第2章 夏の夜の五重奏(サマー・ナイト・クインテット)

特別編 ある日のカイ議室②

『壊ラジ』vol. 2

 ――これは、ある日の『カイ議室』で起きた(以下略)


『魁』:

「は~いこちら『カイ議室』です。読者のみなさんこんにちは~! 更新再開を記念しまして、今回の『壊💔理性ラヴァーズ!』は特別編こと『壊ラジ』(仮名)の第二回をお送りさせて頂きまぁ~す!

 DJは、前回同様に池場谷カイの中で一番のナイスガイとの呼び声が高い、わたくし『魁』が務めさせて頂きます。ヨロシクゥ!」


『戒』

「嘘だろ……ホントに第二回やるのかよ。このクソ企画……」


『乖』

「仕方ないだろう。第一章が終わって一ヶ月も更新停止していたんだ。更新頻度が命のWeb小説でそんなことをしていたら、読者が話を忘れてしまうからな。更新再開にあたって総集編を入れておこうという作者の苦し紛れだ」


『戒』

「いや、そんな裏事情を言われてもだな……」


『乖』

「あきらめろ。もうこのコーナーはそういうノリでいく方向で決まっている」


『戒』

「……いや、どうなのコレ?」


『快』

「おーい! セットの配置これでいいのか? てか『χ』! テメェなに堂々と寝てやがんだ! ちったぁ手伝えってんだよこのヤロウ!」


『χ』

「フッ……なぜ我がそんな雑事に精を出さねばならん? そんな些事は貴様等がすればいいだけの話だろう。我の手を煩わせるな、この愚鈍どもが。我は貴様らのような凡人とは違い、このマンガの続きを読むのに忙し……」


 ……ズンズンズン!


『χ』

「……ってアレ? マンガが消え……」


『快』

「いいから働けこのクソニート」


『χ』

「(デコピンで飛ばされながら)ほげぇぇぇぇぇ!」


『戒』

「すげぇな。デコピン一発で吹っ飛んだよ。『快』が馬鹿力過ぎるんだか、『χ』が貧弱過ぎるんだか……」


『乖』

「まぁ両方だろうな」


『魁』

「おいおい何やってんだお前ら? もう番組始まってんぞ。早く用意しろってぇ!」


『戒』

「へいへい……」



『魁』

「は~いそれでは気を取り直して、『壊ラジ』(仮名)第二回の放送開始でぇ~す!

 最初のコーナーはこちら『回顧性メモリーズ』(仮名)です。前回はだいぶすっ飛ばしましたが、今回は時間も開いてしまったので、少し真面目にこれまでのお話の回顧(振り返り)をしていきまっしょい! ということでコーナー担当さんよろしくぅ!」



『χ』

「ククククク……遂にこの時が来たようだな。波乱万丈にして苛烈なる我が半生を世に知らしめるこの時が!」


『魁』

「お~い、『χ』? 聞こえてっか~?」


『χ』

「時を遡ること十年前……この地に一筋の光が舞い降り、それと時を同じくして一人の王者が生まれた……そう、天光に導かれし王者であるこの『我』がな!」


『魁』

「あの~、ちょっと『χ』さ~ん、聞こえてますか~?」


『χ』

「だがその王者が生まれるまでの道のりは決して平坦ではなかった。舞い降りた一筋の光……それをこの身に受けた『我』は生死の境を彷徨い、その生命はまさに風前の灯であったが、我はその死の淵から見事生還を果たした」


『魁』

「お~いってば~……」


『χ』

「(……長いので略)こうして我が内なる雷神の力は覚醒を果たし、遂に王者はここに誕生せしめた、というわけだ」


『魁』

「……すまん『乖』。 わりぃけど話が進まないんで代わりにお前に解説頼んでもいいか? 『χ』このアホの長話のせいで時間押しちゃったから、手短にまとめてくれや」


『乖』

「……仕方ないな。というか一体どこのどいつだ? 『χ』このアホに解説役などさせたバカは?」 


『魁』

「何言ってんだ? そんなん作者様に決まってんだろう」


『乖』

「……そうだったな。聞くだけ無駄だった」


『戒』

「え~、それで納得しちゃうのかよ……」



『χ』

「(……長いので略)しかし所詮これは壮大なる我が英雄譚の幕開けに過ぎない。貴様らは幸運だ。これより我が辿り積み上げていく偉大なる軌跡を、その目に焼き付けることができるのだからな! ……ってアレ? 誰も聞いていない?」


