような変わった鉱石も入れられた。

 トリアムには太陽光発電用のソーラーパネルやモバイルバッテリー、充電式電池等を送っているので、DVDプレーヤーでDVDを見たりする程度の電化製品は揃っている。全部使い方も説明書等を翻訳したり動画でわかりやすく説明してある。女王の為にドライヤーやヘアアイロンを送りたかったがモバイルバッテリーで動かないので、こちらの筐体に魔石をはめ込んで独自の魔道具を作って送ってある。化粧用のブラシも以前送ったものをトリアムに生息する動物や魔物で作れないかを試行錯誤しているらしい。


 送還準備が整って2時間程すると、魔法陣が眩い光に包まれて送還用の樽が光が消えると共に魔法陣の上から消えていった。


「いっちゃった……」


 涙声でクリス王女が呟いたのでリリアーヌはクリス王女に優しく問いかけた。


「タイガ様の手紙にこの実験が終わればもしかすると行き来できるようになるかもと書いてございませんでしたか?」


「あっ、かいてありました」


「そうでしょう? 今回無事にモルちゃんが向こうに戻る事ができれば、タイガ様もこちらに戻ってこれる可能性が高くなるので、喜びましょう」


「あい……」


 すぐには笑顔にはならなかったが、クリス王女のご機嫌は少しだけ良くなった。



 ******************************************

 よし! 無事にモルちゃんが戻ってきたぞ、これで近いうちに向こうとの行き来が出来るはずだ。俺は楽観的に考えていた……


 戻ってきたビデオを来夢やまりの達と一緒に鑑賞する。前回まではボイスレコーダーでやり取りをしようと思っていたが、こちらの声は俺が喋ってもニャアニャアしか聞こえないし、あまり役に立ちそうになかったので、今回からビデオでのやり取りを始めたのだが、向こうの女性陣が出るたびに来夢となな子がため息をついていた。


『どうしてため息をつくにゃ?』


「だって、みんな美形じゃないの? ブサイクな女性とかいないの?」


『そういえばそうだにゃ、そんなにブサイクな女性は見たことあまりなかったにゃ』


「なんて羨ましいところなんでしょ?」


『でも衛生面とか考えるとこちらの女性がきれいだにゃ、髪とか向こうはゴワゴワな人も多かったにゃ』


「そうなんだ……」


「クリスちゃんとお友達になりたいの」


『さすがに異世界への行き来は難しいと思うにゃ、でも文通とかなら出来るかもにゃ』


「お手紙かきたいの」


『じゃ次回はまりのの手紙を送るにゃ』


「やったぁ!」


 ビデオ鑑賞が終わりそれぞれが風呂の時間だったりで解散すると、俺は自室に戻り部屋の一角に魔法陣を展開して魔力を流し、トリアムに今回設置した座標とつながるイメージを練り上げる。トリアムロードを作った時よりも膨大な魔力が魔法陣に流れ込む。これ以上はヤバイかなと思った頃に魔力の流出が止まり魔法陣の上に某アニメで出てくるようなドアが出来ていた。どこ◯◯ドアを強く意識しすぎたようで、ゲートのつもりだったが完全にどこ◯◯ドアになってしまった。でもこのドアって何で出来ているんだ? 謎素材のドアだな、とりあえず開けてみようかと思った瞬間


「とらちゃん! なんてことしてくれやがるううう」


 ん?


 頭上から聞いたことある声が……


 どこ◯◯ドアの上から久しぶりに駄女神アルメエルが顔を出していた……

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