まりのの不思議な体験だにゃ

 まりの宅では


 お風呂から上がった母親がペットボトルを洗っているまりのを見て、不思議そうに質問をしてきた。


「まりの、何をしているの? そのペットボトルを何かに使うの?」


「ママ、今ね猫の神様がきたの、それでね明日の朝神社でママの薬をくれるって言われたから行ってくるの」


「神様? 神様とかいればいいね……」


 母親は目を伏せながら呟いた……


 今日の精密検査で医者から余命宣告を受けたばかりだった。ステージ4の胃がんでもう手術も出来ない状態で、抗がん剤治療をして少し延命するか、もうターミナルケアで余生をゆっくりす過ごすかを次回の検診までに選んで欲しいと言われたばかりだった。


 母親はお昼の医者の言葉を思い出し涙を流し始めた。

 まりのが母親の背中にギュッと抱きつきながら


「ママ、大丈夫? ちゃんと明日お薬もらってくるから大丈夫だよ?」


「そうね、まりのが持ってきてくれた薬を飲んだらすぐに治るかもね?」


「治るかもじゃなくて治るの! 猫の神様は嘘つかない……」


「そうだね、治ったらまた働いて、美味しいもの食べに行こうね?」


「うん!」


「じゃ明日早起きするなら、今日は早く寝ないとだめよ」


「歯磨きしてすぐ寝るの、でも絵本を読んでほしいの」


「着替えている間に歯磨きしててね」


「うん!」


 母親が着替え終わった頃、まりのも布団に入り寝る準備が終わっていた。母親がまりのの好きなシンデレラの絵本を読んであげているうちに、まりのは深い眠りについた。


「あと、どのくらい生きられるのかな……」


 母親はそう言いながら止まらない涙を流し続け、泣きつかれてそのまま、まりのの布団で寝てしまっていた。


 朝5時頃目覚ましが鳴って目を覚ますと、もう着替えをしてペットボトルを持ったまりのが母親に満面の笑みで


「行ってきます! すぐに帰るからね」


「まだ薄暗いから気をつけてね?」


 母親はそう言いながらまりのを見送った。

(今の時間は犬の散歩している人も多いから大丈夫よね?)


 まりのはスキップするように神社へ向かい、犬の散歩をしている人をドンドン追い抜いていき、神社の麓につくと階段を跳ねるように上っていった。神社へ着くといつものように本殿にお参りする。もちろんお賽銭等もっていないが、一生懸命お参りして、祠へ向かった。祠の横には杉並木があり、祠から3本目の杉の後ろにまわるとそこにはハート型の葉っぱをしたクワズイモが1本生えていた。その葉っぱをみると黄金色に輝く雫が垂れていた。まりのは言われたように3滴だけをペットボトルに入れた後に祠へ戻って湧水池から柄杓で湧水をすくってペットボトルにいれると、満面の笑みで本殿に挨拶をして軽やかな足取りでアパートへ戻っていった。


「ママただいま! これを飲んで、早く、早く!」


「おかえりなさい。これが神社のお水? ありがとういただくわ」


 母親のなな子は、まりのがうれしそうに取ってきてくれただけで嬉しく思い、まさか効果なんてあるはずは無いと思いつつ一気にペットボトルの水を飲んだ。すーっと体の隅々まで行き渡るような感覚と体の細胞が活性化しているような感覚に陥り、今まで胃の辺りのムカムカも無くなったような気がした。


「まりの、ありがとうとってもスッキリした。今日の病院も気持ちが楽に行けるわ」


「ママ治った?」


「うん、治ったよ! 元気モリモリになったよ」


「良かった……」


「じゃ朝ごはん食べて、学校に行ってらっしゃい」


「うん!」


 まりのを送り出して、なな子は出かける準備をすると病院へ向かった。



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『にゃあ、来夢!』


「なぁに?」


『今回全く出番がないにゃ、主人公にゃのに……』


「私もしばらく出番なかったわよ?」


『モブキャラと一緒にしないで欲しいにゃ』


「誰がモブキャラよ! お仕置きしてあげる。コチョコチョ コチョコチョ」


『にゃああああああああ』

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