『快』

「は~い、お前の出番はここまでな。うるさいからご退散しろってよ」


『χ』

「なっ……! 何をたわけたことを! 貴様らのような愚鈍にこの祭りを任せていられ……」


『快』

「いいから寝とけバカ」


『χ』

「(デコピン以下略)ふげぇぇぇぇっ!」




『魁』

「……と、いうことでぇ! 気を取り直して、コーナーの開始といきまっしょい! それではLet’s Go Music!」


『乖』

「……では改めて『回顧性メモリーズ』(仮名)のコーナーを始める。解説を務める『乖』だ。よろしく頼む。


 ……さて、ここではコーナー名の通り、これまでのお話の振り返りを行う。

 前回は人物紹介レベルで終わったので、今回は第一章相当部分のストーリーについて復習を行うこととしよう。

 では解説を始め……え? 何だって? 時間ないから巻いていけだと? ……いや、初っ端から『χ』あのバカに散々自分語りさせて時間無駄にした癖に何を言ってるんだ? というか真面目に復習する気あるのか?」


『魁』

「おっとぉ~! 読者の代弁者を気取った作者への辛辣な批判きましたぁ!」


『乖』

「……なおこのセリフを言わせているのも、当然作者だ」


『戒』

「なあ……この会話メタすぎるからこれくらいにしとかねぇ?」


『乖』

「……とりあえず時間がないらしいから高速で第一章の振り返りをするぞ」


『戒』

「スルーかい!」


『乖』

「……では始めよう。ひとまず前回で僕たち五人格に関する設定等の紹介は行ったので、そこまでの話は省略して、そこから後に発覚した情報だけ整理することにする。まあ前回の総集編以降(第14回~第20回)の出来事を整理するとこんな感じだ。


