崩壊チーレム救世主と虚空少女の継承者
立花戦
生まれ変わって無双トランスパレンシー
―ユメウツツ太虚の時刻―
そこは触れる物、見える色というものさえ存在しない虚無の世界。
いや唯一の色は存在していた。黒色、
しかしそれを色としていうよりも完全にその色に塗り潰されたような世界がふさわしいと少年は思った。
「……ぁッ」
踏むべき地面さえも無かった。
ただ浮遊感はある。
(落ちている?)
これが夢か現実なのか、もはやまともに判断は出来ない。
だが五感はちゃんと機能している。
脱力感が残っている肉体の躍動感から少なくとも現実に起きていると受け取っていいかもしれない。
俺が分かっていることは落ちていること一点でそれ以外の情報は皆無だ。
これには驚くべき情報だが、ここは…俺は知っている。
さらに驚くべきは疑心さえも抱かないほど必然的な事だと認識していいる。知識と認識が分離したようなことが脳内で起きている。
(いや、これは…分かれているとうよりも混濁に近い!)
認識や知識よりも関心を向けるべきは決して忘れてはいけない記憶が抜けて落ちている知覚だ。
鮮明に保存するべき記憶が抜けており自然に忘れたと楽観的になれない。
大事な想い出が失っている。
決して忘れはいけない記憶が抜けた喪失の真実だけが頭にあって何もない空間の中で俺は海に溺れるように手足をじたばた動かす。
歪なのに歪とは感じていない。
湧き上がる感情だけはある。
その源である感情を伝達する物質があっても記憶の方は、されていない。
それを取り戻さないと漠然的に無意味と何故か覚えながら抵抗する。
手段が分からないままに。
なにかつかめるかと手を上に伸ばす。
やっぱり落ちてゆく。
辺りを見渡す。黒しかない黒の世界を俺は五感を研ぎ澄まして
どうやら問題なく胴体や力を込めるという事は出来るようだ。
ここは俺しかいないのではないか。
『何もかもが失ったわけではない。かつて希望と期待を手に入れようとした願いを』
誰だ?
縋る気持ちで上から声がする方へ仰いで顔を上げるが墨色。
早く戻せよ。どれだけ声を掛けても返事は返ってこない。
声の主は、鈴を転がすようで優しく年若い女の子。知らないはずなのに記憶が忘れても鮮明に焼きついた記憶があるという
矛盾がある。
『行け、そして絶望を絶望にするな』
そう一方的に告げらた。すると前方から光の出口が現れたと思ったら近づいて広がり俺を包みまれてゆく。
その扉を――
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