最強魔王の復讐記

赤柴 一

最強の魔王編

第1話 始まり

かつて世界には二つの種族しかいなかった。

世界を包む闇たる魔人と、闇をはらう光たる聖人。

相反する二種族の王は戦いを始めた。

最初は種族内最強であった王だけだったが、やがて従者が参加し、徐々に徐々に規模を大きくしていく。

それは種族同士の、国同士の戦争へと発展していった。

闇の種族魔人と光の種族聖人の終わる事の無い戦争。

魔王は闇の力を魔人たちへ分け与え、聖王は光の力で結界を作り上げた。

聖王が作った結界は闇の力を抑制するもので、魔人は体外へ闇の力を放出することが出来なくなった。

その上魔人の弱点である光の力を宿す武具を作り、魔人との戦いを有利に進めようとした。

闇の特性は全てを呑み込む吸収、魔人たちは闇の力を持っていたため見たものすべてを吸収し成長して強くなり続けた。

故に魔人は強く、攻撃を喰らうことの出来ない戦場で互角の戦いをしてみせていた。

魔人の弱点を突く聖人と、弱点を突かれてなお戦う魔人、それこそがこの争いを終わらないものへとしていた。

だが、終わる事の無い戦いのなか、魔王に子供が生まれた。

魔王にはすでに子供はいたが、今回の子は少し不思議な子だった。

常に周りにいる誰かを観察するように見つめていた。

自分で移動が出来るようになると、テラスに出て遠くに見える戦場を眺める。

誰よりも小さい頃から、誰よりも戦場を見続けてきた。

それは闇の力を持つ魔人にとってそれは何よりも成長を加速させる。

戦場にいる全ての兵士の戦術が、戦法が、技術が、一人の子供を強くし続ける。

そして何より、その子供は魔王以上の闇の力を持っていた。

誰もがこの子こそ次なる魔王だと、戦争を終わらせる者だと、終わらない戦争が遂に終わると、そう思った。

だが、この戦いの終結をよく思わない者達もいた。

奴らは直接的に関われるような者達では無かった。

だから作った、魔王の子の対抗手段として、聖王の子を。

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