ローン会社からの電話
翌日の午前中に九州ローンの諫山から、来夢に電話がかかってきた。もちろんスピーカーホンにして会話を確認する。
「岩田様、昨日はお越しいただきお手数をお掛けしました。本日返済と書類の返還をいたしますので、お時間はございますでしょうか?」
「はい。本日は終日大丈夫ですが、何時頃お伺いすればよろしいでしょうか?」
「本日は11時に弊社よりお迎えに参ります。弊社の伊山というものが昨日お伺いしたご住所へまいりますので、印鑑だけお持ちになっていただけますでしょうか?」
来夢がこちらを見つめてくる。俺は首を縦に振った。
「わかりました11時ですね。お待ちしております。」
電話を切ると、昨日の事務所での話をして、いまからあいつらがしようとしている事を来夢に伝えた。
『大丈夫だにゃ!俺が必ず守ってやるからにゃ!』
「トラちゃんありがとおおおお」
そう言いながらモフられた。だんだんモフモフされる時間が長くなってきている気がするが、気持ちいいので逃げられない……
来夢にはボイスレコーダーを乗る前から回しておくように伝えるのと、今回は俺は認識阻害の魔法を使って一緒に乗り込む事を伝えた。
11時までまだ時間もあるので、こちらの世界でも魔道具が使えるのかをしっかり検証しておこう。
来夢との念話はだいたい見通し距離しか使えないので、離れていても使える魔道具を開発は出来ないだろうか? 思考がダダ漏れはプライバシーの問題もあるので、意識的に使用しないと出来ないような構造にする必要があるな。ついでに場所も特定できるようにしておこう。異世界のトリアムで王女にも作ったネックレスを参考に作っていく。向こうの世界だと魔法が珍しくはないので、突然テレポートしても問題にならないが、こちらではそんな事したら大変な事になってしまう。場所を特定したらその周り10m前後で誰からも見えないような場所を探す機能をどう付けようか悩んでいたが、よく考えると認識阻害の魔法を使いつつ転移すれば良いことに気がついた。魔石の大きさとどのくらいの距離が使えるかは実験をして相関関係を調べる必要があるな。魔道具作りに没頭していたら、そろそろ迎えがくる時間が迫っていた。
『来夢、このネックレスをつけるにゃ!万が一の時に気持ちを込めて俺を呼ぶと離れていても会話が出来る道具だにゃ。魔法に慣れていないからしっかり気持ちを込めないと駄目だけど呼べば俺が飛んで来るにゃ。あとは交通事故とかでも障壁が勝手に出来るからよほどの事がないと怪我とかもしないにゃ!』
「え? 何その高機能なアイテムは?」
『まぁ安心するためのネックレスだから気にしないで着けるにゃ』
「トラちゃんありがとおおおおお」
またモフられた……
『そろそろ来るにゃ、準備はするにゃ』
「そうだね、ボイスレコーダーはもうオンにしているからいつでもOKだよ」
来夢の服装も今日は何があるかわからないので、動きやすいジーンズにロングTシャツを着せている。
ピンポ~ン
チャイムが鳴った。さあどんな展開が待っているのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます