第64話 クリスマスイブにデートです。 ⑤

「うわー! もう外真っ暗だね!」


「本当だ。 やっぱり冬は陽が落ちるのが早いね」


 スポーツショップを出ると外は暗くなっていて、人工的な光で周りは明るくなっていた。


 今の時刻は19時前。


 そろそろ夕ご飯を食べてもいいかなという時間帯だ。


「それじゃあ、今日のメインのところに行こっか!」


「え、今からがメインなの?」


「そうだよ! だから、私についてきてね?」


 鈴がそう言うので俺はついて行く。 どこに行くんだろう?


 俺はそんなことを思いながら鈴と歩く。


 歩いて行くと大きな公園に近づき、遠くにイルミネーションが見えてきた。


 この公園は全長約1キロある公園だ。 遊具などはないけど、ベンチなどはたくさんあり、景色も良いのでよくランナーがジョギングしている。


 時期によるが祭の会場になったり、イルミネーションが綺麗な場所になることもある。


「じゃーん! ここが今日のメインです! 冬、そしてクリスマスイブと言えばイルミネーションでしょ!!」


 鈴は笑顔で両手を広げながら明るい声で言う。


 周りは幻想的な光で包まれていて、見ていてワクワクする空間となっていた。


 そういえば、イルミネーションをマジマジと見るの生まれて初めてだな。


 なんだかメルヘンな世界に迷い込んだみたいだ。


「イルミネーション初めてだけど良いね……。 キレイだ……」


「でしょー?? 去年琴たちと来たんだけど、すっごいキレイだったから今年も見たいと思ってたの!」


 鈴と俺は公園に入り、人混みの中を少しずつ前へと進んでいく。


 アーチ状になっているイルミネーションの中に入って写真を撮ったり、大きな海賊船のような船の前で2人で写真を撮ったりするのは楽しかった。


 周りのイルミネーションは色々な種類があり、大きな公園にたくさんあったから、俺たちはたくさんの写真を撮り、感動を分かち合った。


 そして、約1時間程イルミネーションを2人で楽しんだのだった。


「あ〜イルミネーションっていいね! 俺、癖になりそうだよ!」


「でしょ〜! 陸くんも絶対気にいると思ったんだ〜!!」


 俺たち今、ベンチに座ってイルミネーションを見ながら休憩している。


 周りのベンチにはカップルが同じように座って休憩していた。


「楽しいね陸くん」


 俺は周りのカップルを見ていると、鈴がそう言ったのでそちらの方を見る。


 鈴はさっきまでの楽しそうな笑顔は鳴りを潜め、真剣な表情で俺のことを見ていた。


 ど、どうしたんだろう?


「ねえ、陸くん。 私は今日、とっても楽しいです。 陸くんは今日、楽しんでますか?」


「……楽しんでるよ。 すげぇ楽しい。 この時間がずっと続けばいいのにって思うぐらい、楽しんでるよ!」


 俺の言葉を聞いた鈴は少し表情を緩める。


 すると、鈴はちょっと待ってねと一言俺に断りを入れて、自分のカバンの中を漁り始めた。


 そして、少し深呼吸をした後、俺にある物を渡しながらこう言うのだった。














「メリークリスマス!! クリスマスプレゼントどーぞ!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る