第3章 将来の目標をみつけるにゃ
異世界と連絡をとりたいにゃ
あの事件から数日たったが、クリスティーネとの約束の異世界通信は、未だに出来ていない。今日も来夢は料理教室なので、まったりした後は研究に勤しむ。
ここ数日は目の前で魔法陣によるテレポートや魔法陣なしでのテレポートをしてその仕組を考えている。
緯度、経度、標高で3次元の座標は出せる。異世界でのテレポーテーションの場合には座標ではなく、そのイメージだけで飛ぶことが出来た。それは今のこの世界でも同様に出来た。2拠点間を空間を捻じ曲げて最短距離で移動するのか、それとも一度分解されたものが再度再生されるのかを考えると、どうも空間を捻じ曲げて最短で移動しているように思われる。分解するような状態を感じる事はなく、なにか少し違和感のあるトンネルを潜っていくような感覚なので、そのように思われる。行く場所のイメージを強く願うのも、その場所を捻じ曲げて繋ぐという事だろう。
では異世界とこの世界を繋ぐものはなんだ?同じ世界では向こうもこちらも、場所のイメージが非情に重要で、座標の感覚を考えなくても普通に転移出来るし、追跡用の魔石に向かって転移する場合には座標でもなく場所のイメージでもない。考えれば考えるほど解らない。
「…………」
これがわかれば、異世界とやり取りができるはずなんだが……
駄女神の駄メルの部屋には未だに俺の部屋から強奪されたテレビやらなにやらが、うちのコンセントに繋がっている。
「ん?」
女神の部屋とこの世界は繋がっている?
何で?
リビングへ行き、なぜか先だけ刺さっているコンセントを眺めてみる。電線部分が切断されたように見えるがそこを手で触ろうとするが触れない……
これ抜いたらどうなる?
抜いて引っ張ってみるか?
抜いたら駄女神のところに消えるのであれば、追跡の魔法陣をこっそり仕掛けておくかな?
この場所の座標を0,0,0の3次元とさらに次元の違いを4次元、時間軸の違いを5次元と考え座標軸に0,0を追加してトレースできるようにした魔法陣をコンセントに焼き付けた。
焼き付けたあとは、とりあえず抜いて見るが、想像した通りにコンセントの先は消えて無くなった。しばらくすると何もない空間が歪み、そこから少し太めのぷよぷよした手が伸びてきたので、すかさず手首を両手で挟むように掴む。
「きゃあ! なにするのよ! 変態!」
空間からアルメエルの顔も出てきた。
『変態はおかしいにゃ 』
「トラちゃん、なにするのよ! コンセント抜くなんて…… 極悪非道よ!」
『なんでにゃ……』
「ちょうどクライマックスの所だったのに……」
『DVDでも見てたのかにゃ? 早く体作って欲しいにゃ…… まぁとりあえず駄メルに聞きたい事があるにゃ』
「何度言えばいいの? 駄メルじゃなくて、メルちゃんと呼びなさい」
『そんなのはどうでもいいにゃ。あっちの世界へ物を送ったり、自分が行ったり来たりはどうすればいいにゃ?』
「そんなの教えられる訳ないでしょ! 創造神様から殺されるわ!」
『でも駄メルは行ったり来たりしてるにゃ…… しかも俺のプライベート空間を自分のものにしてるにゃ…… これは創造神様にどうにかして報告するにゃ……』
「やめてええええええ! そんな恐ろしいことは絶対やめないと、体作らないわよ! 一生子猫ちゃんでいいの?」
『うぐぅぅ それは困るにゃ、どっかで落とし所はないかにゃ?』
「トラちゃんってアイテムボックスを持ってるよね? それがヒントよ! それ以上は絶対に言えないから…… 勝手に繋いで勝手に行ったり来たりできる分は私は関与していないから問題ないけど、私が手を貸すと禁忌になるの、だから召喚も送還も向こうの世界の人がしたでしょ?」
『仕方ないにゃ、自分で頑張ってみるにゃ……』
「もう絶対これ抜いちゃ駄目だからね?」
『それは約束できないにゃ』
駄メルは再度コンセントを指し直すと空間から消えるようにいなくなった。
『あっ 体作りの進行度合いききそびれたにゃ……』
あの調子では絶対作ってないんだろうけど……
コンセントに設置していたトレース用の魔法陣を解析してみた。
0,0,0,$%&' , 0
座標で違うのは4次元部分だけか…… 数字ででないと難しいな……
でもこの空間の座標と全く同じ場所に別の次元があることがわかったのは第一歩だし、時間軸は同じなので、まだなんとか探せそうな気がする。あとは駄メルがいったアイテムボックスの解明をすればもう少し進むのだろうか……
アイテムボックス中に手をいれて、トリアムの祠に設置した魔法陣を読み込むイメージをするが見つかる気配がしない。アイテムボックスを覗き込むがやはり気配は感じることができない。もう少し進めようと思ったところで、来夢が帰ってきたので、本日の実験はここまでにしよう。
「トラちゃん! ただいま! 今日の晩ごはんは、アマトリチャーナを習ってきたよ!」
「アマトリチャーニャ? にゃんだそれ?」
「簡単だからすぐに作るよ!」
来夢はさっさと着替えて台所へ消えていった。
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『来夢、今日からまた冒険が始まるにゃ!』
「私もバンバン活躍するんでしょ?」
『……少しはするにゃ……』
「少しか……」
『応援が増えたら来夢の出番とかも増えるかもにゃ』
「そうなの?」
『変わらないと思うけど☆とブクマお願いするにゃ!』
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