 ・多重人格であることが『約束の子』たちにバレた。

 ・ずっと弟だと思っていたサトルは実は女の子で、『魁』の『約束の子』だった。

 ・『日向道ひなたみち』にサトルが誘拐されるが、五人格+『約束の子』達で奪還に成功。


 ……まあ、他にも細かいことは色々あったが、凄く大雑把にまとめるとこんな感じだろう」


『快』

「なんだよ。こうして見ると、七話もかけて三行で説明し終わることしかしてねーんだな」


『魁』

「おっとぉ~! 『快』選手、ここまで実は大して話が進んでいないという、気がついてはいけない真実に気がついてしまいました~!!」


『乖』

「……またこの流れか」


『快』

「ん? なんだ、オレなんかおかしなこと言ったか?」


『戒』

「うん、まあ。おかしくはないけどさ……一応色々あっただろ?」


『快』

「あぁ? 色々あったってそんなの『戒』テメェだけだろうが。ほぼ出ずっぱりだったテメェと違って、この範囲のオレの活躍、最後のバトルぐらいしかねーんだぞ!」


『乖』

「そこは僕も物申したいな。僕も精々最後の作戦考えたくらいしか出番がなかったし」


『戒』

「仕方ねぇだろ! てか最後のバトルでは逆に俺の出番ないし! むしろそれを言ったら最後のバトルですらすぐに引っ込んでロクに活躍しなかったのもあそこにいるだろ!」


『χ』

「……(デコピンを食らったまま気絶している)」


『戒』

「つーかそもそも、女の子たちに事情話すときに出てこいって言ったのに出てこなかったのはお前らだろーが! それを俺のせいにしてんじゃねーよ!」


『乖』

「バカかお前は。そんなのは作者の都合に決まっているだろう」


「快」

「そうだ、出番たっぷりあったクセに文句言ってんじゃねぇ」


『戒』

「理不尽だなおい! てゆーか、ソレ作者の都合言っちゃうのかよ!?」


『乖』

「……さあ、時間がないらしいのでこの辺で今回の『回顧性メモリーズ』のコーナーを終了する。おいDJ、次のコーナー行くぞ」


『戒』

「またスルーかよ! ……もういいっす」


『魁』

「おっしゃぁ!! じゃあ次のコーナー行くぞ!!」


『快』

「なんだ。えらい気合入ってんじゃねぇか、どうしたんだ『魁』の奴?」


『戒』

「ああ、それは多分……」


『乖』

「次のコーナーはこちら、『解析性ステータス』(仮名)~女子編~だ」


『魁』

「よっしゃきたぁぁ!! 女の子の情報をゲットする大チャァァァァンス!!」



『戒』

「……こういうことだからだろ」


『快』

「……(もはや呆れて何も言わない)」


『乖』

「前回は主人公であるについて解析したが、今回はヒロイン側の解析を行う。さてそれじゃあ……」


『魁』

「おい『乖』! 何をチンタラしてやがる! 早く始めるんだ!」


『乖』

「……付き合ってられん。もう『魁』お前が進めろ」


『魁』

「え、いいのか? うっし! それじゃあ気合いれてくぜぇぇぇ!!」



◎各ヒロインのプロフィール・特徴


 第一ヒロイン:天橋雪……文武両道・容姿端麗の学園のアイドル。

 ・陸上部の短距離エースで、次期部長候補。生徒会長も兼任する。

 ・基本なんでもできるが、料理だけは苦手。

 ・普段は温厚だが少々思い込みが激しく、一度怒ると手が付けられない。

 ・『約束』を交わした人格:『戒』


 ・身長:163cm

 ・体重:53kg

 ・スリーサイズ:B/W/H……86/58/88



 第二ヒロイン:松島月……許嫁を名乗る転校生。

 ・松島財団の令嬢である超セレブ。ボクシング経験者で、腕っぷしが非常に強い。

 ・アスリート向けの食事に対する造詣が深く、食生活には非常にうるさい。

 ・『快』にベタ惚れで周囲を気にせずつき纏い、邪魔者は容赦なく排除する。

 ・『約束』を交わした人格:『快』


 ・身長:158cm

 ・体重:47kg

 ・スリーサイズ:B/W/H……80/55/81



 第三ヒロイン:宮島花……幼稚園からの幼馴染。

 ・陸上部の長距離エースで全国レベルの選手。学業の成績は悪い。

 ・中学時代に『戒』に告白するも、振られた経験あり。

 ・面倒見がよく、付き合いが長いのもあってカイの理解者的側面が強い。

 ・『約束』を交わした人格:『乖』


 ・身長:160cm

 ・体重:49kg

 ・スリーサイズ:B/W/H……83/57/85 



 第四ヒロイン:松原清風……昔馴染みの担任教師で、陸上部顧問。

 ・骨董品屋:『風の憩い場』の店主『嵐』という裏の顔を持つ。

 ・風を操る異能の持ち主で、超強い。二つ名は『爆発する風神バースト・ゲイル』。

 ・結構毒舌な上、幼少期からカイを知り尽くしている為、口論では勝ち目なし。

 ・『約束』を交わした人格:『χ』


 ・身長:167cm

 ・体重:56kg

 ・スリーサイズ:B/W/H……89/60/88


 

 第五ヒロイン:池場谷沙都留……血の繋がらない弟、と思いきや実は妹。

 ・実際には従妹の関係に当たる。学業は非常に優秀だが、運動はからっきし。

 ・兄に近づく人間にはとりあえず勝負を挑む悪癖がある。

 ・相手の得意分野で負けた後に自身の得意分野で勝利を図るなど、変に負けず嫌い。

 ・『約束』を交わした人格:『魁』


 ・身長:155cm

 ・体重:43kg

 ・スリーサイズ:B/W/H……76/55/77



『魁』

「う~ん、どの子も魅力的で素晴らしいねぇ~。

 あ、ちなみには身長176cm、体重67kg、スリーサイズはヒ/ミ/ツな!」

  

『乖』

「おい、『魁』。お前……」


『魁』

「ん? どしたい?」


『乖』

「こんな個人情報を一体どこで手に入れた?」


『魁』

「おっと、そいつは企業秘密だぞ☆ てへぺろ!」


『乖』

「なあ、ふざけるのもいい加減にしとけよお前……?(ガチギレ)」


『魁』

「や、やだなぁ~『乖』きゅん。そんな怒ることないじゃないか、怖いな~、なあ君達もそう思わないかい?」


『戒』

「……まあ、一回殴られてもいいと思うよ? お前」


『快』

「よし、決まりだな。テメェら、『魁』ソイツを抑えておきな」


『魁』

「あ、あれ? これ割とガチな感じ?」


『戒』、『快』、『乖』

「「「当然だボケェェェ!!!」」」


『魁』

「ふげぇぇぇぇ!! 次回へ続く~!!」


『戒』

「まだ続くんかい!!」



 ――そうしてふと目が覚めた。

「……夢?」

 なんだか凄く悪い夢を(以下略)。


「うん、夢だ夢。さっさともっかい寝よ」

 とりあえず夢の内容を思い出したくないので、即座に俺はを記憶から抹消した。

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