新人はいつもマウント取りにくるにゃ

 異世界から戻って約半年以上がすぎ、最近はようやく猫たちのYoチューブも軌道に乗ってきてアクセス数も稼げるようになってきた。別チャンネルではマミが立ち上げたチャンネルでNGJ12(Neko Gami Jinja 12)総選挙を行うようになって、マミのチャンネルの収益の一部を神社へ寄付してもらっている。最初は全額寄付すると言っていたが、一部を寄付してもらって残りはトモやカズとアルバイト代として分けるように言っている。最近ではこの神社以外でも保護猫や保護犬の譲渡会を開いたりしているようだった。

 NGJ12にはブッチも最初はエントリーして選ばれていたが、譲渡会でもらわれていったので入れ替えが行われている。保護猫は30匹を超え、犬も20匹近い犬が保護されている。犬の中には当然大型犬もいて、マウントを取ろうとする犬もいて困ったもんだ。今日も保護されたシェパードのコテツがいきり立っていた。


【なんだここは? お前ら俺のいう事聞かないと食い殺すぞ! 飯は一番に俺が食うからな!】


 マルチーズのマロンが嘲笑うように

【ここは誰が一番なんてないんだよ、みんなと仲良く出来ないなら、あそこにある場所に一人でいろよ。一人で小屋は独占できるし快適だよ】


【弱いクセにうるせぇ! 俺はやりたいようにやるんだ。誰の世話にもならないし誰の命令も受けねぇ!】


【僕が弱いのはわかってるけど、ここには君より全然強い猫がいるから、文句言うならその猫に勝ってからにしな!】


【ね、ね、猫? 猫なんてヒト噛みで食い殺せるぞ】


【ふーん じゃもう少ししたら多分来るから、そいつに勝てよ? もし負けたら言うこときけよな!】


【猫なんかに負けたらもちろんお前の言うことも聞いてやるよ】


 そんな会話のやり取りがあったことなど知らずにまりのと一緒に神社へやってきた。


【よぉ! みんな変わりないかい?】


【トラちゃん コテツが一番になってここを支配したいって】


【お前がコテツかにゃ? いつでもかかってこいよ】


【なんだと、ケガしてもしらないぞ】


 俺の挑発で頭にきたみたいで、いきなり噛み付いてこようとしたので、横に飛び退いた後にジャンプしてコテツの背中に乗り首元まで背中を走って頭に軽く猫パンチをお見舞いした。


【痛くないぞチビ! 下りてこい】


【誰が下りてくるか! バカじゃない?】


 そのまま背中を後ろに歩いてしっぽを持ちモフモフしてみるとシェパードのコテツはもんどりうって喜んでいるようだ。横になった拍子に飛び降りた。


【どけ!】


【降参するかい?】


【そんなわけねぇだろおおおお】


【仕方ないなぁ】


 俺は背中に飛び乗ったり頭に乗ったりして遊んでいると疲れたのかとうとう降参してしまった。


【はぁ、はぁ、お前なんだ? ちょこまか動きやがって、はぁ はぁ】


【もう降参かい?】


【うるせぇ】


【じゃ負けたんだから、みんなと仲良くしろよ!】


【俺は負けてねぇ】


 往生際の悪いやつだな、ちょっと本気めに殺気を出す。


【いい加減にしろよ……】


【ヒィィィ】


 完全に尻尾を丸め小さくなってしまったところにマロンがやってきた。


【ほら、わかっただろ? ここには絶対逆らえないのがいるから大人しくみんなと仲良くするんだぞ?】


【わかったよ……】


【トラ、ありがとね】


 毎回ではないが、結構大型犬が保護された時にはこのようなやり取りが数度あって今のところはちゃんと仲良くしてくれているようだった。




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