猿のレストラン

あんまん。

1 神々の領域

神々の会話

ちょっと、何やってんすか! 勝手に干渉しない方が良いすよ 

大丈夫だって。

大丈夫じゃないですよ。この前だってどんな大混乱が起きたかわかってるんですか?

あーわかったわかった。へーくしょい、あっ! やば…。

どうしたんですか?

え、えーと、な、なんでもないよ。


少しうとうとしただけのはずだが、数百年の眠りから目覚めた気分だった。

揺れを感じ身構えると、急に爆音のような音が連なって頭の中で意味を成していく。声? 聞いたことのあるような声だ。

む、むうー、だれだ、眠りの邪魔をするのは…。

声の主はすぐにわかった。視界を覆い尽くすほどの大きな顔がぬっと現れたのだ。

てぃもでぃになりうティモディニナリウ。

訳のわからないことを言ってその怪物は再び眠りについた。

てぃもでぃになりうティモディニナリウ。耳から離れなかった。怪物越しに見える洞窟の外には、満ち欠け一つない月が消えかかっていた。

本当にここは地球かも怪しい。第一自分は誰なのか。名前すら思い出せなかった。

異世界の扉は洞窟にある。早く帰りたい。美味しいご飯が食いたい。空腹に耐えかねた。怪物は相変わらず地響きをたてて眠っていた。幸い今眠りは深いようだった。

 私は怪物の腹の上にそーっと乗っかかり、目を閉じた。瞼を裏に浮かぶものはおいしい食べ物のことばかりだった。目を開けていないのに目の前にぽっかり穴が開いてそのまま体が吸い込まれた。トンネルともパイプとも判断がつかないがこれで帰れる。しかし着いた所は違った。

耳に喧噪がわき起こった。お皿のカチャカチャいう音。オーダーを元気よく読み上げる甲高い声。客の笑い声が一斉に耳に入り込んだ。

眼を開けるとそこは大きなレストランだった。

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