第51話 文化祭。 ①
校庭にはたくさんの車が並び、いつもより学校には人が集まっている。
歩いていると普段は見ない人や、どこかで見たことがある同級生の親などを見かけた。
今日は文化祭の日。
中学生だから模擬店とかはないけど、生徒はこの祭りの雰囲気を楽しんでいる。
俺もその内の1人だ。
そんな俺はユウマ達と一緒に、ある空き教室へと向かっていた。
今日の朝、2年7組の男子だけがある男に呼び出されてた。
俺たちはその男に会うために、空き教室へと向かっていたのだ。
「じゃあ、ノックするよ」
俺たちは空き教室について、周りを確認してからノックをする。
すると、入っていいと声を掛けられたので、俺たち4人は空き教室へと入った。
中に入ると十数人の男子生徒がいた。
えっと……俺たち4人で7組の男子が全員揃った感じだな。
「遅くなってすまねぇ。 で、俺たち全員を呼んでなんのつもりだ? 田中」
ユウマがメガネをかけた背の低い男子生徒に声を掛ける。
7組の男子全員から注目されている男子生徒の名前は田中。
違うクラスだが、2年生では有名だ。
色々な情報を持っていることで知られている。
特に恋愛絡みや女子生徒の情報には詳しい。
そんな田中を女子達は気持ち悪いと言い、男子達は畏怖を込めてアニキ、またはキングと呼んでいる。
「今日、7組の男子諸君に集まってもらったのには訳がある」
田中はメガネを人差し指であげながら話し始める。
その様子を俺たちは固唾を飲んで見ていた。
一体なんなんだ……?
「あの子が可愛い、この子が可愛いとみんなはよく言うが、明確には誰が一番人気なのか、上位に入るのかは分かっていない……なので、今回ハッキリされようじゃないか!」
田中の鬼気迫る勢いに俺たちはたじろぐ。
でも、田中はそんな俺たちのことを気にすることなく、宣言するのだった。
「——————————————2年生女子で誰が一番人気があるのか! そして、上位には誰が入ってくるのかを徹底調査するっ!!!」
場がシーンと静かになる。
しかし、その沈黙は直ぐに破れた。
1人、また1人と小さく拍手をしていく。
そして、気づいたら7組男子全員が拍手をしていた。
その姿を見て田中は満足そうな顔をしながら、学校の鞄から紙と鉛筆、消しゴムを取り出した。
田中に集められた俺たちは、その紙を囲うようにして見る。
紙には女子生徒の名前が10人書かれていた。
きっとこの10人が、二年生女子ランキングTOP10なのだろう。
その中には阿部さん、村上さん、近藤さんが入っていた。
そして、俺の好きな人松田鈴もそのランキングに入っているのだった。
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