第50話 陸上の記録会に参加しました。

「なんかここ最近ちょっと寒くなってきたよなー」


「まあ秋だしねー」


 俺たちは今日、陸上の記録会に参加するために朝早くから集合し、バスに乗って遠い競技場まで来ていた。


 ふぁぁぁ〜早く寝たけど、眠いものは眠いなぁ。


「あ、聞いたことない学校がありますよ」


「お、どこどこ?」


「あそこです」


 後輩が俺たちに教えてくれる。 確かにジャージに書かれてる学校名は見たことも聞いたこともないな。


 俺たちとは違う地区の学校か?


「オレは知らないな。 陸は?」


「俺も知らない」


「僕も知らないっす」


「あ、ボク知ってますよ! ○○市にある学校っす! ばあちゃん家が近くにあるので知ってるっす!」


「え、○○市の学校なの? そんな遠いところから来てるのか……」


「記録会って、普段は見ない地区の選手も来るから面白いよね」


 陸上の記録会は色々な地区の学校が集まるから、見ていて面白いんだよな。


「記録会って大会以外で自分の成果を確認できて、周りとの差を確認できる場だから好きだけどさ、キツいよな」


「俺も好きだけどさ、そこはしょうがないよ」


 俺はユウマに賛成する。


 記録会は予選突破とか本戦に出場とかがない。 練習成果を発揮する場だからだ。


 だから、大会みたいに2日に分けてすることはあまりなく、結構なスケジュールを1日に凝縮して行う時がある。


 そして、俺とユウマの出場する種目は1500メートル競争と、5000メートル競争。


 大会の時には1日目が1500メートル競争、2日目が5000メートル競争と別れている。


 しかし、記録会は1日で行うため、俺たちの場合は午前に1500メートル競争、午後に5000メートル競争を走らないといけない。


 本番だけで6500メートル。 アップやダウンなども入れると、1日で10キロほど走らないといけない。


 しかも、その内の6500メートルはほぼほぼ全力で走っている。


 全部が終わった頃には、いつも疲れ果ててバスの中で爆睡しているんだよな。


「陸、後輩たちよ……頑張ろう! 終わったらきっと今回も先生がなにか奢ってくれる筈だ!」


「前回はアイスだったよね」


「今回はジュースっすかね?」


「ボク、焼肉食いたいっす!」


「流石に部員全員に焼肉奢るのは、先生の財布がヤバいことになるよ!」


 俺たちはそんなことを話しながら、アップを始めた。


 さて、今日はどんな結果になるんだろ?


 怪我だけはしないようにしないとな。


 俺はそんなことを思いながら走るのだった。












 余談だが、1500メートル競争の前に他校の選手に話しかけられた。


 内容は『同じランニング時計を使ってますね』。


 少し会話してお互い頑張りましょう!と健闘し合った。


 同じ時計を使ってるから、実力も同じぐらいかな?っと勝手に思っていたけど、実力差はハッキリしていた。


 まさか、1500メートル競争で相手がぶっちぎりの1位になるとは思わなかったな。


 俺は負けたことが妙に悔しかったので、5000メートル競争ではリベンジを誓った。


 そして、5000メートル競争では俺が勝つことができたのだった。


 ちなみに、終わったあと先生は部員全員にジュースを奢ってくれた。


 サンキュー先生!

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