第5章 究極の選択をするにゃ
トリアムとゲートをつなぐ準備をするにゃ
トリアムロードを繋いでトリアムの世界と何度かやり取りをするうちに、少しずつだが送れる量も増えてきて、今では樽の大きさくらいのケースを送れるようになった。子供くらいないなら行き来ができそうだが、自分で試してみる気にはまだならない。向こうの世界へ送ったデジカメもクリス様にいろいろ写真を撮って、戻してきたものをまりの達と見て楽しんだり、こちらの技術でトリアムで実現可能な技術を写真付きで送ったりして順調に交流を続けていた。
今日は始めての生き物を送る実験と、向こうに固定座標を書いた魔法陣を設置してもらう準備の日で、これが成功すれば向こうと行き来が出来る気がする。今までテレポートションで異動したが、転移魔法は行ったことのある場所か見える範囲でないと飛べなかった。それで次元が違うと飛べなかったのだが、今回は新しい魔法を開発したので、その実験も兼ねている。
その名も
今回向こうに送る動物はハムスターにした、女神の魔法で猫や犬とはコミュニケーションが取れるのだが、脳の大きさ等によるのかわからないがハムスターはどうしても無理だったので、ハムスターに行ってもらう事にした。なお3日後にはまた戻してもらう予定を手紙には書いてある。また魔法陣を書きこんだ魔石は転移陣の真ん中に置いてもらうように指示しているので、3日後が楽しみだ。
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カラン、カラン、ガラン、ガラン!
城の中を鐘が鳴り響くと、クリスティーネ姫が護衛よりも早く走っていく。異世界からの便りが届くといつも見られる光景だった。さすがにお城の中だけに護衛よりも早く走ったとしても、誰も文句は言わないが、このあと女王から王女へのお説教があるのも良く見られた光景だ。
「きょうはなにがとどいたのですか?」
「はい、姫様今回は始めてみる動物が入っておりました。あとはいつものようにディーブイディーが何枚かと、魔法陣が組まれている魔石のようです」
祠を管理している少年から説明を受けると姫はその動物に駆け寄った。
「きゃあ! かわいいです」
「姫様、一度お離れください。安全かどうかを確かめてからでないと」
護衛の騎士が声をかけるとクリスティーネが一言
「タイガしゃまが私に害を与えるものを送ってくると?」
「いや、そんな訳では……」
騎士がタジタジしていると後ろの方からロマーノ王子がクリスを優しく諌めた。
「クリス、みんな心配してるだけだ、タイガ殿がお前を傷つけるなんてありえないが、念の為少しまってくれ、まずは僕が何が入っているか確認するよ」
そう言いながらロマーノ王子が樽の中を確認すると少年が言っていた小さな動物が入っていた。手紙も同封してあったのでクリスに聞こえるように読んだ。
「クリス様お元気ですか? ようやく今までより大きな入れ物で送れるようになったのでこちらの世界でペットとして買われているモルモットを送りますが、3日後に戻れるかどうか知りたいので3日後に転移魔法陣に戻してください。クリス様が気に入ってくれたら、一度こちらに戻してからまた送り直します。これで無事に行き来ができたら自分もそちらに行けるような気がします。新しい魔石を送っていますので、これは転移魔法陣の真ん中に置いてください。今までより簡単に行き来が出来ないかを実験したいと思います。モルモットは絶対に逃げないような部屋で放してくださいね。餌は3日分だけ入れていますのでそれ以外の餌は上げないでください。お水はそちらの水を飲ませてください。あとDVDはこちらの子供向けのアニメを数本いれています。DVD用の電池も沢山いれていますので、使い切った電池は返してください。いつか必ずクリス様の前に行きますからそれまで女王様の言うことを良く聞いてくださいね」
ロマーノが手紙を読むとクリスは頷きながらボロボロと大粒の涙を流していた。
「クリス、良かったないつかタイガ殿も戻ってくるみたいだぞ、でも良い子にしてないと戻ってこないかもな?」
「おにいしゃまキライ」
「そんな顔をするなよ、いいかその動物のカゴを開けるのはドアを閉めた部屋だけだぞ?」
「あい」
「残りの手紙も読みますね」
王様女王様ともに揃ったところでクリスが皆に声をかけた。
「ロマーノ様、ロマーノ様にはこちらの世界の短刀をお送りします。もう少し長い物を送りたいのですが、こちらの世界では長い刃物を持つのも許可がいるのですぐには難しそうです。あと防御用の服もお送りします。軽いですが刃物には強い服ですので、こちらは皆様で着てください。あとロマーノ様にはこちらの武道のDVDを数枚お送りします。マルト女王様にはこちらの化粧品類とファッション誌、メイクの説明DVDをお送りします。カテリーナ用とリリアーヌ用も入っていますので分けて上げてください。あとは侍女の皆様ようにも化粧水をお送りします。ハーラルフ宰相には計算機と時計をお送りします。両方とも太陽電池で動きますのでたまにでいいので太陽にしばらくあててください。王様とペイロンにも時計を送りますので使ってください。もしもこちらの女性の写ったDVDが欲しい時には遠慮なく希望に書いてください送ります」
ロマーノが代読すると、それぞれが笑顔になったが最後の1行で女王とカテリーナの顔が冷ややかな目になり、王様とペイロンを睨んでいた。
「タイガめ、こっそり送ってくれれば良いものを……」
王様が発した独り言をしっかり聞いていた女王は王様に冷たい笑顔で王様に聞いていた。
「あら? リクエストしておきましょうか?」
「いや…… 大丈夫だ…… 君がいれば俺はそれで良い……」
「ペイロン貴方は?」
カテリーナの問に
「も、もちろん僕もだよ、当たり前じゃないか!」
「ふーん、じゃこの雑誌に載っていた水着とか下着の写真とかは見なくていいのね?」
「えぇっ? そんなの載ってるの? あっ、いやいいです……」
白い目で見られるペイロンだった……
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