エリクサー争奪戦への企みだにゃ
浜名の奥さんが完治して2日程たった時に医院長に浜名は呼び出されていた。
「浜名くん、君の奥さんや患者さんが急に寛解したと聞いたが、どういう事だい?」
浜名の病院の医院長が浜名を問いただすが、浜名はのらりくらりと躱していた。
「吉見先生、神社の水は飲ませましたが、それだけです。患者さんもその神社の水を飲んだのは確認していますし、妻が飲んだ後のペットボトルの成分を分析しましたが、ほぼ水以外の成分は出ませんでしたので、その水が原因だとは考えられないです」
「じゃ、なんで末期患者2人に君の奥さんが治るんだ?」
「私に言われても……」
「もしもその水を手に入れられたら教えて欲しい」
「そのお約束は出来ませんが、私も研究者の端くれですので、また手にはいればしっかりサンプルを取る予定です 」
浜名は吉見にそう応えたが、すぐに下西なな子に電話をして、いろいろ大きな話になりそうだから、これ以上はあの薬を表に出さない方が良いことを伝え、なな子もまりのが巻き込まれるのが嫌なのでそれを了承してこの問題は落ち着くかと思えた……
それから2日ほど経過して、浜名は医院長から呼び出されていた。
「浜名くん、あの水はどうなった?」
「先日持ってきたサンプルでも確認しましたが、全然薬効がありませんでしたので、所詮は神社の水だったのではないでしょうか? それまでの治療が急に効果が出たとしか思えません」
「そんな馬鹿な話があるわけ無いだろ? 末期で数日以内に死ぬような患者が1日で完治したなんて話を聞いた事あるか?」
「そう言われましても、あの神社の湧水池の水だと言うことは本人から確認していますし、先日は一緒に同行してもらって採取したので間違いありません」
「その子と母親になんとか合わせてもらえないか? その子の母親は母子家庭で病気であまり裕福ではないんだろう? もしも連れてきてくれたらそれだけで100万円の研究協力金という形で補助しようではないか」
「一応先方に確認はしていますが、無理強いはできませんよ?」
「わかってるよ、母親には急激に治ったので色々検査させて欲しいから協力してくれと話をしてくれ、その時に協力金を支払うので是非親子で来てほしいと伝えてくれ」
「……わかりました」
浜名はなな子に電話をして、医院長からの伝言を伝える。
「あまり無理強いすることはできないのは重々わかっていますが、良ければ協力をお願いしたいと思っています。私も医者である以上その効果が継続するのかも知りたと思っています」
「浜名先生には大変お世話になりましたし、私自身本当に治ったのかまだ不安なので詳しく調べて頂いてけっこうです。では明日子供が帰ってきてから行きますので夕方の4時過ぎになりますがよろしくお願いします」
「ありがとうございます。では明日の4時過ぎにお待ちしております」
電話を切るとアポがとれた事を医院長へ報告した。
「明日の4時過ぎに2人で来られます。」
「そうか、よくやった。では明日の検査は任せるのでよろしく頼む。血液関連は少し多めにサンプルを取ってくれ。もしも細胞採取までできればして欲しいが、難しければ仕方がないだろう」
「わかりました。さすがに健康体と見られているので、細胞採取は難しいかと思いますが、今までのがん細胞がどのような変化をしたのかはしっかり確認したいと思います」
「フェイザー製薬のやつから血液サンプルを頼まれているのでよろしく頼む。奥さんや上条梢さんのもサンプルも今後採ってほしい」
「ええ、では」
浜名が退出をすると医院長はフェイザー製薬の中林へ電話を掛けた。
「中林君、明日親子がくるからなんとか聞き出そうと思うよ」
「先生お願いしますね、先日のは完全に水以外の成分はありませんでしたし、飲んでも効果はなかったので是非本物を手に入れたいですね」
「相手は子供なので、情に訴えようと思っているから、本当に効果あるなら絶対に手に入ると思う」
「期待してますよ。もしも手に入れば数億出しても買う人間はいると思いますし、そこから有効成分がわかればノーベル賞ものですよ」
「明日は中林君も来るのか?」
「もちろんですよ、でも僕みたいな人間がいても怖がりそうなのでうちの若手の女性を一緒に連れていきます」
「そうだな、あまり強引にすると浜名が何か言いそうだから、なんとしても穏便に出してもらわないといかんからな」
「では明日午後にお伺いしますね」
「待っとるよ」
電話を切ると、看護師長の田宮 一子を呼び出した。
「お呼びでしょうか?」
「明日の夕方先日まで入院していた下西親子が来るんだが、検査の時間に娘さんを小児科のプレイルームで預かってくれ。その時に小児がんで入院している子たちを数人一緒に遊ばせて仲良くさせてやってほしい」
「預かって子どもたちを遊ばせておけばいいんですね?」
「仲良くなるように手助けしてくれな」
「わかりました。では失礼します」
吉見はニヤリと笑い医院長席へゆっくりと座った
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