60話 まりの親子を助けるにゃ

 女神の降臨によって俺の言ったことが本当だと信じてもらえたので、今後の話をすることにした。


『まずは会社を作ってもらうにゃ、社長は来夢で副社長になな子にしてもらい、役員兼顧問弁護士で新田になってもらうにゃ。それでいろいろな収入とかを上手く管理して欲しいにゃ』


「タイガはその会社で何をしたいんだ?」


『向こうから持ってきた貴金属を合法的に金に変えることにゃ、それと猫の友人達が安心して住める場所を作るにゃ。まずはYotubuに猫たちを出して稼ぐにゃ』


「私は何をすれば?」


『にゃにゃ子はしばらくは武村のところで働いてもらいたいにゃ。あの神社の整備をしてもらう仕事をお願いしてるにゃ。それの橋渡し的な仕事をお願いするにゃ。こっちが忙しくなったらこっちを手伝ってもらうにゃ。でも全てに優先してほしいのはまりのの事だにゃ』


「ありがとうございます。一生懸命働かせていただきます」


『そんなに固く考えなくていいにゃ』


「俺は何をすればいいんだ?」


『かっちゃんは雑用だにゃ』


「なんだそれ?」


『まずはまりの達の借金問題をクリアにするにゃ、来夢と同じ九州ローンで同じような手口で知らないうちに借金になってるにゃ』


「あいつらか…… 完全に潰すか……」


『今は証拠集めをしてるからそれが終わったら完全に潰すにゃ、それまではとりあえずまりの達の分だけなんとかするにゃ、にゃにゃ子は書類持ってきたにゃ?』


「えぇ、持ってきてます」


 なな子は持ってきたローン会社の書類の束を新田に渡すと、新田は中身をパラパラとめくりながら見ていた。


「岩田さんと同じですね、知らないうちに連帯保証人にされて、本人と連絡とれずに請求かな? 明日にでもローン会社へ電話してみよう。前回の件もあるし、すぐに解決できると思うよ」


『さすがは変態だけど敏腕弁護士だにゃ』


「変態はよせよ……」


『過去の所業を暴露してもいいかにゃ?』


「や・め・ろ」


 そう言いながら俺を猛烈にモフり始めた。


「この前ので、お前の弱点は全て知ってるんだぞ」


『や、やめるにゃ…… そこは駄目にゃああああ』


「ねぇこの二人って、今は人間と子猫だけど、実際にはおじさん2人なんだよね」


「そうですね、そう考えると気持ち悪いかも……」


「変態なの?」


 その声にハッとした新田がようやく手を離した。


『やっぱ変態だにゃ』


 勝ち誇ったように言うと来夢から


「いや、トラちゃんも立派な変態だったよ……」


『にゃんだとおおお』


「猫神様は男の子が好きなの?」


『まりの、それは違うにゃ……』


 まりのの言葉に打ちひしがれてしまった。


「まぁこの件は任せてください。明日以降は全て自分が窓口になるように伝えておきますので、もし直接何か言ってきたら即金融庁へ報告するって脅しておきます」


「よろしくお願いします」


「よろしくなの」


 2人が新田に頭を下げた。


『じゃかっちゃんにはお礼をあげるにゃ。金塊100gくらいか洋服を透かして見えるようになるメガネとどっちがいいにゃ?』


「そりゃメガネだろ!」


 言った瞬間に3人からの白いジト目にさらされた……


『メガネは冗談だにゃ……』


「謀ったな……」


『やっぱ変態は治らないにゃ』


「じゃタイガだったら、どっちもらうんだよ?」


『そりゃメガネだにゃ……アッ』


 とっさに答えてしまったら、案の定3人の白いジト目が……


「変態ホモ達なんですね……」


『来夢、それはやめてくださいにゃ』


 そんな話をしていると夜も更けて行き、まりのが眠そうな顔をしてきたのでお開きにすることにした。同居生活はもう少ししてからの予定なので、今日は2人共家に帰る予定だ。夜道は危険なので、タクシーを呼んで来るのを待っていた。まりのは眠そうに


「トラちゃんって猫神様じゃなくておじさんだったの?」


『そうだにゃ、女神は知ってるけど神様じゃないにゃ』


「そうなんだ…… この間ママの裸見ていたけど神様だと思っていたから……」


「えっ? 裸?」


「この間ママが裸でお風呂から出てきた時にトラちゃんいたの」


 なな子と来夢の首がギギギッと回ったような気がした……


『いや、見てないにゃ…… 少しだけにゃ……』


 なな子は真っ赤な顔を手で覆った……


「トラちゃん、見たいならいつでも見せてあげるから他の人はみちゃ駄目です」


 そうじゃないだろ……


「トラちゃん私もみせてもいいの」


 いやそれは犯罪なので……


「タイガ、羨ましいな……」


 お前は出てくるな……


「まぁお家で裸でいた私が悪いので、仕方ないですね」


 真っ赤な顔でそういうのがやっとのなな子だった。


 まだ立ち直れないなな子だったがタクシーが来たので真っ赤な顔のまま乗り込んで行った。


「じゃ俺も帰るわ! 酔い醒ましに少し歩いてから大通りでタクシー拾うわ」


 そう言って新田も帰っていった。


「片付け先にしてるから、トラちゃんはお風呂に入って来て、それとも一緒に入る?」


『いや、先に入ってくるにゃ』


 風呂から上がり最近の習慣である異世界との繋がり探しをしていたら、来夢が風呂から上がってきたのでその作業を止めて今度はパソコンで、異世界とのつながりのヒントになりそうな小説を探したりしてみた。女神が実在したので、もしかしたら本当に異世界に行った人が書いた小説があるかもしれないと思っていた。


 その後は毎日恒例のモフりタイムに突入してぐっすりと寝てしまった。


 翌日の午後に新田から来夢へ電話があり全て前回同様に解決したと連絡があった。やはり偽造の連帯保証人で本人が書いた証拠を迫ったら、もう結構ですと言われたので全ての借用書関連の書類を回収してきたという話だったらしい。

 これでまりの達の全ての障害が無くなったので安心してこの家に住んでもらえるようになった。


 今後の準備も出来て進行度合いは順風満帆と言えた。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る