家宅捜索だにゃ
「警察だ、昨日の事件について家宅捜索を行う。捜索差押許可状もすでにある。速やかに開けなさい。先程の発砲音についても詳しく聞きたい」
ドア越しの会話を聞いたおっさんは、ようやく自分の今の状況が非常にまずいことに気がついた。
「おい! とりあえずお前がこの銃を撃ったことにしておけ! いいな、変なことは絶対しゃべるなよ」
「……」
坊主頭は理不尽な要求に頷くことは出来なかったが、やはり上の言うことは聞くルールが徹底しているので手を出して銃を受け取った。
「お前は未成年だからションベン刑で出てこれる。出てきたら面倒見てやるからな……」
どこまで本気なのか、おっさんはネコナデ声をあげていた。
ガチャ
扉が開くと刑事が数人、盾のようなものを持って入ってきた。さすがに銃声のした現場にそのまま入って来るわけないよな。
「なんじゃい! 昨日の件ってなんや?」
「昨日ここの組名義の車に血痕のついた毛布が入っていてな、事件性がありそうだからわざわざ令状まで取って来たってわけよ!」
「なんやそれ?」
「伊山の息子が乗り回していた車だ」
「そら、そいつに聞けやああ!」
「それはそれで聞いてるけど、ちょうど名義がここだったから、ついでだよ!」
「別件かよ、なんもないからさっさと帰れ!」
「なんもないってパンパン銃声響かせて何にもありませんでしたで帰れるわけないだろ?」
「さっきの音か? その小僧が川で拾った銃が本物かわからんからってぶっ放したら本物だったってことで、あとで落とし物で届けようと思っとったんだ」
「そんなわけあるか! 小学生でも考えない理由や、どっから仕入れたかゆっくり聞くから覚悟しておけ」
その後書類運びやらなんやらの応援らしき警察官も数人入ってきた。その中には昨日の夜も仕事をしていた井垣巡査長と下津巡査の顔も見えた。
よし、井垣巡査長の足元にスリスリする。
「おぉぉ 昨日の猫のヒトミちゃんじゃないか?」
ヒトミって誰だよ…… 俺は男だし
「井垣さん昨日も言いましたが男の子ですよ!」
「ええやん……ヒトミちゃんでも……」
「首輪にトラちゃんって書いてありますが……」
「……とりあえず保護しておこう。パトカーに保護しとくか?」
「そうですね……」
そのまま抱っこで連れて行かれそうになったが、振りほどいて床に飛び降り、井垣巡査長のズボンの裾を咥えて引っ張る。
「おいおい、ヒトミちゃんなんだなんだ?」
「いやだから、トラちゃんって言ってるでしょ?」
「どっかに連れて行こうとしているみたいだぞ」
「でも指揮を無視して勝手に行動するわけもいけませんしね……」
「おーい、守野!」
井垣巡査長は少し離れた場所にいた刑事に声をかけた。
「あっ! 井垣先輩! どうしたんですか?」
「応援だよ、応援…… ところで、ちょっとだけこの猫ちゃんの行きたいところに一緒に行きたいんだがいいかな?」
「大丈夫ですよ。他の人に文句言われないように一人付けますね。おーい船瀬!」
「はい!」
元気よく返事をしたのは身長が140cmくらいしかない子供のような女性刑事だった。
「船瀬巡査です、こちらは先輩の井垣巡査長だ少し井垣先輩について回ってくれ。こいつ小さいでしょ? 前なら身長制限かかってる身長だけど、ちょうど身長制限撤廃された年に合格したんですよ。小さいけど武道も射撃もピカイチなうちのルーキーです」
「井垣巡査長よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく。こっちは下津巡査だ、ちょっとこの子猫が連れて行こうとしているとことに行きたいんだ」
「きゃあああーー 可愛いーー」
今までのキリッとした態度から180度変わって、顔がニンマリしながらトラをなでている。
「あらー トラちゃんって言うのね? どこに行きたいの?」
「にゃあ」
こっちだというジェスチャーをしてまずは流し台の方へ歩いていき、流し台へジャンプ…… 出来なかった……
何度かジャンプして、流し台に上がりたいアピールをする。
「ここに上がりたいの?」
船瀬が抱えて流し台に上げてくれたが、顔のほころびが怖い。流し台で、さっきおっさんがゴソゴソしていたあたりを見回すと、白い半透明の結晶を見つけた。
「にゃあ、にゃあ」
鳴きながら、そこに目掛けて猫パンチを軽く繰り出す。
「なんだ?」
井垣がその辺りを凝視すると、小さな結晶状の粒が落ちているのを確認した。
「これってクスリじゃないか? 鑑識呼んできたが良いかもな」
「はいっ!すぐに呼んできます」
船瀬が先程の顔とは違うキリッとした顔で返事をすると鑑識を呼びに行った。邪魔にならないように俺は井垣巡査長に抱えられているが、昨日同様モフモフされていた。
「元気良い娘だな」
「そうですね、真面目そうだし可愛い娘ですね」
「おっ!お前が興味だすなんて珍しいな? あれだったら守野に紹介してまろうか?」
「本気にしますよ?」
「あれ? 本当に興味あるのか…… まぁ守野に彼氏いるのかどうかとかさぐり入れておくよ」
「よろしくお願いしますね、もしも上手くいったら仲人もお願いしますから!」
「それって気が早すぎだろ? 彼氏がいるかどうかもわからないのに……」
「あっ そうですね……」
下津巡査は少し落ち込んだような感じだった。
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『なぁ来夢! 最近ブクマとか☆増えにゃいにゃ?』
「たぶん超絶かわいい私があまりでないからでしょ? 料理回も少ないし……」
『そうにゃのかにゃぁ…… でもこの話一段落ついたら異世界の話になるから来夢の出番は
ないにゃ』
「エエッ……」
『でも、異世界は幼女が出るから来夢の代わりになるにゃ』
「幼女と一緒……」
『まぁ ☆欲しいにゃ…… ☆付いたら幸せの踊りを夢の中で踊ってやるにゃ』
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