第94話 会議

「お前のギルドは殺し屋ギルド。戦闘系ギルドの中でもより実力の必要なギルドだ。何のための職員だと思ってる」


長机を市長と五人のギルド長が取り囲んで座る。


「全員雑用係だけど」


「雑用係は五人もいらないだろう」


「殺しは僕一人で充分」


月に一度の会議。

現在の議題はギルティが雇ったという殺し屋ギルドの新メンバーに仕事が割り振られていない、ただの穀潰しであるというもの。


「だったらなぜそんなにも雇った」


「ギルドとしての箔が必要だって言われた」


「誰に?」


「僕の右腕に」


ギルティの言葉にその場にいた全員が目を丸くして驚いた。

全てに興味がないような眼をしていたギルティの口から右腕という言葉が出てきた。

未だその眼はこの場の誰にも興味の色を示してはいないが、それでも、ほんの少しでも人間らしさが出てきたことを我が子のようにうれしく思った。

しかしそこで終われない者も中に入る。


「新人の教育も仕事の内だ。まずは外を連れまわして街の立体地図を頭に入れるところからだ」


「…………ソルトに任せる」


「そのソルトっていう子がギルティちゃんの右腕なの?」


話に交じってきたココの言葉にギルティは頷く。


「それで、どんな子なの?」


「ありとあらゆるものを作り出したり、その逆の分解したりも出来る。強さは署長の次くらい」


異能の方も驚きだがそれ以上にアストライアの次と言われるほどの戦闘力に驚愕した。

ギルティの登場によってアストライアはこの混沌とした街において戦闘力はナンバーツーそのアストライアの次となればこの街においても負けなしの圧倒的な強者となる。

しかも最強であるギルティのお墨付き、もはや疑いようがない。


「そんな子何処で拾ったの?」


「僕のギルドに入りたいって拠点まで押しかけて来た」


「それで採用したと?」


「バラバラにしたけど生きてたから採用した」


「ギルティちゃんにも殺せなかったの⁉」


「僕に殺せないものは無い」


ぞくりと身体が震える。

ギルティの雰囲気が大きく変わった。


「神だろうと、僕は殺す」


鋭いその瞳に、ココは刺し貫かれる。

気迫だけで殺されたと錯覚した。

大きな鼓動が、生を知らせてくれる。

そして同時に、終わりがあることを理解させた。


「ギルティ、やめろ」


まばたきをして制止したアストライアに視線を向けると視線を外して立ち上がる。


「彼らを外に出す、それで話し合いは終わりでいい?だったらもう行くよ」


「待ちたまえ、最後にギルティとアストライアに伝えることがある」


部屋から出ようと扉に手を掛けたが、ロルフに呼ばれ振り返った。


「ギルティ及び殺し屋ギルドの登場によって一時的に犯罪は激減していたが、この先今まで抑えられていた犯罪が爆発する。そこを乗り切ることが出来なければ再び犯罪の溢れかえる街へと逆戻りする。協力は惜しまないが実際に動くのは君達だ。どうか、この街の未来のために頑張ってくれ」


「何を言われても何も変わらない。僕はただ、殺すだけだ」


そう言ってギルティは会議室を後にした。

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