第74話 女友達に意見を聞きます。
「待たせたかしら?」
「ううん。 全然待ってないよ」
「凛お疲れ様〜」
「琴美もお疲れ様。 あれ? 光はまだ来てないの?」
「光は次の授業の準備してからくるってさー」
ある日の学校での昼休み。 俺は村上さんと近藤さん、阿部さんに鈴の誕生日のことで相談する為に、前日に連絡して図書室近くの小さな空きスペースまで来てもらっていた。
「お待たせー! 次音楽だから、音楽室にもう荷物置いてきちゃった!」
「え、次音楽だったっけ?」
「そうだよ! あ、それといつもは第1音楽室だけど、今日は第2音楽室で授業ってこと、春名くん覚えてる?」
「あ〜前、先生そんなこと言ってたね。 阿部さん教えてくれてありがとう!」
「どういたしまして〜」
阿部さんが少し遅れくる。 これで全員揃ったな。
近藤さんや村上さんも次の授業は移動教室かもしれないから、さっさと本題に入るか。
「前鈴に告白するって言ったでしょ? あれからユウマ達に意見貰いながらデートプランとか考えたんだけど、3人にも意見を貰いたいんだ。 ちなみに今考えてるデートプランなんだけどーーーー」
俺は3人にメモを見せながら話す。
3人ともメモを見ながらよく聞いてくれていた。
「うん。 普通にいいと思うわよ」
「わたしも良いと思う。 春名くん頑張ってるんだね」
村上さんの意見に近藤さんが賛同する。
近藤さんの言葉を聞いて、努力が認められているのを感じて嬉しくなった。
「うちも良いと思う! これほとんど春名くんが考えたの? だとしたら凄いね!」
「ほとんど俺が考えたよ。 でも、最初の案からはこれでも随分変わってるんだよ?」
「そうなの? ちなみに最初のプランってどんな感じ?」
「えっとねーーーー」
俺はユウマ達に話したプランをそのまま3人に話した。
「確かに良いプランだと思うけど、今の方が絶対いいと思うわ」
「考えてくれてるのはよく分かるけど、確かに鈴の誕生日よりもバレンタインデーがメインに感じるかもしれないね」
村上さんと近藤さんが自分の意見を言ってくれる。
2人ともツバサと同じような感じだな。
「うちって誕生日が7月7日で七夕なんだけどさ、やっぱり世間一般的には7月7日=七夕って感じじゃん?」
「まぁ、そうだね」
阿部さんが少し寂しそうに話し始める。
「でも、うちにとっては7月7日は阿部光の誕生日なの。 だから、テレビで今日は七夕ですって言われると少し寂しい。 あーやっぱりみんなにとっては七夕の日なんだなーって」
阿部さんの言葉を俺たちは静かに聞いた。
「だから、春名くんが2月14日にバレンタインデーだからって、バレンタインデーがメインに感じるようなデートプランを変えてくれてうちは嬉しい! 多分、鈴もうちと同じようなことを思ったことがあるはずだから、断然今のプランの方がいいよ!」
「確かに昔、鈴も『2月14日は鈴の誕生日なのに、なんでみんなバレンタインデーばっかり言うの!?』って、怒ってた気がする」
近藤さんが苦笑いしながら新しい情報をくれた。
阿部さんの話にその情報を付け加えると、確かに変えてよかったと心底思う。
やっぱり人から意見を貰えると視野が広がるなと痛感した。
「春名くん、自信持っていいよ!」
「また聞きたいことがあったらいつでも聞いてくれていいから」
「頑張ってね〜春名くん」
俺は3人に笑顔でお礼を言う。
その後は時間も少なくなってきたので、各々自分の教室に帰ったり、次の授業の教室へと向かった。
俺は教科書とかを取りに自分の教室へと向かう。
俺の足取りは軽いものになっていた。
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